7月18日(火) 『占い』
『──になりました。こんばんは、声優の瀬戸川セツナです。七月限定の番組、タソガレドキにはアイスティーを。略して、タソアイ。月曜日から──』
「タソアイ始まった!アイスティー持ってこよー」
夏休み目前の火曜日、夜七時。私、櫻井あいらは自室の卓上ラジオから届く声に反応する。
メッセージテーマが発表される前に曲紹介がされた。曲が流れている間に急いでキッチンへ行き、マグカップにアイスティーを入れて戻ってくる。
『──でしたね。さて、七月三日にタソアイの放送が開始してから、もう半月が過ぎました。一ヶ月限定の番組ですが、ありがたいことに毎日メッセージが届いていまして。リスナーのみなさん、いつもありがとうございます。毎回テーマを設けていましたが、実はテーマ以外のメッセージも多く頂いているんです。放送時間の都合上、全部はご紹介できず申し訳なく思っています。そこで、今夜はメッセージテーマを設けずに、フリーにします!ふつおた、普通のお便り大歓迎です!』
「フリー……。メッセージ、なんでもいいってことね」
セツナさんの声を聴きながら、タソアイの放送期間が残り半月もないことに、今更気がつく。初回の放送から七月限定、と話していたし、最初から決まっていたのだろうけれど。
ちょっと、もったいないし、寂しいかも。
『メッセージ紹介しますね。埼玉県、三十一歳、女性、ラジオネーム、本当は本の虫になりたいさん。《セツナさん、こんばんは。私は結婚願望があり、昨年末からマッチングアプリを使っています。良い方と出会いたいのですが、口下手なこともあり苦戦しています。先日、占い師さんに占ってもらいました。年内には運命の相手と出会える、と言われたのですが今のところその
「なるほど……。興味深いな」
マッチングアプリは使っていないし使う予定も無いけど、良い話を聴けた。
見ず知らずのリスナーさんだけど、その人の人生の一瞬が、垣間見えた気がした。
本来知るはずのなかった他人の生活が、電波にのって
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