第18話 夏祭りに行きたい!
「夏祭りに美波ちゃんと行きたい!」
「いいけど、もう夏も終わるけど近場でやってるの?」
夏祭りに期待を膨らませた由香里が意気揚々と話し出したのは夏休みの終盤のおやつ時。
カウンターには少しビターなチョコレートとチョコチップの入ったクッキーと紅茶が並んでおり、お互いの口に運びながら話し合っていた。
「それがね?この近くに大きな川沿いがあるでしょ、あそこで今日花火大会があるらしくて、結構屋台とあるから楽しめると思うしどうかな?」
「由香里がそこまで言うなら、行ってあげてもいいよ?」
「行きたそうな顔して~!ツンツンッ。ま、行くのは確定として浴衣どうしようか一応持ってるけど美波ちゃんのサイズはレンタルじゃないと無理そうかな?」
「そうだね、じゃあおやつ食べ終わったらレンタルしに行こうか」
「うん、食べる…じゅるり」
その後は由香里に美味しく頂かれたのち、私たちは浴衣のレンタルショップへ。由香里は持っていると言っていたがせっかくだし美波ちゃんとお揃いがいい!とのことで現在試着中。
「ん、なんか緩いかも由香里もっと強く締めて」
「強い方がいいのかい美波ちゃん!?いつも激しくしてるのにまだ足りないなんてとんだ変態だね」
「帯の話だからね!?あと変態なのは由香里でしょ!あの…にやにやするのやめてもらっていいですか」
最近由香里の変態度が増々強まっている気がするが私のせいではないはずだ。断じて違う!
そんなこんなでレンタルも無事終え、今は花火会場へ来ていた。
「結構人いるね。美波ちゃん逸れないように手ちゃんと繋いでてね?」
「うん、ちゃんと繋いでおくよ。由香里が居ないといろいろと怖いし」
「まぁね。ロリコンはいっぱい居ますよ」
「それって自分事言ってる?由香里」
きちんと恋人つなぎをして会場に行くとたくさんの来場者でこもった熱やお祭り独特の食べ物の香りを感じながら屋台を見る事に。何があるのかといろいろ回っていると、
「あ、美波ちゃんベビーカステラ食べない?」
「いいよ、それにしても屋台で買うベビーカステラって美味しいよね」
「家でも作れるみたいだし今度作ってみる?」
「家で作るはねぇ、物買わないと駄目だろうし。買うならもっと頻繁に使うものを使うものを買った方が良くない?」
「それもそうだね、あ!じゃあ今度キャンプしない?ホットサンドメーカーこの前買ったんだよね」
「話聞いてた由香里!?まぁ行くけど」
由香里にはもっと家で使うものを買ってもらいたい気もするが、キャンプデートも楽しみなので今回は何も言わない。
ベビーカステラをお互いの口に運びながら、ぶらぶらと歩いていたらある人と出会った。
「あ、相沢さんと小泉さんどうも。お二人はデート中ですかー?」
「あ、才川さん!うんデート中!」
「微笑ましくて実によろしい、私も彼氏とデート中なんだよねー」
「才川さんの彼氏ってどんな人?」
「んーパッとしないような、でも一緒に居て気が楽な人かな一応幼馴染だし」
「幼馴染かーいいなぁ憧れる、私もそんな人居ればなぁ」
「おいおい、相沢さん。小泉さん泣いとるぞ」
いないから安心してと由香里を宥めた後、才川さんはトイレから帰ってくるらしい彼氏を待つと言っていたので解散。
私と由香里はそろそろ花火が上がる時間になるらしくよく見える橋の真ん中に来ていた。今回の花火は船からの打ち上げということもあり、橋の上には結構な人だかりが。
「そろそろだね美波ちゃん、大丈夫?見えそう?」
「うーんちょっと見えづらいかも」
「おけじゃあ私が抱き上げてあげる」
そういうと由香里が私の後ろに立ちお腹に手を置き持ち上げるようにして抱き上げてくれた。最初は苦しいかもと思ったけど多分帯をきつく結び過ぎたせいだと思う。
由香里に抱きかかえられて持ち手無沙汰になった私は花火が打ちあがるまでの間由香里の手にそっと手を置いて体温を感じていた。
ヒュ~、ドンッ
「美波ちゃん見て!綺麗だね!」
「うん、綺麗…」
その時は私は花火で光る由香里の顔をじっと見ていた。改めて由香里の綺麗な顔に見惚れてしまって次第と由香里の手に置いていた私の手を由香里の頬へ。
「美波ちゃん?」
「キスしてもいい?」
「うん」
大勢の人が花火に注目する中、私と由香里はお互いの唇の柔らかさとやけにうるさい心臓の音を聞きながら、花火を楽しむのだった。
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花火大会デートでした。
わたくしもこんなひと夏の恋をしてみたいお年頃なんでしょうか、自分で書いていて少し虚しさを感じます。
前話もそうでしたが、今回の章はイチャイチャマシマシです!甘々ラブラブなお二人を見てわたくしは激しい嫉妬心と共に部屋の中で執筆作業に勤しむとします。
次でアフターストーリーも最後になります、お楽しみに。
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