第19話 新企画、寺院設置のために僧侶を探す! ダンジョン運営に求められる僧侶の業務とは?(一緒にワイバーンタジン鍋を食べよう)

はいどーも! ダンジョンやす田チャンネルの、ダンジョンマスターやす田です。


前回の、新たなウィルダネス・ダンジョンを開場するに辺りの課題のいくつかを、今回から解決していきたい。そう思ってダンマスメンバーと会議をしたとき、気づきました。

自分はダンジョンマスターで、戦士で魔法使い。

垂飯降くんはエルフで、槍使いの精霊使い。

真理さんは錬金術師、梶くんは鍛冶屋。

そう、このパーティには僧侶プリーストが足りません。

そこで今回は新たなメンバーの参加を求めて、ダンジョンの外へ出ましょう。

はたしてダンジョン運営に協力してくれる僧侶は現れるのか。

それでは、行ってみましょう。


ダンジョンのフロントで営業できるサービスは色々あり、現在「ダンジョンやす田」では梶くんの武具修理と強化、真理さんのアイテム作成、あと垂飯降くんがよろず屋をやっています。

しかし、ダンジョンに挑戦する冒険者の中には、ダンジョンで拾った呪われた装備の解除や、石化といった重篤な障害からの解放、何より死亡ロストした仲間の蘇生といった、パーティの戦力に直結する問題の解消を求める気持ちがあります。そして、これらを提供するためには、僧侶の存在が必要不可欠になります。


僧侶は一定の神性スピリットに帰依して修行することで、それらの神性から法力とよばれる力を使える能力を与えられた職業です。例えば梶くんはドワーフの祖霊から軽度の法力として癒しの力を与えられているので、ちょっとした火傷や打ち身などなら快復させることができます。

しかし、あくまで梶くんは鍛冶屋で、僧侶ではありませんから、ダンジョンでの僧侶業務をしてくれる、新たなメンバーを加える必要があります。


ダンジョンマスター業務の求人は、主に冒険者を相手に出される各種広告の中に入る場合が多いです。大抵の場合は、武具を取りそろえるお店、パーティ編成を仲介する、いわゆる冒険者の店と呼ばれる軽食と宿泊業務を行う店などに廻状されます。


今回は、G県某所で営業している冒険者向け総合施設「類打たぐいだ」さんにお願いして、以下のような広告を出しました。


・ダンジョンで新規設立する寺院の責任者になれる僧侶を募集。そろそろ冒険者としての上達が厳しいかも、とお悩みのベテラン僧侶に、新たな職場を提供します。

・宗派は不問。必要な法力は麻痺と石化の解除、呪いの解呪、死亡からの蘇生。可能なら、それ以上の復活。

・業務は上記の提供に加え、ダンジョンのフロントでの一部作業も含まれます。時間は朝9時から夕方6時まで。

・お昼ご飯は職場で提供。手当は云云……


このような広告を、類打さんの運営する広告ボードに掲示し、興味があった人がいた場合、類打さんから連絡を受けられるようにしました。


それから、一か月後。

ダンジョンで通常業務中に連絡が入り、フロント業務を梶くんに任せ、類打さんのところへいくと……いました。明らかに僧侶っぽい、でもちょっと一部僧侶っぽくない、元冒険者の方が待っていました。

類打さん側のスタッフさんから説明を受け、その場で面接をしました。

彼の名前は、志布しぶさんです。なるほど。盗賊の守護神に帰依する僧侶だそうです。これはちょっと、珍しいですね。使える法力の証明書類を確認しました。求人に書いたものは一通り使えるみたいです。

他に何か特筆する技能は、と聞くと、鍵開けと忍び歩きとピックポケットができるそうです。ちょっとびっくりしましたが、盗賊の神様の僧侶ですから、むしろ出来て当然なのかもしれません。


志布「もともとは盗賊シーフやってたんですけど、だんだん僧侶をやるようになって。歳を重ねて手先と目が弱ってきて、それならいっそ僧侶メインでやっていける仕事に付こうかと」

やす田「ああ。いわゆる声を聴いたっていう」


冒険者をやっていると、稀にこういう人がいます。いつの間にか僧侶になってるタイプの人ですね。

梶くんのようにしっかり勉強して僧侶の技能を持っているタイプとは少し違いますが、逆にこういう人の方が、人生経験からくる懐の深さ、みたいなものが出ている気がします。そういうのも、僧侶の癒しに入るのかもしれません。


新たな仲間として迎え入れる気持ちを固め、志布さんにはダンジョンやす田の住所と、日時を告げ、その場は解散しました。


数日後。メンバー全員がうっすらと緊張しているその日の扉を、志布さんがやってきました。

その場で他のメンバーを紹介し、志布さんには仮採用ということで、その日一日は自分の傍で見学という形でいてもらいました。

志布さんも、まだまだ緊張していますが、いずれ他のメンバーとも打ち解けてくれるものと信じています。


志布さんを加えた初めての食事休憩なので、今日はちょっとだけ豪華にしましょう。

冷蔵庫から、大事にしまっていたワイバーンのもも肉を出してきました。見た目は鶏の半身肉みたいですが、サイズが桁違いです。これを成形して、一番脂ののった部位を今回は使います。ワイバーンは基本、淡白な肉質ですが、モモの部分には脂が乗っていて、ジューシーな味わいが楽しめます。

縮まないように包丁を入れながらカットして、ミックススパイス、塩、ローパーエッセンスオイルで、よく和えておきます。

次に、アルラウネの若芽をざく切りにし、干し果物を適当な大きさにカットして、準備完了です。

今回は、最近買ったタジン鍋を使っていきましょう。タジン鍋に具材を入れ、水分を補うためにエルフ水を加え、弱火でじっくり火を入れます。

火加減をみながら、別の鍋でジャガイモを蒸かしていきます。


志布「マスターが自分で料理するんですね」

やす田「他のみんなが忙しいからね」

梶「やす田さんの料理はここの待遇の三割は担ってますよ」

やす田「ええ? そう?」


タジン鍋から良い感じに蒸気が上がってきました。中を開けると、たっぷりと旨味を出した煮汁に具材が浸かっていて、かなりいい感じです。

平皿に、蒸かした芋を適当にカットして、傍に鍋の中身を掛け、完成です。


それではいただきます。一緒に、真理さんが持ってきたグリーンジュースを飲んでみましょう。このグリーンジュースは、ダンジョンで食べられる二大フルーツと呼ばれるアルラウネの子実体と、バロメッツの実を主成分に、錬金術師系メーカー「マナの果樹園」さんが生産している各種フルーツのジュースを配合したミックスジュースですね。見た目は薄緑色で、サラサラしてます。飲み口は見た目より濃い甘さがあります。個人的にはもっと酸味があってもいい気がしますね。


タジン鍋の煮込みと蒸かし芋の組み合わせは、バッチリですね。ワイバーンのもも肉はジューシーながら口の中でほどけてくれるくらい柔らかいし、鍋のスープを芋が吸って余すところなくうま味が堪能できます。

志布さんも最初はびっくりしてましたが、食べてる顔は、良い顔をしてます。やっぱり、同じ釜の飯を食うっていうのは、メンバー意識の上で大事ですね。これは普通の冒険者パーティでも、ダンジョン運営でも、変わらないです。



はい、今回の動画は以上です。最後までご視聴ありがとうございます。

新メンバーの志布さんの加入の様子、いかがでしたか。とりあえず寺院が開設するまでは、フロントで希望者を受け付けて、解呪や蘇生などを担当してもらうことになります。

近いうちに寺院開設までの動画も、お見せ出来そうです。


自分たちはG県M市、T市でダンジョンやす田というダンジョンをやっています。G県には、多彩なモンスターや採取ポイントをもつダンジョンがたくさんあるので、もしG県に来た際には色々挑戦してみてください。


この動画がいいねと思いましたら、チャンネル登録、高評価、よろしくおねがいします。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る