48/とろける時間、甘い時間【R指定】
「いや、仕方ないだろう? だって童貞捨てなければアザークは死んでしまうんだぞ? それだけは阻止しなければ!」
お願い、キウイさん……俺もそれなりに年頃の男の子。自分が童貞だなんて、あまり知られたくないです。
「えー、ジークの従者になっている時点でバレバレでしょ? アザークが清くて綺麗な身体だってことは」
おい、プルー! そういうお前はどうなんだ! って聞いたら普通にゲス野郎となじられるだろう。ほら、キウイさんの鋭い眼光から殺気を感じる。
「良かったじゃねーか、アザーク。大好きなキウイに筆下ろしてもらえ。そして二度と俺に近付くな、このクソ野郎」
この人は最後までクソクソ言ってるな。
そもそも従者契約の解除方法がすぐに出てこなかったってことは、もしかしてジーク師匠も童貞なんじゃ……?
「おい、アザーク……お前、余計なことを考えただろう? まじで殺すぞ? おい」
———あながち間違っていないかもしれない。だからモテる男を毛嫌いしていたのかと妙に納得した。
「アザーク、もしかして私が相手では嫌か? もしかして他に想っている人がいるのか?」
珍しくしおらしくなったキウイは、目を潤ませて上目遣いで覗き込んでいた。この表情に弱いんだ。アザークは観念したように頭を掻きむしって、そのまま蹲った。
「———キウイさん、俺は大事にしたいんです。その、そういった類の思い出を」
「ん、そうなのか?」
「そうなのかじゃないですよ……。だって、そのキウイさんにとっても初めてなんですよね? その男女の……」
「まぐわいか?」
まぐわい言うな! あなたも一見、美少女なんだから!
大体、自分の周りは男女の営みを蔑ろにする人が多すぎる。アザークは初めてみた行為が
「大事にしたいと思うのは、悪いことなんですか?」
拗ねていじけるアザークに微笑みながら、キウイはチュッと短いキスを頬に落とした。
「悪くないぞ? そんな甘ちゃんなアザークが私は好きだ」
紅潮する顔を誤魔化すように俯いて、助けを求めるように心臓を強く握り締めた。
▲ ▽ ▲ △
———とは言いつつ、所詮は
そもそもこんなことをしていいのか、未だに正解が分からないまま、ここまで来てしまった気がする。本来なら大事にしないといけない過程があるのに、飛び越えてしまうのも勿体無い気がして躊躇いが生じるのも確かだ。
「アザーク、こういう時は自ら服を脱ぐものなのか?」
「し、知りませんよ。最初から脱がれても、目のやり場に困るし」
「うむ、それじゃ明かりを消すか? 何も見えない方が緊張しないだろう?」
「………それはそれで寂しい気がする。あの、キウイさん。これってやっぱり急がないといけないんですか?」
「この場に及んで何を言ってるんだ、コイツ」って顔で首を傾げているのが分かる。うん、最もです。
「分かってます。俺の為にしてくれているのも。ただ、やっぱ俺は———もう少しゆっくりステップを踏みたいというか」
「この間、あんなに破廉恥なことをしておきながら、何を言ってるんだお前は」
それもごもっともです、はい……。
ただ言い訳をさせてもらえるなら、あの時は生きるか死ぬかの瀬戸際で、後悔しない為に踏み切ったんです。
「グダグダとうるさいのう……! 私はそんなことよりもアザークと抱き合いたいのだ。つべこべ言わずに、ほら!」
両手いっぱいに抱き締められたかと思ったら、そのまま柔らかい胸に顔と手が埋められた。初めてキウイさんに会った時も、こんなふうに胸を掴んで殴られたんだ。
そんな感傷に浸っていると、グイッと顔を掴まれて唇を塞がれた。初めは押しつけるだけのキス。そこから浅いキスに変わり、だんだんと舌を絡ませ始めた。まるでこの前の再現のようで、彼女の一生懸命さが伝わってきて愛しさが込み上げてくる。
「———ズルいな、キウイさんは」
そんな彼女に応えるようにアザークも舌を出して、彼女の唇を割った。
快感を思い出した今、もう止める術を知らない。むしろ今回は止めなくてもいいのだ。そんな贅沢な状況を楽しまなければ勿体無い。
濡れた唇を親指の腹で拭って、今度はついばむように何度かキスを重ねた。彼女の耳を両手で塞いで、舌の柔らかさを分かち合ったり、上顎を舐めてみたり。だらだらと許される限り続けていた。
「ん、んン……、アザークは……本当にキスが好きなんだな」
ずっとぬるま湯に浸かっていたかのように、ふやけた表情のままキウイは柔らかく笑った。
確かに彼女に言われた通り、好きなのかもしれない。だって不思議だ。唇と唇が触れ合うだけで頭が真っ白になるくらい気持ち良くなるし、舌を絡ませる動作も少しの強弱で変化が生じる。許されるのならずっと続けていたいほどだ。
「そんなに好きなら、キスしたまま繋がるか?」
何、その贅沢な提案。
そう言って纏っていた着衣を一枚ずつ剥いで、褐色の肌が露わになった。全体的に引き締まっているのに、女性特有の見事な曲線を描いた二つの膨らみは想像通り健在で、ゆっくりと押し付けられた時には気持ちが最高潮に達していた。
そんな幸福な感触を堪能していた最中、彼女の指先がゆっくりと下腹部に伸びて、服の中を探り出した。そして中指の先が、円を描いて焦らし出した。
「細かいことはいい。ひたすら求め合わないか?」
「———結構、その部分大事なんですけど?」
「お前が焦らしすぎるのが悪い。もう、私が我慢できないことくらい知ってるくせに」
確かに彼女の身体は、前よりももっと熱を帯びて、それでいて柔らかくなっていた。くねっとしなった身体が擦り寄せてねだるから、アザークも満更でもない気持ちになっている。
「……どうすればいいんだ? 寝転んで足を開けばいいか?」
「いや、このままキスを続けてほしいです」
言われるままに一生懸命に続ける彼女の腰を掴んで、押し開くように突き上げた。先端に包まれる感覚が襲い、互いに身体を強張らせた。これ以上動いてしまえばすぐに果ててしまいそうな、味わったことのない感覚が全身を襲う。一方キウイも歯を食いしばって必死に耐えているように伺えた。目に涙を浮かべて、なんとも可愛らしい。
「ねぇ、キウイさん……舌を出して? 先端を絡ませよう……?」
「ん……っ、こ、こうか?」
ここでも素直に従う彼女。夢中になっている彼女の中にもっと深く入れ込んで、より一層熱を堪能した。その先は狭くて、油断をすれば押し返されそうな抵抗があったが、多少強引に押し込めた。
だが、この体勢は初心者のアザークにはハードルが高かったので、腰の括れを掴んでいた手を尾骨のあたりに移動して、ゆっくりとベットに押し倒した。
「あ、今更だけど……キウイさん、湯とか浴びなくても良かった?」と、わりかし真面目に聞いてみたが、彼女は見たことのない艶美で官能的な表情を浮かべたまま「………バカ」と呟いた。
うん、可愛い。それから先は無我夢中で、ひたすら求める様に動いたことだけは覚えている。
………★
自主規制にするの、遅かった?
ギリギリ?
きっとアザークなりに頑張って、焦らして焦らして臨んだと思う。そして中村も、危険ワードを避けていたら、こんな事態に……笑
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