第4話

 担当していた生徒が2年になり6年生が卒業。新1年生が入学。かと思われたが新1年生は1人も居らず、風の噂だが現2年生の生徒たちより年齢が下の子は島内にいないのだという。

 1年次と変わらない同じようなことを2年生になってもやっている。今年も肝試しをやったし遠足も行った。今年は海。肝試しでは俺はお化け役をやって、一番怖がっていた大原先生に叩かれた。「あれこのお化け触れる……?」なんて言っていた。

 お化けが苦手なのになぜ参加したのか聞くと生徒たちと仲良くなりたいからだそうだ。先生の鑑みたいな発言だった。

 眩しい。

 海ではカニを捕まえたりした。

 2年生3年生合同で行った海への遠足はとても楽しかった。

 大原先生が滑って転んで怪我をしたため負ぶって帰る羽目になった。その日から大原先生から何かと視線を感じるようになったのは俺の気のせいだろう。

 2年の2月。クラス内で廃校の噂が流れ始めた。火元は不明だが島民の人が新1年生がいないことをご近所さんと話しているのをたまたまの聞いたのだろう。


 6年生が卒業し担任している生徒も3年生になった。そして噂が本当になった。

 教師間のみに伝えられた新規入学生募集の終了と現3年生の卒業と共に廃校することが決まった。

 体育教師の宮本先生は、どうにかならないのかと校長に談判していたが誰の目から見ても状態で、校長もそれが分かっているのか「決定事項だ」の一言のみ。最後には宮本先生が歯を食いしばりながら「そうですか」と言って校長室を後にした。

 そして密かに噂になっていた『大原先生、木見先生のこと好き説』も本当だった。放課後の職員室でいきなり告白された。

 俺はロリコンだが幼女が好きの『好き』はLIKEの方でLOVEでは無い。そのため大原先生が恋愛対象外というわけでは無い。

 大原先生は可愛らしく、付き合えば幸せだろうと思ったが断った。

 理由はよく分からない。

 廃校が決まった学校の生徒たちに時間を使いたかったのかもしれない。

 大原先生が大人な対応をしてくれたおかげで次の日からも微妙な空気感を出さずにすんだ。


 生徒たちも4年生となり、小学校生活も後半に突入した。

 新たにするイベント事も思い至らず去年と似たようになるとこの時は思っていた。

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