慌ただしく出征準備に追われていたリリーは、やっと一息つけたと思った頃にクラウスの執務室に呼ばれて怪訝な顔をしていた。

「何これ」

「見てのとおりドレスだよ。古着だけどな」

「見れば分かるわよ。どうしたのよ、こんなに並べて」

 長卓の上には色とりどりのドレスが数着置かれている。兵舎で剣の統率官の執務室にあるはずもないものがあるのは異様な光景だった。

「明後日の夜会、どうせ新しいドレスなんて用意してないだろ。知り合いからほとんど着てないドレスもらってきたから、どれでも好きなの持っていっていいからな。全部でもいいぞ」

 出征の前々日には王宮で大々的に宴が催されるのだ。無論リリーも雷軍補佐官として出席するわけだが、確かにドレスは三着しか持っておらず新しいものを新調しているはずもなかった。

 興味がないわけはない。そう頻繁に必要なものでもなく高額なのでもったいなくて用意できないだけなのだ。

 だから目の前に広げられている華やかなドレスにも、心惹かれるものがあった。

「……急にどうしたのよ。何か企んでる?」

 リリーはドレスを横目で見つつ、クラウスの表情を窺う。

 今までクラウスから何か貰ったことなどない。これだけに関わらず、この頃の彼の言動には不可解なものがあった。

 自分のために体を張ってラルスと対峙し、軽傷とはいえ傷まで負った。その時の額の傷はほとんど見えなくなっているものの、目を凝らせばうっすらと分かる程度に痕が残っている。

「着飾るのもこれで最後かもしれないだろ。どうせなら着古したドレスより、新しい方がいいってだけだよ。一応まだ、婚約者、だろ。それなりの格好も必要だしな」

「悪かったわね。どうせあたしが持ってるのは安物のくたびれたドレスばっかりよ。そうね、あたしまだあんたとそういうことになってたわね……」

 婚約の噂は誰も何も言ってこないのでほとんど忘れていた。

 リリーはそういうことなら一着だけ貰っておこうかと、見るからに高級そうで新品に見えるドレスにそっと触れてみる。

「これ、本当にお古なの?」

「お古。一度や二度袖通して飽きるご令嬢なんてごろごろいるんだ」

「この戦況でよく贅沢する余裕があるわね……」

 呆れつつもリリーは薄紅や杏色、緑に青と色とりどりのドレスの繊細なレースや刺繍に見とれてしまう。

 年頃の少女らしく綺麗な衣装に目を輝かせるリリーにに、クラウスが眼鏡の奥を細めて柔らかく微笑む。

「迷うなら全部持っていってもいいんだぞ」

「いいわよ。本当にドレス着るなんてこれが最後かもしれないんだし。バルドに髪飾り貰ったから、それに合わせられそうなのにするわ」

「まさか、またその辺の花とか木の実じゃないだろうな」

「違うわよ。市の視察に出たときに小間物屋で買ってきてくれたの」

 リリーが花や木の実を髪に挿しているのを見ていたバルドは、時々目についた花をよく贈ってくれる。

 昨日貰ったのは、瞳の色と同じ深緑の色をした天然石の粒を、一枚の葉を象った銀の台座に隙間なく埋め込んだバレッタだった。

 さすがに夜会は野草ではなく人工物をつけるということは覚えていたらしい。

 バルドがローブの袖から包みもしないバレッタを取り出した時を思い出して、リリーは口元を綻ばせる。

「そんな街中で手に入る安物より、王宮に使ってない宝飾品なら腐るほどあるだろうから、一個ぐらいくすねてくればいいのにな」

 クラウスが少し面白くなさそうにぼやく。

「いいの。あたしがよく買い物してる店だからなんだし、そんな高価なものつけたって分不相応ってやつよ」

 バルドはいつだって自分のことをよく見ていて、好きなものを覚えていてくれる。だから贈り物ひとつひとつが、自分ことを考えてくれているのだと感じるのだ。

「もう皇太子殿下もいないし、俺との婚約で周りの目もある程度誤魔化せてるからバルドとは上手くいってるみたいだな」

「……変わらないわよ。前と一緒。別に、今まで上手くいってなかったわけじゃないんだし」

 リリーはクラウスの問に目を伏せて言う。

 いろいろと面倒なことは多いのは、ラインハルトとが生きていた頃とさほど変わらない。違うのは自分のバルドへの気持ちに疑いを持っていること。

 たったひとつだけれど、あまりにも大きすぎる違いだ。

 バルドが贈り物をくれることや、いつも気にかけてくれることも嬉しいしそんなバルドが好きだというのは変わらない。

 ただその好きが自分自身のものなのか、いつもどこかで疑っている自分がいる。

 だからバルドの優しさが時々後ろめたい。

「確かに上手くいってないってわけじゃなかったか。でも、変わらないのか」

「いいの。変わらなくても。……これにするわ」

 杏色か髪飾りと同系色の薄緑にするか悩んで、胸元や袖口の刺繍が上品な杏色のドレスに決める。

「そうか。じゃあそれ着たところ楽しみしてる」

「綺麗な女の子いくらでも見慣れてるでしょ。まさかあんたまたあたしを盾にする気じゃないでしょうね」

 女癖の悪いクラウスには複数の交際相手と同時にかち合いそうになった時に、よく言い訳に使われた。

「いや、そっちは全部片付けてるから問題ない。婚約の話出てからは、全然遊んでないし。相手もしてもらえなからない。そう疑るなって。俺はただ可愛い婚約者に、いつもより綺麗な格好してほしいだけだよ」

 クラウスは本音も嘘も同じ顔で語るし、大事なことは上手くはぐらかす。

 だからこそほどほどに信頼して距離を置ける、付き合いやすい相手でもあるのだ。

「じゃあ、もらっておくわ。ありがとう」

 何やら最近クラウスに貸しばかり作っていることに引っかかりつつも、リリーは贈り物を受け取る。

「あと、もう少しで出征ね」

 クラウスとこうして一緒にいるのも最後かもしれない。

 クラウスは離叛するつもりだから、上手く他の魔道士達の目をすり抜けて出て行くか見つかって処分されるかのどちらかになるだろう。

「ああ。そうだな。北は少し涼しいかな」

「そうだといいわね。ローブは暑いし。……行く前の準備早く片付けないとね」

 クラウスが先のことに言及しないのに、リリーはあまり深入りせずにふたりで職務を進めることにする。

 バルドも王宮に詰める日も増えて今日も夜まで兵舎にはこない。

 後少しで戦場に出られると思うと気持ちは沸き立つ。その前に、髪を入念に整えて、綺麗な服を着られることも楽しみだった。

 人が多い夜会はうんざりするけれど、着飾っているだけでも気分は違う。

(全部とお別れかもしれないわね)

 もしかしたらこの兵舎に帰ることすらないのかもしれないと、リリーはぼんやりと思う。

 戦場に出て帰ってこれるかどうか分からないのはいつものことなのに、今回はやけにそのことを強く意識してしまうのはこれまでで一番の大戦になるからかもしれない。

(本当にあたし、バルドと最期まで一緒にいられるのかしら)

 ふと胸によぎる疑問に対する答はなかった。

 少なくとも死に場所は戦場だということぐらいしか、自分の未来は見通せない。

 しかしそれだけ分かっていれば十分だとも思えた。


***


 西日が眩しく、夏もやがて過ぎていくのだなとエレンは茜色に染まる私室で思う。

 ラインハルトの侍女を辞して生家のベレント男爵家に戻ってから、緩やかに西日の差し込む角度が変わっていくのに時の移ろいを感じていた。

 侍女のお仕着せは当然もう着ず、質素なドレスを着てふたりの侍女に世話をされている日常はまだ馴染まない。男爵家令嬢として当然のことで、自分が侍女の勤めをしていたのはわずか四年のことだ。

 なのにそれまで十六年過ごした生家での暮らしより、侍女であった頃のことほうが記憶に深く刻まれている。

「生きてどうしろと仰るのですか……」

 もう眼裏にしか残っていない主君の笑みに、エレンはそっと問いかける。

 ラインハルトに殉じるつもりだった。

 自分にとって彼の側に仕えることが全てだったのだ。役目を失った自分はいらない。孤独だった主君に最期まで自分だけは寄り添っていたかった。

 なのに、最期の最期にラインハルトは自分に生きろと命じた。

 遺言に従って彼の遺灰を海に撒きながら、そのまま身投げしたい衝動を押し止めたのは主君の命令だった。

「エレン、いいか?」

 扉が叩かれて父のベレント男爵が部屋に入ってくる。屋敷にこもりきりな自分を案じて、父は何か口実を見つけては日に何度も様子を見にくる。

「……また、手紙ですか」

 ベレント男爵が持ってきた封筒にエレンは表情を陰らせる。

「返事は書かないのか? 皇都の友人もお前のことを恋しがってるのだろうに」

「ええ。まだ何を書いていいのか思いつきませんので。近いうちに返信するつもりです」

 すでに封蝋が破られている封筒を受け取って、エレンは父が部屋を出るのを待つ。

 自分と父はグリザドの心臓について知っている数少ない人間だ。皇都から送られてくる手紙に検閲が入るのも仕方ない。

 差出人の名はは王宮で同じく侍女をしていたふたつ年上の女性からだ。

 だが今度で二通目となる彼女からの手紙の本当の差出人は、クラウスからだった。一見すれば季節の挨拶や日常のできごと、機密にはならない皇都の様子が書かれているだけだが、よく読めばクラウスが自分の状況を伝え情報を乞う内容になっていた。

 最初の手紙の内容は『仔猫が中庭に入ってきていたが、親猫は見つからなかった。エレンが前に見た猫の子かもしれないけれど、どんな色の猫だっただろうか』という、リリーの出自を暗に問う内容だった。

 今回はその仔猫を飼いたいということ、もうすぐ北に向けて出征で皇都は慌ただしく自分も仕事が増えたという内容だった。返信が欲しいという記述もあった。

 出陣の日取り自体は機密でもなんでもない。後半はごく単純にクラウスも出征が決まったから、それまでに返事が欲しいということだろう。

 そしてやはり彼はリリーを手に入れたがっているらしかった。

(もう私には関係のないこと)

 ラインハルトと過ごした思い出を胸に抱いて、時が過ぎるのを見送るだけの毎日があればいい。

 だが、どこまで生きればいいのだろう。

 ハイゼンベルクが滅ぶまでか、あるいはもっと先のことか。

 だがこんな片田舎にいるだけでは結局何が起こっているのか、分からないままで終わるかもしれない。

 父はどこかに嫁ぐならじっくりといい相手を探し、望むなら婿を取って家を継いでもいいという。

 どちらの選択肢も気が進まなかった。

 自分が変わってしまえば、ラインハルトと過ごした日々が遠ざかってしまう気がする。

(生きていたら、どうされていたのか)

 ラインハルトが生き延びられる可能性は、ないに等しかった。あれが彼の天命だった。

 それでもいずれ即位しただろうラインハルトが、どうやって生きていっていたか夢想してしまう。

 ハイゼンベルクの敗戦はきっと、もう誰にも変えようがないことだ。

 その終わりの瞬間をラインハルトならどう迎えただろう。そうして彼のいないこの国は、どんな道をたどるのか。


『君が生きている限り、私は君の中で少しは生きられる気がするんだ』


 エレンはふっとラインハルトの今際の際の言葉を思い出して、机の上のペンとインクを取って返信用の紙も目の前に置く。

 全てをを悲観して何もしないのは、ラインハルトのすることではない。

「運命に抗うのがあなただった」

 何をしてでも生き抜く。それが自分が誰よりも忠を尽くした主君だ。

 怒濤のようにラインハルトの側に仕えた日々が胸に押し寄せてきて、今まで静かな思い出に沈んでいた感情が揺すぶられる。

 自分は今、大きな切り札を持っているのだ。みすみす捨てて死をぼんやり待つだけではいけない。

 エレンは白い紙にペンを走らせる。

 生き抜いて全ての先を見届けるために――。

 

***

 

 夜会は突然の夕立の中始まった。今は庭先から漂う土や緑の匂いの濃い風が残る程度で、雨が降ったことが嘘のように半月と星々が藍色の空で鮮やかに輝いている。

 リリーはいつも通り、人混みからは離れて大広間の隅でぽつんと豪華な食事をつまみながら華やかに着飾った貴族達を眺めていた。

 バルドは高官を相手にするのに忙しいらしく、自分を側に置かないことに決めたのだ。

 肉は食べたから次は魚でも食べるか、それとももう焼き菓子に手を出すか。

 少し先にある長卓に並べてある料理の数々を目で追っていると、視界に葡萄酒色のドレスを纏ったヴィオラの後ろ姿が入ってきて、リリーは場所の移動を考える。

 しかしそれからすぐにヴィオラが振り返った。

「リリーちゃん、今日は見ないドレスね。可愛い。あら、いいドレスと靴なのに、髪飾りが安っぽいのがちょっと残念だわあ」

 軍靴と同じく踵の高い靴を履いたヴィオラが、リリーのバレッタに目を留めて小首を傾げる。

「……いいんです。気に入ってるんですから」

 ドレスの後にクラウスがつい忘れていたと、高級そうな靴まで寄越してきたのだ。そうなると髪留めが浮いてしまうのはわかっているけれど、これだけは譲れない。

「誰かいい人からの贈り物かしら?」

「そういうのじゃないです」

 興味深そうに問うてくるヴィオラに、リリーは目を逸らして答える。

「そうですの。そうねえ、クラウスならもっと上質なものをえらびますわよねえ」

 何やら面倒なことになってきた気がする。リリーはひとりでどう交わそうか考えていると、ヴィオラの後ろの人混みがすっと割れるのが見えた。

 バルドではない。

「こんにちは。ヴィオラ様、リリーさん」

 同性でも口を半開きにしてみとれてしまうほどの麗しく、アンネリーゼが微笑みかけてきた。

 金糸の髪には大粒の真珠が飾られ、紺碧色のドレスが奇跡的なほど均整がとれた肢体を包んでいる。

(近くで見るとまたすごわね)

 思えばこんな間近でアンネリーゼを見るのは初めてだった。遠目でも十二分に美しい女性だったが、間近にすると美の塊に気圧されそうになる。

 このアンネリーゼが夫の首を切り落としたなど、未だに信じられない。

「あ、はい。こんにちは……」

 リリーはどう対応していいものか分からず無難に挨拶を返す。

「こうしてお話しするのは初めてですわね。ドレス、お似合いになっていてよかったわ」

「え、あ、もしかしてこのドレスと靴、アンネリーゼ様のですか」

 クラウスが言っていた知り合いとは、こういうことだったのだろうかとリリーは固まる。

「いいえ。わたくしがお付き合いのあるご令嬢から頂いたのよ。クラウスに女性の『お友達』はいないでしょう」

 くすくすと笑うアンネリーゼの笑顔は、やはり上品で美しいのに何か寒気を覚えるものだった。

 彼女の内側に鋭い刃がある。アンネリーゼが自分やヴィオラと同じ、『剣』の魔道士であるのは間違いない。

「そうですわねえ。お友達なんて可愛らしいお付き合いできませんものねえ」

 ヴィオラが冷めた顔で言うと、本心の読み取れない顔でアンネリーゼがうなずく。

「ええ。本当に困った方ですわリリーさんだけはよいお友達になれたと言っていたのに、婚約だなんてやっぱりお友達は作れそうにありませんわね。リリーさん、クラウスのことこれからもよろしくお願いしますね。では、まだわたくしご挨拶に回らねばいけないので失礼します」

 そしてアンネリーゼは優雅に身を翻して人混みの中へ入っていった。

「あらあ、リリーちゃん、あのお人形さんに下に見られちゃったわねえ」

「……そうなんですか? ジルベール将軍はあまりアンネリーゼ様のことは気に入ってないんですか?」

 小さくて可愛いものが好きというヴィオラにとっては、あのまさに生きた人形のようなアンネリーゼのことも好きそうに思えたのだが。

「あまり可愛くありませんのよねえ。リリーちゃんの方がわたくしとしてはとっても可愛らしくて好きですわよ。ドレスと靴までクラウスは用意しておいて、髪飾りは贈らなかっただなんてお友達だからかしら? 婚約したのかしてないのか、わたくしにはっきり教えて頂けない?」

「そういう話は出てますけど、あの性格だからどこまで本気かあたしも知らないです」

 だいたいはそう返しておけば、クラウスとの婚約の話は流せる。

 変に遠回しに訊かずに、直接問うてくれた方が対応がしやすいとリリーは胸を撫で下ろす。

「そうですわねえ。でも、クラウスが結婚をちらつかせるなんてよっぽどな気もするけれど……噂をすれば、クラウスだわ」

 しかしなかなか食い下がらないヴィオラが、人を探している風なクラウスを見つける。

 向こうもすぐに気付いてそのまま側に来た。

「ヴィオラさん、どうも今日もお綺麗ですね。リリー、ドレス着てくれてるな。似合ってるよ」

 クラウスは一旦屋敷に戻ってから夜会に出席しているので、ドレスを着た姿を見せるのは今が初めてだった。

「まあ。相変わらず口がお上手ですこと。もう少し早くきていれば綺麗なお義姉様もいましたのに」

「リリー、義姉上に会ったのか」

「うん。あんたのことよろしくだってさ」

「そっか、それはいいや。ヴィオラさん、俺、リリーと大事な話がしたいからもう行きますね」

 クラウスが何か思案しつつ、ヴィオラの返事を訊く前にリリーの手を引いてその場を離れる。

「ありがとう。助かったわ。炎将苦手なのよね。じゃあ、あたしはゆっくり美味しいもの食べてるわ」

「大事な話があるのは本当だ。リリー、ちょっとだけいいか?」

 クラウスが自分を一緒につれていったのは、てっきりヴィオラに余計な詮索をされるのを避けるためかと思っていたリリーは怪訝な顔で首を傾げる。

「バルドも忙しそうだしあたしは食べることぐらいしかやることないからいいけど、ここじゃ話せないこと?」

「そうだな。ここよりもう少し人が少ない所がいいな」

 いつになく深刻そうなクラウスに、リリーは次の戦についてだろうかと考えながら素直にテラスまでついていく。

 そこからは、花の盛りを迎えた凌霄花ノウゼンカズラが月明かりを受けてぼんやりと闇夜に浮かび上がっている中庭の様子が見える。

 ただまだ雨の名残が残っているせいか、人はほとんどいない。

 湿った夜風はひんやりとしていて心地いい。

「ドレス本当によく似合ってる。綺麗だ」

「あんたの兄嫁見た後だと、ただのお世辞にしか聞こえないわね」

 自分が美人という訳ではないのは重々知っているリリーは、思ったことをそのまま口にする。

「そこはいいだろ。リリーはリリーで綺麗で可愛いよ」

 クラウスがやたら上機嫌そうに言うのに、リリーは身構える。

「ねえ、すごく厄介なこと言い出す気じゃないでしょうね。あたし、あんたの離叛には目を瞑るけどそれ以上の手は貸さないわよ」

 クラウスが離叛することに関しては咎めもしないし、止めるつもりもない。将軍補佐官という立場ではあるが、元々はバルドの通訳としての地位だ。自分は責任まで負うつもりなどまったくなかった。

「そういう話じゃないけど、そこも関わるか……」

 クラウスが深呼吸をひとつして、目をしっかりと合わせてくる。

 今まで見たことがない真摯で真っ直ぐな視線に驚き、リリーは目を瞬かせる。

「リリー、俺と結婚して欲しい」

 そうして告げられた言葉と真剣さに、また馬鹿な冗談とも言い返せずに思考が止まった。

 暗がりの中で響く虫の声がやたら大きく聞こえる。

 まるでクラウスと自分のふたりしかいない場所に突如放り込まれたような、奇妙な感覚があった。

「……なんで」

 そして真っ先に出た言葉がそれで、クラウスが苦笑する。

「リリーが好きだから、ずっと一緒にいたいと思った。俺はバルドみたいに一緒に死のうとは思わないリリーと、一緒に生きたい。だからまだこっちにいるんだ」

 なにひとつはぐらかさない素直な言葉であるからこそ、嘘をまるで感じられなかった。

 かといってそうだったのかとあっさり呑み込むには、あまりにも突然すぎた。

「あたし、最近やっと友達出来たのかなって思い始めたところなんだけど」

 リリーはクラウスに対する自分の気持ちを反芻してみて、自分に確認するために声に出す。

 嫌いではないし好きとも違うが、一緒にいても居心地が悪くない。

 それが自分にとってのクラウスの存在だった。たぶんそういうのも友情というものかもしれないと、ぼんやりと思い始めていた。

「俺は男と女の間に友情は成立しないと思うな。俺はリリーのことに好きになった。だから、友達は嫌だ」

「そんなこと言ったって……」

 こんなことは無論初めてで、何が最良の返答のなのか分からない。

「今すぐ返事が欲しいってわけじゃない。バルドに最後までついていくのを決めてるのも知ってるしな。ただ、俺との方がリリーにとっていいかもしれないって考えて欲しい。俺達さ、一緒にいて居心地が悪くなくて、でも四六時中一緒にいないといけないってほどでもないだろ。お互いにとって重荷になりすぎないぐらいで、ちょうどいいんんじゃないか?」

「あたしはバルドのこと重荷だなんて思ったことないもの……」

 どこよりも居心地がよくて、一緒にいないと不完全な気がする。

 自分とバルドはお互いずっとそうだった。

 ただ単純に一緒にいるということすら様々面倒があったけれど、重荷だと感じることなどなかった。

(バルドは、どうなのかな)

 今、バルドは自分ひとりで何もかも背負い込もうとしている。自分こそが重荷なのかもしれない。

 しかしバルドが望む以上は側にいるつもりだし、そうでなくとも自分の行く先は決まっている。

「それに、あたしは戦えなくなるのは嫌なのよ。戦が終わるときに一緒に終わりたい。バルドが一緒だろうが、一緒じゃなかろうが戦場だけがあたしの楽しみで生き甲斐なの」

 戦が終わった先に生きることなど、まったく想像がつかない。ほんの少しの間実戦に出られないだけで、こんなにも闘争に餓えてしまっているのだ。

 戦がなくなってしまえば、きっと心が耐えられない。

「リリーはさ、こんな戦況だし生い立ちもあるから楽しいことを知らなすぎるんだよ。リリーにとって戦が百楽しいことなら、俺はリリーが楽しいことを千でも万でも見つける。一生飽きさせない。今日のドレスと靴もリリーにとって楽しいことのひとつだろ」

 自分は戦以上に楽しいことは知らない。だが確かに戦ほどではないけれど、心を浮き立たせられるものは知っている。

 綺麗な格好をするのは楽しいし、美味しいものを食べるのも楽しい。

(クラウスだって、あたしのためにドレスと靴を用意してくれたのよね……水将を相手にしたのもあたしのためだった)

 その気持ちをどう受け止めていいか、戸惑ってしまう。

 ただでさえ他人からの好意というものに馴染みがないというのに、今までただの顔なじみでやっと友人だと思い始めた相手に求婚されるのは本当に困ってしまう。

 だが、リリーは戸惑いはどうすればいい断り方なのかでしかなかった。

「ごめん、あたし、あんたとは一緒には行かないわ……」

 結局謝るぐらいしかできない。

「だから、今返事しなくてもいいって言っただろ。俺はリリーと一緒に生きて、リリーのこと幸せにしたい。子供とかできたらさ、リリーならきっとそっちにかかりっきりで戦場のことなんて考えられなくなるんじゃないか? 俺は特別子供が好きってわけでもないけど、リリーとの子供なら欲しい」

「子供……」

 リリーはつぶやいて自分の心臓の鼓動に耳を澄ます。

 自分はいずれ心臓のない子供を産むことになるのだろうか。皇家の血統以外との間ならば、普通の子供を産むのかあるいはできないのか。

 まったく見当がつかないが、子供が欲しいとは思えなかった。

「自分がろくな人間じゃないのはわかってるけどさ、いい父親になれるよう努力もするしな。リリーには、まだいろんな選択肢があるんだ。俺よりましな男だってそりゃいるだろうけどさ、そこは譲らない。もう少し考えておいてくれないか?」

 どれだけ考えても出る答は一緒な気がするのだが。

「……分かった。この話はちゃんと覚えておく。ドレスと靴、本当にありがとう。これのお礼も考えておくわ」

「俺はリリーの喜ぶ顔と、綺麗な格好してる所見たかっただけだからこれで十分だ。今度は髪飾りまで全部贈らせてもらえればいいな」

 少し悔しげにクラウスがリリーのつけているバレッタに目を落とす。そしてリリーが困り顔で返答に窮していると、彼は肩をすくめた。

「そんな顔するなって。もう中に戻るか。ああ、バルドには俺がリリーのこと好きだって言ってるからな。俺と一緒にいるの、嫌がってただろ」

「……そのせいなの?」

 大広間へ戻りながら、リリーはバルドの不機嫌の理由に眉を顰める。いつか自分が離れてしまわないか不安だったのだろうか。

「そうだろう。自分のものに手を出されるのは面白くないんだ。じゃあ、今日はもう会えそうにないからまた明日な」

 クラウスが近づいて来るバルドの姿を見つけて側を離れていく。

 リリーはバルドが自分の元にたどりつくまで一歩も動かなかった。自分からバルドの側に寄ることもできなかった。

「……リー、探した」

「ごめん、ちょっとテラスに出てたのよ。挨拶とか話とか面倒くさいの終わったの?」

 リリーはクラウスと話したことを咄嗟に隠してしまっていた。

「終わった。……クラウスと一緒」

 しかしバルドはクラウスといた所から見ていたらしく、かえって気まずい思いをすることになった。

「……後で話すわ」

「俺は退席する。リーは、まだいる?」

「できるならもうあたしも出たい」

 もう何か食べる気分でもないし、人混みの中にいるだけになるのは疲れる。

「別室で話す」

「……うん。そうね」

 兵舎に帰ってもう寝ているかと思ったが、バルドと軍務以外で一緒にいられる時間もあまりとれないのでテラスでの話は他の部屋ですることにした。

 それにいつまでも言わないでおくのも、胸がつっかえたままで落ち着けない。

 そうしてリリーはバルドと共に、静かに宴から抜け出した。


***


「バルド……」

 休憩室となる部屋に入ってすぐに、バルドはリリーの体を抱きすくめた。

「リー、見つからなかった」

 宰相や大臣らに囲まれやっと解放されて、リリーを探したら見つからずひどく胸騒ぎがした。

 いつも隅で黙々と食事をとっているはずなのにと、壁際を中心にあちこち探し回った。時々見る夢を思い出してひどく不安になったのだ。具体的に夢の内容は覚えていないものの、リリーがいないことと焦燥だけは覚えている。

「勝手にいなくならないわよ。大丈夫」

 何度も言い聞かせられていることを、リリーが繰り返す。

 信じているし手放すつもりもないのに、なぜこんなにも不安はこびりついて剥がれないのだろう。

 バルドはゆっくりと腕を解いて、だが手は繋いだまま長椅子へ移動してリリーは足の間に座らせる。

 このところ軍務がある時以外はほんとんど会えず会話すらままならなかったので、こうやってしっかりと密着するのも久しぶりだった。

 複雑に編み込んだ金茶の髪を自分が贈ったバレッタで留めているのが、顎の真下に見える。リリーの瞳の色と一緒だったそれを、喜んでくれたのを思い出すとやっと気持ちは落ち着いた。

「……クラウスといた」

 見つけた時に傍らにいたのがクラウスだった。政務で離れている時間が長くなる分、自分の代わりにクラウスとリリーが一緒にいる時間が長くなる。

「……求婚、されたて断った。あともう一回断り直さなきゃないの」

「…………一回で十分」

 バルドはリリーの頭に顎を乗せて声を低くする。

 大戦を控えている時期だ。クラウスが何か行動を起こすだろうことは想像できていた。リリーがすぐに断ったというならそれでいい。

「うん。でも、まあ出て行く前までに考えておいて欲しいって言われたから、もう一回断る」

 小さな声でつぶやくリリーはひどく思い悩んでいるように見えた。

「リー、クラウスと一緒の方がいい?」

 クラウスは血に植え付けられた本能に関わりなく、リリーが親しくできる唯一とも言っていい相手だった。

(リーが、本当に選んでいるのはクラウス)

 生前に兄が言ったことを思い出して、必死にかき消す。

「そういうんじゃないの。クラウスなりにあたしのこと、考えてくれてるのに何度も断るのは良心が咎めるっていうか、なんだかすごくもやもやするの。今まで誰かに好きになってもっらったことなんて、ほとんどないからこういうのどうしていいか分かんなくて。クラウスのことは好きとはちょっと違うけど嫌いじゃないし……」

 リリーの言うことは上手く理解はしきれなかった。自分はリリー以外の誰かに好きなってもらったこともない。

 だがクラウスのことは好きではないが、嫌いではないというのが少しだけ分かった。他の人間が自分に対して怯えたり本心を隠して言葉を連ねるのに、クラウスは言いたいことは言う。

 嫌いだとはっきり言われても、もとからこちらから好意があるわけでもないのでさして何も感じない。ただリリーを自分から奪おうとすることすら隠さないのはいいとして、不快ではある。

 だが嫌いとは少し違う。不安を抱きつつもまだリリーが自分の側にずっといるのだと、信じていられているからだ。

 もしリリーをクラウスが無理にでも奪うなら、嫌いなどではなく憎悪の感情でしかなくなるだろう。

「……クラウス、リーに触れた?」

 不意に以前の夜会でクラウスが口づけようとしたのを思い出して、バルドはリリーの薄く紅が引かれた桜桃色の唇を指でなぞる。

「な、なんにもされてないわよ。大丈夫。そこまで気は抜いてないわ」

 白い肌を上気させながらリリーが唇を尖らせる。

「絶対に触れさせない」

 自分の意志とリリーへの戒めの両方を含んだ強い声で言って、リリーの露わになっているうなじへと口づける。

 柔らかく滑らかな肌は白粉の微かなの匂いと、花の香りと糖蜜の匂いが混ざったかのような甘い匂いがする。

 舌先でそっと産毛をくすぐると、リリーが肩を震わせて鼻にかかった小さなため息を零した。

 これはもう、子供の時の無邪気な遊びとは違う。

 自分の中で抑えきれない熱が燻っているのが、はっきり分かる。

「……バルド、分かったから」

 リリーが体を離そうとするのに、バルドはつい力を入れすぎていた腕を解く。

 自分を見上げてくるリリーの瞳にははっきりと、不安と怯えのふたつが浮かんでいた。

 バルドはリリーを自分の隣に移動させて、視線を外して居心地が悪そうにドレスの皺を伸ばしている彼女の姿に眉を顰める。

 こんなリリーの表情を見ても、一度火の点いた欲求は収まりきらない。

 バルドはもう一度リリーを抱き寄せて、唇を食む。

 口づけも望めばリリーは応えてくれるようになった。だけれど昔とはやはり違う。彼女からじゃれてくることはなくなった。

 物足りず、バルドは何度も柔らかい唇を啄む。

(足らない……)

 こうすれば満たされるはずなのに、何度しても足らない。

 息苦しくなってきたのか、リリーが薄く口を開いてバルドはほとんど反射的に舌を潜り込ませていた。

 初めて知る感覚だった。

 リリーの口内を舌でまさぐれば、思考が痺れてしまうほどの不可思議な心地よさがする。

「んんっ……」

 リリーが息が詰まって苦しいのかそれとも嫌なのか、バルドの肩に両腕を突っ張って身を離そうとする。

 それでも快楽を追い駆けるのに夢中でバルドは止められず、リリーを長椅子に押し倒す格好になってやっと彼女の瞳に涙が滲んでいることに気付いて体を離した。

「……大丈夫、ちょっと息苦しかっただけだから」

 最初に口を開いたのはリリーだった。

 よほど自分は情けない顔をしていたらしかった。

「次から、しない」

 そう言うだけで自分は精一杯だった。

「……嫌だったわけじゃないのよ。息苦しくてちょっとだけ恐かったの」

 半身を起こしたリリーが視線を外さないで気遣わしげに言って、罪悪感は増すばかりだった。

 どうして触れなければ満たされないのか。今だとてまだリリーの全てに触れたい欲求はある。

 最悪の結果を招くと分かりきっているはずなのに、何よりも彼女と強く結ばれる実感を得たいがためなのか。本当は真逆でしかないというのに。

 リリーが産む子は我が子であろうと、憎悪してしまうだろう。

 もしリリーが子供の命か彼女自身の命かの選択を迫られた時、迷いもなく子供を取るのは想像できた。自分にとっては子供は、リリーを奪うものとしてしか見られない。

「……今日はもう、休む」

「そうね。もうすぐ出征だし……おやすみ」

 リリーが席を立って部屋を出て行くのを見送って、バルドも自室へと引き返す。

 灯のとぼしい廊下をとぼとぼとひとり歩きながら、口の中を強く噛む。

 鉄さびた味が口いっぱいに広がるが、リリーとの口づけの甘さはそれでもなお消しきれなかった。 

 

***


 自室に戻ったリリーは着替えて湯浴みもすませ寝台に寝転がり、真っ暗な天井を見つめていた。

(びっくり、した)

 クラウスからの突然の求婚も、バルドから受けた口づけも今夜はいろいろありすぎた。

 リリーは自分の唇を指でなぞる。

 ああも何度もバルドに口づけられたのは初めてで、舌を押し込まれるのも初めてだった。本当に驚いて、恐かった。

 あんな風に触れてくるバルドはまるで知らない人間のように思えた。

 しかし何よりも恐ろしかったのは自分自身だった。

 一体何が起こっているのか分からない内に背筋が震えて、バルドに口の中を舌で触れられているのだと気付いた時には、自分の中に急に沸き立ったものが快楽だと知った。

 直前にバルドに口づけられたうなじまでちりちりと熱を持って、もっと触れて欲しくてたまらなくなったのだ。

 バルドと抱き合うことを望んでしまっていた。血に刷り込まれた本能に抗いきいきれずにいるのかもしれないと思うとぞっとしたのだ。

 以前にカイに男というのは、子が欲しいとか欲しくないとかの意志は関係なく欲求を抱くのだと聞いた。女もそうなのかは知らない。

(あたし、本当になんにも知らないわね)

 自分は無知すぎる。

 政治も男女のことも全然分かっていない。しかし困ったり恥じらったりすることはあっても、不幸だとは一度たりとも思わなかった。

 クラウスが言うように世間一般の楽しいことなんてほとんど知らない。知らないからこそ不満を覚えたこともなければ、自分の境遇を嘆くことがなかったのだ。

 だから生きていれば先にもっと楽しいことがあるかもしれないと言われても、まるで想像がつかなかった。

 母親というものがどんなものかも知らないのに、自分が子供を育てるということまで考えられない。

(いらない。あたしは、戦場で終わるの)

 はっきりと想像できる未来を選ぶのは、見えない先を選択するのが恐いからだろうか。

 ふとそんな考えが浮かんで、リリーは寝返りを打つ。

 体を丸めて月明かりがうっすらと滲むシーツに視線を這わせて、光の届かない場所へと視線を動かす。

 暗くとも馴染んだ自分の部屋なので、そこには化粧台があるのが分かっている。狭い部屋だ。どこに何があるかはどれだけ闇に塗りつぶされていても、見えているのと変わらない。

 出生を知る前も恐れていた。自分が何者か分からなくなりそうな予感に心の奥底で怯えた。

 知らないことが恐いのだ。今、初めて自分がとても臆病なのだとリリーは知った。

 恐いから選ばなかっただけなのだろうか、戦が終わった後も生きていく未来を。

(でも、やっぱりクラウスと一緒に生きたいとは思えない)

 なんとなくクラウスとは、いつまでもお互い干渉しすぎない距離でいられる気はする。執着は覚えず、そのかわり一緒にいなくても不安を感じないでいられる。

 だけれど、そんな未来を望む気持ちは湧いてこなかった。

(バルド……)

 自分のものであるかも曖昧な感情は、バルドと出会った時と変わらずに胸にあり続けている。

 この心臓を取り外せれば自分の本当の気持ちが分かるのにと、埒のないことを考えながらリリーは眠りについた。

 

***


 出征の当日は快晴だった。真っ青な空に白く輝く太陽は、王宮前から皇都の出口へと向かう魔道士達を容赦なく熱していく。

 雷軍炎軍合わせて三千余りの兵が皇都の白い街並みの一本の大道を行軍する様は、黒いローブもあって遠くから見れば砂糖の山を這う蟻のようだ。

 魔道士達は黒いにローブに包まれながらも暑さは微塵も顔に出さず、道の脇で見送る知人の顔や街並みを目に焼き付けていた。もうこれが最後かもしれないという思いは誰もの胸中にあった。

 目に焼き付けておくべきものはない騎乗しているリリーは、斜め前にいるバルドの背を無心に見ていた。

 バルドは前を真っ直ぐ見たままで、彼の隣にいる炎将のヴィオラは沿道にいる人々に手を振っている。ヴィオラの弟で補佐官であるマリウスは、姉を時々見つつやはり前だけを見ている。

 皇都を抜け道を行きながら領主の元にに立ち寄るごとに緩やかに兵の数は増えていく。そうして四日近くかけて、軍事拠点となるモルドラ砦に辿り着いた時には兵の数は二万余りに増えていた。

 開戦は間もなく。

 終わりが始まる。


 

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