7月17日(月) 『砂浜』

 蒸し暑い月曜日の夜、私は自室でラジオを聴いていた。

 七月限定のラジオ番組、タソガレドキにはアイスティーを、略してタソアイ。今夜はパーソナリティで声優の瀬戸川セツナさんと、ゲストとして、声優仲間だという女性が出演していた。


 メッセージテーマは海の日にちなんで【海の思い出】とのこと。

 ラジオから届くセツナさんの声からは、嬉しい気持ちと喜びの感情がにじみ出ている。


『タソアイの番組初ゲストがユウリちゃんで嬉しいです!ユウリちゃんとは、プライベートでも仲良くさせてもらっています。私たち、一緒に海へ行ったこともあったね』

『うんうん。あの日はとっても楽しかったですー。特に、砂浜で砂のお城を作るのに夢中になっちゃって』

『そんなこともあったねぇ〜。あれはもはや芸術作品、アートでした!』

『えぇー?アートってほどでもないですよぉ〜。セツナちゃんは、私の隣で砂にお絵描きしてましたね。なんか、すごく個性的な絵で──』

『あー!あれは忘れて!私、絵心ないので!』


 若干焦った様子で親しげに話すセツナさんと、おっとりとした口調で楽しそうに喋るユウリさん。二人とも、ですます口調に時々タメ語が混ざっているあたりからして、本当に仲が良いのだろう。プライベートではお互い、完全にタメ口で話しているのかも。

 高校二年生の私から見るとお姉さん二人の女子トークなのだが、聴いていてなんとも微笑ましい。


 セツナさんがリスナーさんのメッセージを紹介して、ユウリさんと一緒にコメントしていく。

 海の思い出と、ひと言でいっても十人十色。海水浴を楽しんだ思い出、予想以上に日焼けしてしまった思い出、バーベキューをした思い出、夜に打ち上げ花火を見た思い出、などなど。

 リスナーさんの数だけ、それぞれ夏の思い出があるんだなぁ。


 いつものタソアイと違って二人喋りの今夜の放送は、ユウリさんの人柄もあってか、ほのぼのとしていて。穏やかな時間がゆっくりと流れていくのだった。

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