延命

識織しの木

延命

ともだちの古いきずあと自分にはない道を来て今ともにあり


棘生やしダンゴムシみたく丸まって遠くの雑音暗闇に投げ


140にも満たないがそれだけでヒトを惑わす醜いコトバ


目と耳をシャットアウトし心だけ苦しく沁みて抱えてた


そうなんだよくあることだ流される昔話も戦場だった


安っぽい取るに足らない爆弾の機嫌を取ってしか生きられない


言うだけなら簡単なことカッターの刃はいつだってしまったままで


熱帯の夜にへばって暴力の種類がひとつ加わった夏


白線が引かれた内と外は誰にもわからないそれだけじゃない


朧月眺め寒さに慣れた頃ふと恋しくて布団に潜る


自動車が水溜り轢き横切った飛沫受け止め心身の冷え


白鍵と黒鍵みたく秩序あるせかいに轟けエキセントリック


教師らの態度や言葉いくたびと不信の釘を打ち埋めるなり


惰性では呼吸できずに懸命に探す見つけるべきなにかとか


足先の自分のものでない感じ不安になっててゆびで触れる


睡眠の内に旅する桃源郷戻ったら会えない人たちが


異国語の旋律を聴く歌詞なんて理解したくはない音と音


分岐点もしもう一度立てたなら紅茶の湯気がくもらす眼鏡


髪や爪いきた一部を切り離す少しは軽くなれた気がする


あてどない日々を重ねてあっけなく崩す夜まで選ばない道

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