悪役令嬢編:悪魔倒しちゃいましょう!
「さてさて、奥までついたけど…。」
「ここにいるんですか!悪魔!」
「話だとそうなんだけど…。」
洞窟の奥にたどり着いた。
だだっ広い空間にはよくわからない石板が一枚あるのみ。
「どうすればサタンさん出てきますかね!」
「おいコラ悪魔。うちのキアラ嬢のカチコミじゃい。面貸せやコラ。」
「私の名前使って勝手に挑発しないでください。」
さてどうしたものかと悩んでいると。
『貴様…カース家の者か…。』
石板から黒い瘴気が溢れ出たのも束の間、気がついたら目の前に巨大な化け物が現れていた。
デカく黒くツノが生えた…見るからに悪魔な奴だ。
「でてきました!貴方がサタンさんですか?」
『如何にも。我こそが憤怒を司る悪魔、サタンである。』
流石早瀬さん。
相手が悪魔でも物怖じしない。
…とりあえず穏便に終われないか交渉をしてみるか。
「はい、私がカース家の者のキアラと申します。この度は我が一族の不幸体質を消していただきたく伺いました。」
『ほう…。』
サタンがこちらを睨んでいるのが分かる。
『それは当時のカース家の願いを叶える為の代償なのだか…貴様はそれが納得できないと?』
「はい。これっぽっちも納得できません。」
こちらからも悪魔を強く睨み返す。
「確かに過去の契約のおかげで私たちは今の暮らしを遅れているのかもしれませんが、私からしたら過去の契約の尻拭いをいつまでもさせられているように感じてなりません!」
やはり悪魔、少し体がすくんでしまう。
それでも後に引けないし、引いてやるつもりもない。
「お願いを聞き入れていただけないのであれば、大変申し訳ありませんが無理矢理いうことを聞いていただきます。」
佐久間さんと早瀬さんが悪魔と私の視線に割ってはいる。
どうやらやる気は十分なようだ。
『…面白い、どうやら本気のようだな。我も永らく眠っていて身体が鈍っている。軽く身体を動かしたかったところだ!』
サタンがいうのも束の間、思い切り拳を振り下ろしてきた。
拳の勢いについ腕で顔を隠す。
目を開けて前を見てみると…佐久間さんがサタンの拳を身体全体で受け止めていた。
「どうやら相当永い間眠りについていたようですね。随分と身体が鈍っていらっしゃる。」
『貴様…。』
ちょっ!佐久間さんすごい煽るじゃん!
佐久間さんがこちらを一瞥する。
「とりあえず予定通りに。早瀬さんはキアラさんに危険がないよう注意を。俺が前線で戦う。キアラさんは獅子丸と遊んでて。」
「了解です!」
「は、はい!」
『人間風情が…図に乗るな!』
先ほどよりも強力な拳が佐久間さんに一直線に飛んでいく。
「うわっ!」
最初は受け止めようとしていた佐久間さんだったが、咄嗟に避ける。
「これは喰らうわけにはいかないな…。」
避けた拳は佐久間さんの後ろの壁に巨大なクレーターを作った。
「行きます!」
早瀬さんがクナイをサタンに向けて投げる。
…刺さりはするものの効いている様子はない。
「意味なさそうですね!」
それもそのはず、あの巨体にクナイが刺さっても蚊に刺された程度にしか感じないだろう。
「…流石に道中の奴らみたいにステゴロは厳しいか。」
佐久間さんはそう呟くと懐から一丁の銃を取り出す。
「….クナイが効かないのに銃は効くんですか?」
「まぁ見てなって。」
再びサタンの拳が飛んでくる。
佐久間さんはそのまま避ける素振りもなくサタンの手を撃ち抜いた。
するとサタンの腕が一気に弾かれた。
「伊達にいろんな世界回ってないんだ。"特別な武器"も多少ならある。」
さらに懐から小さなキーホルダーのようなものを取りだす。
あ、旅行先でなんか売ってたりする剣のキーホルダーた。
男の子ってこういうの好きだよね。
偏見だけど。
すると剣のキーホルダーが光り、急に大きくなった。
「個人的には殴り合いが好きだし得意だけど、致し方なしってことで!」
佐久間さんが剣と銃を携えて突っ込んでいく。
サタンも腕を振り回すが、佐久間さんはそれらをうまく回避しながら斬りつけた。
『…ほう。』
「さぁ!今度はこっちが攻める番だ!」
1時間は経っただろうか。
今のところ佐久間さんも早瀬さんもサタンの一撃をまともに喰らってはおらず、うまく捌けている。
ただ有効打となる攻撃を与えれるのは佐久間さんのみである。早瀬さんも賢明にクナイを投げているが効いている様子は特にないのだ。
『貴様…中々面白い武器を使っているな。』
「…そりゃどうも。」
『だが…本当にその程度で我に勝てると考えているのか?』
「勝てるよ。」
佐久間さんは一切の迷いもなく答える。
「まぁ予想より遥かに強いし大変ではあるが、変わらず勝つさ。」
サタンが笑う。
『本当に面白いな。では、これは耐えられるかな?』
サタンが指を鳴らす。
すると地面から火柱が生えてきた。
咄嗟に躱す佐久間さん。
さらに避けたところからも火柱が生える。
『休む暇も与えん。いつまで逃げ続けられるかな。』
「…第2ラウンドかな。」
佐久間さんは常に走り回りながら攻撃しているが、サタンに上手く突撃ができずほとんど銃での攻撃ばかりである。
「効いていない訳ではないけれど…。」
見る限り拳での攻撃が1番有効な攻撃。
それが使えなくなったのも痛いし、その分長期戦となると避け続ける佐久間さんの体力も心配になる。
「佐久間さんなら大丈夫です!」
いつのまにか隣にいた早瀬さんが言う。
「….だと良いんですけれど。というか攻撃がほぼ佐久間さんにしか向いていませんね。」
「佐久間さんさえ倒せば現状サタンさんに有効な攻撃がなさそうですからね!それに佐久間さんが戦う直前にサタンさんを挑発してましたよね?アレも攻撃が自分に集中する様にするためです。」
….そこまで考えていたんだ。
「…一応私もここからデバフをかけようとしているんですけど、あんまり効果が無さそうです。」
カース家は呪いが得意。
ゲーム内でもヒロインと戦う際にはデバフを後ろからかけまくっていた。
「…デバフってどんなことができますか!」
「え?確か攻撃防御のステータスダウンと継続ダメージ。あと状態異常とその耐性ダウンとか…。」
正直敵NPCの攻撃パターンとか覚えてない。
私がとりあえず記憶しているキアラは『後ろから呪いで妨害なり状態異常なりをずっとしてくるうざいギミック』といった印象だった。
「キアラさん!」
早瀬さんが急に私の手を取る。
「はい!?」
「やってみて欲しいことがあります!」
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