見せられる

 モイラがモデルやアイドルと聞いてネットで調べてみると、確かにローカルアイドルグループの一員をしていた。


 さらに、高知能の天才児として前にテレビに出たことがあったようだ。もって生まれた天才ギフテット、中でも美術的才能に優れたタレンテッドとしてアイドルを志したという数年前の報道特集が動画サイトに残っていた。


「みんな来てくれてありがとう♥ モイラでぇ~す♥ それでは聞いてください――♥」


 デパートの一角を借りてライブをやるというので見に行くと、そんな風に歌って踊りだした。


 フリルだらけの可愛いらしいアイドル衣裳のミニスカートが、激しい振り付けに合わせてヒラヒラ動く。

 彼女と同年代の同じグループのメンバーもいたので尚更目のやり場に困ったが、デパート内のイベントなためかあまり変な空気はなかった。


 もしかしたら、自分がモイラによって妙な感情に目覚めたさせられて意識し過ぎているのかもしれない。


「はあ疲れた~♥ ざこ大人さん見にきてくれたんだ~♥」


 ライブが終わってステージ裏で待っていると、引っ込んできたモイラが駆け寄って抱きついた。

 汗ばんだ子供の体温がいつもより暖かい。


「衣裳も振り付けも可愛いかったでしょ♥ どっちも、モイラがちょっとアイディア出したりしてるんだよね♥ それともロリコンのざこ大人さんは、スカート丈短いからパンツしか見てなかったのかなぁ?♥」


 振り付けや衣裳にアイディアを出せるとは、本当ならタレンテッドのなせる業かもしれない。

 なんて考えてると、モイラは身を離しいきなり自分でスカートを持ち上げる。


「じゃじゃーん、自分で捲ってあげるね♥ いっぱい見ていいよホラホラ♥ なーんて。残念でしたぁ、見せパンに決まってるじゃん♥ なにびっくりしてんの。やっぱざこね♥ ざぁこざぁこ♥」


 戸惑いまくるこちらをよそに、モイラはまた飛び付いてきた。


「はい、ほっぺにちゅ~♥ もう、よわよわだね♥ あんまりびくびくしててかわいそうだから、プレゼント♥ 来てくれて嬉しかったよ、えらいえらい♥」

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