第8話

 夏休み明け。由良木はテストで見事1位を取った。難しめにつくったつもりだが由良木はそれを超えてきた。

 夏休みの宿題から出したテストはクラス平均点が56点。2位でも74点という中で由良木は94点という好成績を出した。それほど由良木が頑張った証拠だろう。

「1位おめでとう、音羽」

「………っ!はい、先生!」

 その満面の笑みを見た俺はまた、まずいなと思った。

「………………音羽」

「なんですか?先生」

 名を呼ばれ嬉しそうにする音羽。

「いや、なんでも無い」

 時間が人を変える、とはよく言ったものだ。


 大事そうにテストを持つ音羽を見て俺は確信する。

 どうやら、俺は由良木音羽のことを好きになったようだ。

 ロリコンだからでは無く由良木音羽が好きだから好きになったのだ。


「本当に困ったよ」


 なにが困ったんですか?と俺の独り言にも気を遣ってくれる優しい彼女をひどく愛おしく思った。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ただ、社会的に犯罪だったから 初木乃のこ @didntknow

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る