第9話 実習室とお弁当
俺達は、実習室で隣り合わせの席に着く。
それから黙々と勉強をしていく。
所々で、雫は俺に質問をしてくる。
小声で受け応えをしながら質問に答えていく。
声以外にも筆談で答える。
やがて、昼時になると俺達は貴重品を持って実習室を出る。
雫の手にはトートバッグが握られていた。
女子は、荷物が多いのだな。
「じゃあ、昼飯食って来るわぁ」
「待ってください。
あの、お弁当作って来たので食べてくれませんか?」
「ん?雫が作ったのか?」
「えっ・・・いま・・・雫って」
そう言えば、いつもは阿藤さん呼びだった。
彼女の顔が見る見る真っ赤になっていく。
「とりあえず、雫・・・喫茶スペースへいこう」
雫の背を押しながら喫茶スペースへと向かった。
その間、彼女は壊れたラジオの様に「雫・・・えへへ」とずっと繰り返していた。
雫は、すぐポンコツになるな。
まあ、そこが可愛いんだけど。
最近の俺は、どうしたんだろう。
「さあ、弁当食べよう」
「は!はい、食べましょう。食べましょう」
そう言って、雫は喫茶スペースにある一席へ座り、テーブルにト-トバッグから取り出した2つのランチボックスを置いた。
「はい、こちらが洸祐くんの分です」
そう言って、俺に水色の蓋のランチボックスを渡してきた。
雫の前には、ピンク色の蓋のランチボックスが置かれている。
「大きなランチボックスがなかったので・・・中身は同じ物になりますよ」
俺は、蓋を開けてみる。
中身は、サンドイッチだった。
ちょっと、大き目なサンドイッチが二つ。
具材は、BLTだった。
俺が、BLT好きなの知ってたのかな?
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