第10話 BLTサンドイッチ
改めてサンドイッチを見てみる。
パンの部分は、8枚入りの食パンを半分に切った物だろうか。
ちょっと薄めの食パン。
耳の部分が残したままになっている。
ベーコンは、厚切りの物を横むきに並べてある。
スライストマトが、重ねられていた。
ベーコンとトマトがサニーレタスを挟み込んでいる。
「じゃあ、いただきます」
「はい、召し上がれ」
雫は、嬉しそうに笑っている。
俺は、サンドイッチを手に取り齧り付いた。
ジュワっとベーコンの肉汁が口の中に広がる。
それと共に、酸味が口の中に広がってくる。
「ん?これはピクルスか?」
「え、よくわかりましたね」
刻んだキュウリのピクルスが、間に挟まっていた。
トマトの酸味とまた違った酸味が、口の中に広がってきてこれはこれで好きかもしれない。
「自家製のピクルスなんです」
「美味いな、結構好きなだな」
「ありがとうございます・・・えへへ」
俺は、そのまま二個目もぺろりと食べきってしまった。
美味しかった。
正直、雫が料理できるとは思わなかった。
「雫って、料理で来たんだな」
「料理は結構しますよ。
まあ、サンドイッチ《これ》は切って載せただけなので料理と言っていいのかどうなのか」
「充分料理さ、俺なんか料理はからっきしだからな。
雫は、いいお嫁さんになれそうだな」
「お嫁さん・・・お嫁さん・・・」
口元を両手で押さえながら雫は、また壊れたラジオの様になった。
耳まで真っ赤になっている。
こんな、彼女を見ているとたまに愛おしく思えてしまうのは雫の事を・・・いや、いまはそんなことをしている時間はない。
勉強しなくては。
医者にならなきゃ、俺はあの家で立場が無くなってしまう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます