虹色の靄の夢の中で

「大翔さん。夜分遅くにすみません」


 久しぶりに、大翔は夢を見た。


 虹色の靄で包まれた空間の中で、自分とひじりが対面している。


 かつて何度も見せられた、ひじりの霊夢だ。


「前は夜遅くとか関係なく会ってたくせに、今日はずいぶん丁寧だな」

「そうですね」


 皮肉を言う大翔に、ひじりは苦笑しながら返す。


 前回の二〇二二年はひじりと決別したから、こうして彼女と二人きりで話をするのも久しぶりだ。


 それがなんだか楽しくて、二人の間に流れる空気が緩んでいく。


 昼間、病室を包んでいたぴりついた空気も、感じていた焦りも、ほんの少しだけ紛れていった。


「それで、今日は何の用だよ」


 ひじりが霊夢を見せる時は、決まって伝えたいことがある。これまで何度も行ってきた対話だ。それくらいは分かっている。


 言葉を待つ大翔に、息を飲んで、意を決してひじりが口を開く。


「明日、もう一度病室に来てもらってもいいですか?」


 彼女曰く、大翔の他にも、陽菜や涼達にも同じ夢を見せているという。


 つまるところ、ひじりはもう一度四人に集まってほしがっているのだ。


 その理由を問う大翔に、もはや声色を見るまでもないほど緊張しながらひじりが言った。


「解決策、おそらくですが見つかりました」

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