第8話 図書館で待ち合わせ
その週の日曜日。
俺は、街の大図書館に来ていた。
そして、その入り口で雫を待っている。
俺は、教科書を手に読書をして待つことにした。
世界史の教科書は、読みごたえがある。
まあ、もう数十回と呼んでいるからくたびれているが。
「お待たせしました」
「いや、待ってない。俺も今来たとこだ」
俺は、彼女に視線を向けず教科書を見ながらそう告げる。
雫は、俺の教科書を下げ、顔を覗き込んでくる。
「あの・・・洸祐くん。結構待ってましたよね?」
「いや?そんなことはないぞ」
俺は、よく姉さん相手に待たされることがある。
その時には、こう言っておけば問題ないとよく言わされてきた。
あの人も、人の事を考えずに俺に勉強をさせてくれない。
ある意味、面倒くさい女の扱いに慣れている。
「そうですか?それならいいのですが」
俺は、教科書を閉じ鞄に仕舞う。
そして、彼女・・・雫の姿が視界に映る。
今日の彼女は、白のノースリーブワンピースに麦わら帽子を被っていた。
ワンピースには、フリルがふんだんに使われていた。
胸元には、黒いリボンが結ばれている。
滅茶滅茶あざとい清楚系女子。
まあ、似合っているけど。
「今日も可愛いな」
「え!あ、ありがとうございます。
初めて言ってくれましたね。
えへへ、かわいい・・・かわいい・・・えへへ」
頬を赤らめて、壊れたラジオの様になる雫。
まったく、よくわからない奴だ。
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