7月22日(土) 『賑わい』
夏休みが始まって最初の土曜日の夜。私は、高校の友達グループと一緒に、花火大会を見に来ていた。
「あいら〜。順番で、屋台見に行こうよ。ミサキたちが荷物見ててくれるって」
「うん。じゃあ、何か食べ物買ってこようか。ちょっとお腹空いてきたし」
この辺りでは規模の大きい、災害時の避難場所にもなっている公園。芝生の上にブルーシートを敷いて、友達と場所をとっておいた。コロナ禍だったこともあり、数年ぶりの開催となったこの花火大会。公園内には屋台がいくつも出ていて、人も多く集まり、久しぶりの賑わいを見せていた。
友達の華と屋台でかき氷を買ってきて、ミサキたちが留守番をしていてくれた場所に戻る。今度は私と華が残って、場所と荷物を見ることに。
花火が打ち上がるまで、まだ三十分はあるだろう。華とお喋りしながら、ミサキたちが戻るのを待つ。
「あいらは夏期講習とか行くの?」
「ううん、今はまだ塾とか考えてなくてさ。二学期の成績次第で、塾探そうかなぁって親と話してるところ」
「いいなぁ〜。うちは両親そろってうるさくて。この夏休みも塾で勉強漬けになりそう。部活、もっと頑張りたいのに」
「そっか……。期待してるからってのはあるだろうけど、プレッシャーって言うか、親からの圧を感じるって言うか……。結構、重いよね」
「ホントそれ!高二ってもっと遊べると思ってたのに〜!」
華の言葉に、深く、何度も頷いた。
「私は夏期講習行く予定ないし、夏休みは家で淡々と宿題を消化するよ。家だったらラジオ聴きながら勉強できるし」
「ラジオ?あいらってラジオ聴くんだ?」
華は意外そうに
「うん。おばあちゃんの形見のラジオを、三週間くらい前にもらったんだ。テレビと違って耳だけ傾けていればいいから、ながら聴きしやすいんだよね」
「へぇ〜。そうだったんだ。私はいつもスマホで音楽聴きながら勉強してたけど、好きな曲に意識持っていかれちゃうことあるんだよね。私もラジオ聴きながら勉強してみようかなぁ」
華はラジオに興味を持ってくれた様子。ラジオのCMで、ラジオを聴けるスマホアプリのradikoの存在は知っていた。華にradikoのことを伝えてみると、
「今月の通信量ヤバいから今は無理だけど、帰ったらすぐに家のWi-Fi繋いで入れてみる!ありがと!」
と言ってくれた。華がラジオにハマるかは分からない。でも私の話を聞いて、ラジオなんて、などと否定せずに関心を持ってくれたことが嬉しかった。
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