第二章 大切な存在
第7話 待ちきれない時間
私は、由香里をもっと好きになりたくて、改めて恋人になりたいと私から言った後。今はお風呂の準備をし由香里の元に帰っていた。
「あ、美波ちゃんおかえり。
「え、何を?」
「遊びのお断りメール!美波ちゃん断れない性格してるのこの一週間でわかったからねー」
正直なところすごく助かる。人に頼まれた物は断りにくいし、遊びの誘いなら
「で、どうする?土曜日予定空いちゃったね♪デートでもする?それとも私と朝からしちゃう?」
「無理やり空けたんでしょ、でもありがと。うーん、由香里とデートか…うん、してみたいかも」
「おけ、決まりねー♪じゃあ気合入れようかな!期待しててよ、美波ちゃん」
何かを決意したような目で私を見てくる。それに何かただならない物を感じ軽くうんと頷いて、着替えを取りに部屋に行きお風呂に入った。果たして何をされるのか不安半分、期待半分でその日を待った。
時は流れ、約束の土曜日。異変に気付いたのは私が朝目を覚ました時からだった。いつもはお腹の中に入っている指の感覚がないことに気づき横を向くが、そこにはいつもいる由香里の姿はなかったのだ。いつもは朝起きたらすぐにいじられて半分意識がない状態から絶頂を迎えて目が覚めるだが、今日はそれがない。
不安に思った私は体を起こし、何も身につけないまま共有スペースに向かったが、そこにも由香里の姿は見えなかった。
いつもはいる由香里の姿がない、それだけを胸が苦しいほどの不安を感じる。喉が渇いた、裸のまま冷蔵庫の前に立つ。冷蔵庫には大きなカレンダーが貼られてあり土曜日の今日は『美波ちゃんと初デート!』とでかでかと書かれてあり、少しクスッと笑ってしまった。
冷蔵庫を開け、1,5Lのオレンジジュースを取り、コップに注ぐ。グイっと一気に飲むと冷たいものが体の中に染み渡る感覚を味わい、少し体が冷えたのか震えてしまった。
「いつもなら由香里にされて、身体が熱いのに…って私、由香里に毒され過ぎでしょ」
由香里と出会ってから日常のようにされて早二週間が経っている。身体が自然と由香里を求めているのだと実感した。あまりうれしくはない、だってそれは依存していることと同じなのだから。そんなことを考えていると由香里の部屋の方から扉の開く音がし、足音が近づいてくる。それにするように反応するように方向に走り、由香里が見え抱き着いた。
「おぉ、美波ちゃんどうしたの!?服も着ないで」
「……朝、由香里がいなかったから」
「あは、寂しかったんだ美波ちゃん…可愛い」
今日の私は何かがおかしいのかもしれない、いつもならこんな事言わないのに今だけは甘えたくなった。胸にうずめた顔を上に上げこう続けた。
「ねぇ由香里、朝の…して」
「ふふふ、今日の美波ちゃんは甘えん坊さんだね♪うん、いいよ」
そういうと由香里は少し屈んで顔を近づいてくる、私は自然と暗闇に目を染め唇に柔らかく触れるものを味わった。甘い…何かのリップかな。
すぐに柔らかな感触は離れ、目を開くと普段からは感じない落ち着いた雰囲気を身に待った由香里の姿がそこにはあった。白のワンピースを身に纏いウエストベルトが付いているおかげか、由香里の身体の細さと胸の大きさを強調している。脚には何も履いておらず白く滑らかな脚がとても美しい、上を見るとフワッとした少し長い茶髪とプルっと艶のある唇には薄くリップが塗られていた。
さっきまであれに触れていたんだ…と思うと自然に自分の唇に右手の人差し指軽く触れた。
物欲しそうに見られたのか、もう一回する?と聞いてきたのでもう少しだけ甘えることに。目を閉じると再び柔らかく甘い感触が唇に触れ、さっきまでの寂しさが嘘のように無くなった。
「もう満足したから、着替えてくる」
「うん、待ってるね美波ちゃん」
部屋に戻った私は以前雑誌を見て買った、黒ショートパンツとボーダーカットソーにジャケットを羽織り、由香里にお勧めされたマリン帽を手に部屋を出た。
「朝ご飯作るね」
と言い由香里の正面のカウンターキッチンに立ちエプロンを付けて、私の乗る台を用意する。振り返り冷蔵庫を開け、昨日の夜から入れておいた大き目のターパーの中に入った卵と牛乳、食パンを二枚浸していたものを取り出した。食洗器の中からフライパンを手に取り、バターを一粒のせ中火に。バターがフライパン全体に回るように溶かし、タッパーから浸した食パンを二枚取り出しフライパンへ、焼き目が付いたら裏返し蓋をして弱火で二分焼く。バターの甘い香りを堪能しながらお皿に盛りつけていく、今日は由香里がデートプランを決めておいてくれるということでそのお礼にバニラアイスを乗せカウンターの上に。
できたのを見計らって由香里が食べる準備進めていた。飲み物を用意し、いざ実食!いただきますの声が重なり、私は由香里を見つめる。
「甘くて、おいしい!」
「よかった」
由香里の幸せそうな表情を見ると、こっちまで幸せな気分になる。朝食を済ませ、身支度をしたらあとはデートを楽しむのみ。
「ふふ、楽しみ♪」
足のつかないカウンターの椅子から脚をぶらぶらと揺らし、由香里とのデートが待ちきれない私なのでした。
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