無能王子編:母さんを助けてくれ。
「さて無事王宮内に入れたね。」
「俺らは無事でも警備たちが一才無事じゃないんだが。」
だってめっちゃ追いかけてくるんだもん。
「峰打ちです!安心してください!」
「早瀬さんはもう少し声を抑えてください…。」
「さて、それで女王様の部屋はどこなん?」
「こっちだ。ついてきてくれ。」
王宮内の広い廊下をコソコソと進む。
「にしても王宮内は随分と警備手薄じゃない?」
「そもそも侵入をするのがほぼほぼ不可能なんだよ。王宮の周りを常に兵士たちが警備している。しかもその兵士たちは少なからずこの国でトップクラスの猛者ばかりだ。」
「でもそこまで強くなかったです!」
「そーだそーだ。」
「…多分お二人が強すぎるだけかと。」
照れるぜ。
「照れますね!」
「…確か最近側近になった奴が警備の配置を現在の形にするようていあんしたんだっけな?まぁ俺からしたら人生何周もしてるから最近ではないけれど。」
「…なんか怪しくね?その側近。」
「ん?そうか?」
「外からの介入は減るけどらぎゃくに言うと内部で大分好き勝手できるようになる。それこそ身内からの暗殺とかしやすそうじゃね?」
「確かに…。もしかして国王の暗殺ってその側近の計画なんですかね?」
「無きにしも非ずですね!」
まぁ今国王のこと考えても意味はないしさっさと女王のとこに行こう。
「あ、いたいた。」
一人の女性がベッドで横になっている。
随分と顔色が悪く、呼吸も荒い。
「母さん…。」
…馬鹿にされていたとはいえ思うところがあるのかな。
「さてルシルさんどう?いけそう?」
「少々お待ちを。えっと…。」
「早瀬さんは少しの間人が近づく気配がないか見張って…。」
「治りました。」
「「「えっ!?」」」
思わず大きな声が出てしまった。
確かに女は女王の呼吸は落ち着き顔色も悪くない。
「仕事早くない?」
「聖女ですので。」
「凄すぎです!」
…ルシルさんって本当に凄い聖女だったのだなと再認識させられた。
この聖女を追い出そうとした国があったってマジ?
「よし。それならさっさとここから出よう!」
「待ってください!誰か来ます!」
急いで隠れる。
ルシルさんとソウド君は早瀬さんが上手く連れて隠れてくれたようだ。
扉が開く。
白衣を着た男が入ってきた。
「はぁ?なんか体調良くなってねぇ?」
…随分と医者らしくないことを言っている。
「ったく…めんどくせぇな。さっさとくたばっちまえよ?」
そんなことを言いながら注射器を取りだす。
「ほら女王様。いつものお薬ですよ。さっさと死んじゃってくださいな。」
あーこれダメな奴だ。
「おい。」
「は!?誰だてめぇ!?」
とりあえず思いきり顔面を殴りつける。
医者は壁まで吹っ飛んでいった。
「早瀬さん、縄持ってる?」
「常備してます!」
とりあえず拘束して…。
「そのまま部屋に置いとこう。多分その方が何があったかわかりやすいだろうし。あと注射器もわかりやすい場所に置いておこうか。大事な証拠品だしね。」
あ、でも怪しい側近とかに回収されたら面倒かも…。
そんなことを考えているとドタドタと足音が聞こえてきた。
「佐久間さんがヤブ医者を壁に叩きつけた音で兵士が集まってきたみたいです!」
「じゃあソイツらに注射器も見つけてもらって…ソウド君、国王の部屋の場所教えてくんない?」
「お、おう。」
…とりあえず急いで部屋から脱出した。
「ここだ。」
一度早瀬さんとルシルさんには王宮の外に撤退してもらい、何とかソウド君と国王の部屋まで来た。
「ここで一体何をするんだ?」
「とりあえず今回あったことと側近が怪しい旨を紙に書いて置いていこう。」
女王の部屋に縛られた医者がいたなどというイレギュラーな事態があったのだからしばらくすれば国王のところにも連絡が来るだろう。
「その時に発見してもらえるように置き手紙をしておこうってことか。」
「そういうこと。あんま時間ないしぱぱっと書いちゃってくれ。」
「わかった。」
さて…これで上手いこと国王の警戒心が強くなって女王も国王も殺されないようことが進めばいいんだが…。
「あ!佐久間さん!ご無事ですか!」
「おっすルシルさん。心配御無用、ソウド君も無事だよ。」
あの後国王の元に兵士が向かったのを確認して王宮をでた。
「とりあえず早瀬さん。明日はその後どうなったのかの確認をお願いしてもいいかな。多分警戒も強くなって侵入も困難かもしれないけど。」
「了解です!お任せください!」
「よし!というわけで今日は解散。俺はソウド君を送ってから帰るね。」
「了解しました。」
「了解です!」
「…。」
無言で隠れ家に向かう。
重い空気に耐えられないから俺から声をかけるか。
「…大丈夫かい?」
「まぁ…多少混乱はしているな。」
それはそうか。
何度も解決しようとしていた問題がルシルさんによって1発で解決してしまったんだ。
しかも病気は自然発生ではなく何者かの企てだった。
混乱するのもしかたない。
「彼女は一体何者なんだ?」
「んー?別世界の主人公で聖女。」
「…聖女ってなんだ?」
この世界に聖女の概念はないか。
まぁ魔法とかもない世界だし、せいぜい修道女がいるかどうかって感じなのかな。
「まぁ凄い力を持った人ってことだよ。」
「…羨ましいよ。力を持っている奴らが。」
ポツリと呟く。
「時々思うんだよ。俺に何か一つでも凄い才能があれば、家族の輪に入れたんじゃないのかなって。昔みたいに…仲良く入れたんじゃないかなって。」
…本来は才能関係なく仲良くいることが理想なんだろうけど…やっぱ王族はそうもいかないのだろうか。
「俺が狙われないためってのもあるけどさ…本音を言うと昔みたいに家族みんなとまた仲良くやっていきたいんだよ。人生何度ループしても、家族と仲良く入れた時が1番幸せだったから。」
「…じゃあ努力して力をつけるしかないな。」
「え?」
「才能がないなら努力するしかないんだよ。いくら不貞腐れようが結局答えは変わらない。」
「でも…今からでも間に合うのかな。」
「間に合わせる。俺らの世界の技術でね。」
この世界の技術はお世辞にも高くない。
俺らの世界の技術を与えればまだ強くなれる可能性は十分にある。
「もちろん君にやる気があるのが大前提だけどね。」
「…上等だ。どんな試練でももってこい。軽くこなしてやるよ。」
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