遊びに来られる

「おっじゃましま~す♥」


 外出先から帰宅するや、いつからかついてきたモイラがマンションの自室に滑り込むこともあった。


「なんで家わかったのって?♥ 尾行だよ、朝出掛ける道調べてあたしから声掛けたの忘れた?♥」


 まるでくノ一だ。全然気付かせなかった。

 わたしに構わず先にあがり、奥へと進む。


「ふーん、ざこ大人さんの一人暮らしってこんななんだ♥ 女子小学生の彼女が家事とかしたげようか?♥」


 などとからかう。

 さらには部屋を何やら探し回る。


「エッチな本とか置いてないの?♥ 大人のくせにつまんな~い。隠してるのかな♥ ひょっとしてロリ系が好きでいつもあたしのこと考えて何かしてたりして♥」


 これ以上好き勝手されたらかなわない、かといって今時のJSが喜びそうな気をそらすものもない。

 仕方なく、年代問わず遊べそうなゲームで釣った。


「へー、あたしこのハード持ってないのに生意気~♥ このゲームも知らないけどキャラ可愛いね♥ やろやろ♥」


 乗ってくれた。


「チュートリアルあるじゃん♥ 簡単そう♥ ざこ大人さんはゲーセンでもざぁこだったから、あたしが楽勝かもね♥」


 対戦型のゲームだった。


「あ~ん、激しい♥ 女子小学生に、そんなことしていいの?♥ 準備できてない~、いきなり突っ込まないで♥ だめ、そこ反則♥ や~ん、そんなにしたらスゴすぎ♥ 死んじゃう♥ にゃ~♥ ……あ、逝っちゃった♥」


 声だけ聞いたら誤解を招きそうなので焦り、本気を出して最速で勝って終わらす。さすがに、慣れたゲームで小学生相手には余裕だった。


「……ねえ、もう一回。しよ♥ ざこ大人さんでもまだ元気でしょ、二回戦くらいできるよね?♥」


 結局怪しげな言葉で粘るので、今度は接待プレイで負ける。


「え~、もう逝っちゃったのぉ~?♥ は~や~い、やっぱ雑魚ね♥ けどあたし満足してないから。もっかい♥」


 どっちにしろ同じようなので、仕方なく飽きるまで適当に相手をせざるを得ないのだった。


「いつの間にかこんな時間♥ 帰んなきゃ♥ それともお泊まりした方がいいかな?♥ 一緒にお風呂とかも入る?♥」


 そんな風に冗談めかすが、暗くもなってきたのでどうにか帰らせるのであった。

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