第14話 由香里の地獄の禁欲生活、後半
禁欲生活7日目
今日は日曜日。朝から美波ちゃんはお出かけをしているみたいで、帰ってくるのは夜になると朝に言われた。
『1週間頑張った由香里には一度ご褒美をあげないとね!一回実家に帰ってから、ケーキでも買ってくるよ!楽しみにしてて!』
その日美波ちゃんは家に帰ってこなかった。
朝目が覚めても、美波ちゃんからの連絡はない。いつも通り学校に行くけど美波ちゃんは登校していなかった。クラスのみんなは私に陰口を言っているように聞こえる。
「何かあったんじゃない?」
「小泉さんが何かしたってこと?」
「そうとしか考えられないでしょ」
「みんなの前であんなことしたでしょ?」
「愛想付かされたんじゃね?」
なぜだろうか胸が痛い。美波ちゃんがいないだけでこんなにも私の胸はざわめくのか…私は多分美波ちゃんに甘えていたのだろう。
多分今日のこれも、禁欲生活の一環だよね。でも寂しいなぁ。なんか嫌な予感するのはなぜだろう。
先生が教室に入ってくると、クラスのみんなは自分の席に着き始めた。
「小泉、ちょっと先生の所に来てくれないか」
静寂のクラスの中に私に視線が集まる。私は静かに立ち先生の下に向かい立ち止まり次の先生の言葉に私は目の前が見えなくなってしまった。
「相沢が昨日事故に遭って、意識不明の重体ら―――」
音まで聞こえなくなった。
先生が目の前に居るのに口が動いているのに何も聞こえない。私は下を向きただただ呆然と立ち尽くしてるだけ。
今先生が言ったのは何かの間違い。そう、間違い、間違いだよ。昨日の朝まで美波ちゃんは私の目の前で笑顔だったし…。でもあれ、これ真紀と一緒じゃないか。私が傍に居なかったから戻ってこなくなった、私がもっと寄り添っていれば離れることもなかった。もしかしたらもう…美波ちゃんは――
「小泉さん……小泉さん!……小泉さん!!」
私を呼ぶ声が後ろから聞こえ振り返ると、そこには美波ちゃんとよく話す才川さんがいた。彼女の声だけは聞こえる。
「なに?」
「私、病院知ってるよ」
「ほんと?…」
「うん、ここから1つ県を跨いだ
「恋人でしょ?」
その時思い出した。私は美波ちゃんの恋人だ。何があっても傍に居て何があっても好きでいる。そんな美波ちゃんを真紀と重ねてはだめだ。まだ手の届くところにいる。これはあの時泣きじゃくる美波ちゃんを抱きしめたあの日に決めた事なのに、忘れるとこだった。今も美波ちゃんは私を待っているはず。
行かなきゃ――行かなきゃ!
「先生、私早退します」
そう一言いって教室から走り駅に向かった。
「ここから沢田病院までの路線は…あと5分で電車が来るじゃん」
私は急いで改札を抜け乗る電車に駆け出した。2分ほどすると電車が来てそこから2回ほどの替えをして今は、沢田病院の入り口に立っていた。
中に入り、受付の人に話しエレベーターを使って3階へ言われた番号の病室へ入ると、眠っている美波ちゃんの姿がそこにはあった。ぐっすりと眠っている。
「美波ちゃん…」
「……」
「目を覚まして…」
「……」
「早く起きないと、いつもみたいに犯しちゃうよ…」
私は彼女に触れないと約束している、だから今も触れてはいけない。
でももし、このまま彼女が目を覚まさないなんてことになったら…そんなの嫌だ。
触りたい、もう二度とエッチ出来なくたっていい…だって、
美波ちゃんが私の傍に居ない方が何倍も辛いのだから。
私は自分の左手の人差し指を口の中に入れ唾液を可能な限りつけて、美波ちゃんの大切な場所へ下着の中へ入れていった。いつも触っていた場所、私の濡れた指をゆっくりと美波ちゃんの中に入れていく。
第一関節が入った、でもまだ起きない。第二関節まで入れてみる、いつもこのあたりで美波ちゃんは目を覚まし始める。
「……」
反応がない…私は美波ちゃんの顔に近づき、キスをして左手を動かし始めた。抜いたり入れたり。
10秒ほど繰り返していると、指が締め付けられる感覚があった。私は美波ちゃんの股に合った目線を顔に向けると、
「…ん」
「っ!」
ゆっくりと美波ちゃんは目を開けた。
「由香里…?」
「うん、そうだよ…」
「由香里なの…?」
「うん、由香里だよ…美波ちゃんの恋人だよ…」
美波ちゃんはゆっくりと私の名前を連呼し、私の恋人という言葉で――
私の大好きなドキドキするいつものあの幸せそうな顔になった。
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