第12話 悠姉さんと

「まあ、変わったと言ってもちょっと変化があったくらいみたいね」

「そう言われてもなぁ・・・」


姉さんが何を言ってるのかわからない。


俺は、とりあえずスルーして注文をする。


ハンバーグ喰いたいから、ハンバーグとパスタかな。


「うーん、彼女・・・ああ、好きな子でもできた?」

「はぁ?出来てないし」

「ふーん」


姉さんは、ニヤニヤしていた。


なんかむかつく。


俺達は、とりあえず注文を済まし、それぞれにドリンクバーに立つ。


俺は、烏龍茶にした。


姉さんの前にあるグラスは、野菜ジュースが入っていた。


「ねえ、洸祐」

「なにさ、姉さん」


姉さんは、右手で頬杖を突きながらしゃべりだす。


「アンタ、もう少し高校生活楽しんでもいいのよ」

「いや、俺は別に」

「医大なんてどこのだっていいのよ。

それに、病院はかける兄が継ぐわけだし。

アンタは、アンタのやりたいようにやっていいのよ」


翔兄さんは、俺と悠姉さんの実兄で長男だ。


俺のやりたい事・・・か。


なんだろう。勉強?


「洸祐、アンタ。

勉強がいくらできても柔軟な思考を養わないといつかダメになるわよ。

張り詰めた弦なんてすぐ切れるんだからね。

学力だけならアンタはもう志望校A判定なんだから、少しぐらい遊びなさい」


遊びなさい・・・か。


その言葉を聞いたとき、俺の脳裏に雫の顔が浮かんだ。


なんで、雫の顔なんか浮かぶんだ。


「へぇ、やっぱりアンタ」


再び姉さんが、俺の顔を見てニヤニヤと笑みを浮かべていた。


今日は、いつにもましてウザがらみしてくるな。

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