第11話 悠姉さん
医療法人光陵会 中央総合病院。
それが、俺の一族が代々経営をしている病院だ。
そこには、祖父母、両親、叔父夫婦、叔母夫婦、兄夫婦、姉が務めている。
だからこそ、俺は医者にならなくてはならない。
その為には、医学部入学をしなくては。
◇
大図書館から帰って来た俺は、夕方過ぎに自宅に帰ってきていた。
家には、俺以外の家族は帰ってきていなかった。
こんなことなら夕飯を食べたから帰ってくればよかったと後悔した。
どうせ、一人で飯を食うならどこでも同じだった。
昼に、雫と一緒にいたから忘れていた。
俺は、財布をサイドポーチに入れて出掛けることにする。
家には、家族はいないが使用人は何人か務めている。
俺は、出掛けることを告げ玄関へと向かった。
玄関のドアノブに触れようとした時、ちょうど玄関が開いた。
「あら、洸祐・・・どこかいくの?」
ドアの向こうには、実姉である高橋
小柄で内巻きセミロングの黒髪。
今は、紺のスーツを着ている。
「悠姉さん・・・いや、飯食いに行こうかと思って」
「お、じゃあ付き合いな。奢ってあげる」
そう言って、姉さんは踵を返す。
彼女から奢ると言われるのは珍しい。
ここは、従っておくのが得策だろう。
俺は、姉さんの後ろをついて家を出た。
◇
俺達がやって来たのは、近所にあるチェーン店のイタリアン主体のファミリーレストランだった。
姉さんとは、8つ年が離れている。
今年25歳で、今年の3月に医大を卒業して実家の病院へ勤め始めた。
まだ、研修医と言う肩書がつく。
「奢るとはいったけど、安いとこで悪いね」
「いや、奢られる側が文句言わないって。
ありがとう、悠姉さん」
俺の顔を、眺めながめている姉さん。
なんだ?
「えっと、悠姉さん・・・なに?」
「アンタ、何か変わったわね」
姉さんが、不思議なモノを見るような目で俺を見ていた。
よくわからん。
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悠のイメージ画像
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