第2話 ゲオルグ史

学園都市の中央大図書館

そこでガドーとミサキが偶然同じ本に手を出す

『皇帝ゲオルグについて』

「なんだ、ガドーこれを読むのか、譲っやる」

「ありがとう、とはいえ、他にもゲオルグに付いて書かれた本は多いな」

「まあ、帝国内ではゲオルグ賛美の本しか出されてないからな、

おそらくハイランドの方が詳しい本が多いだろう」


ミサキは『ゲオルグの帝国』という本を手に取った


めずらしく2人は同じ机で本を読む

図書館は会話は禁止だったが、2人はあえて個室に近い部屋を選んだ

「おまえとデートしてるって噂が立つのは嫌だな」

「僕はもうなれているよ」

「まあ、噂になったところでかまわないが」

「ミサキ、ゲオルグについてはどう思う?」

「臆病、卑怯、残虐、無能、偶然皇帝になれた男」

「まあ、君の過去からすると当たり前の評価か」

「ガドーはどう評価する?」

「ほぼ同じ、だが、僕はギュネスの方に興味があってね」

「ほう」

「前皇帝が崩御した時には彼の皇位継承権は58位、こんな人物が

皇帝になれたとは奇跡的だよ」

「つまり、誰かが暗躍した?」

「そこでギュネスに付いて調べているんだが」

「邪竜ギュネスか、なんで人外がゲオルグに近づいたのか?」

「近づけたのも謎だよ」

ミサキは別の本を持ち出した

「それは南の方の歴史書だね」

「ああ、南は多くの国があったが、面白い話が多い」

「と、言うと」

「ある王が美しい女官によって色恋に狂わされて国が滅んだとか、

ある国がそれまで大国として君臨していたが、軍師一人が辞めた途端に

滅んだという話とかある」

「おもしろいな」

「その大国は破竹の勢いで南を統一しようとしていたが、たった一度の大敗で

王は恐れて宮廷の地下にこもりっきりになったそうだ、すると軍師が『地下に潜った将はかった試しが無い』と言って去っていった、数年後、その国は滅びた」

「それはことわざにもなっているな」

「で、私は考えた」

「どう考えた?」

「邪竜ギュネスは我々の歴史に古代から絡んでいたのでは?と」

しばしの沈黙が流れガドーが言う

「そういう観点も必要だろうな」

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