7月16日(日) 『レプリカ』

 日曜日の午前中、二度寝、三度寝を繰り返している時。夢を見た。


 私の前には、もう一人の私がいた。まるでレプリカのように、今の私と同じ姿だった。


 高校の制服姿の彼女は、私に笑顔を向けて手を振る。そこから視点が変わって、彼女の過ごす日々を俯瞰ふかんで眺めることになった。


 高校に通って、授業を受け、部活を楽しみ、友達と遊ぶ。私と一緒だったけれど、彼女の所属している部活は演劇部だった。そこだけは私と違った。

 やがて高校三年の受験生になると、彼女は必死で勉強をしていた。彼女は大学へ進学し、そこでも演劇を学んでいるようだった。そして、大学生をやりながら声優養成所へ通っていた。どうやら声優を目指しているようだった。


 夢の中で、私はこれが夢だと認識していた。

 最近、ラジオでセツナさんの──声優さんの声を聴いていたから、影響されてこの夢を見ているのかな。だって、私自身は声優になりたいと思ったことは無いもん。

 ただ……。声優を目指して努力している彼女のことは、自然と応援したくなった。姿形が私と瓜二つだから、親近感からかな。


 夢に向かって一生懸命な彼女は、素直にすごいなと思ったし、少しだけ羨ましかった。


 ***


 お昼前に設定しておいたスマホのアラームで目が覚める。


「ん〜……。ふぁぁー。よく寝た……」


 寝ぼけまなこでスマホの時刻を確認して、アラームを止めた。もう十二時近い。

 お父さんもお母さんも、寝坊してるのかな。まあ、週末くらい、いいよね。


「あれ……?なにか、夢、見てたような……」


 記憶はあるけど朧げだ。

 夢を見ていたことは、覚えている。その内容は……。


「なんだったっけ?」


 数分かけても思い出せなかった。

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