第5章 楽園行き

第21話 がむしゃらに走った



 どこをどう移動したのかわからないくらいに、がむしゃらに走った。


 村人たちが一人ずつ消えていくのを見ながら、逃げる事しかできない自分をみじめに思った。


 近所の人が、いつも挨拶してくれるおばさんが、いきつけのパン屋のお姉さんが。


 罪人の炎に焼かれていく。


「えーんえーん、お母さーん」


 ネイが助けた女の子の母親だって。


 それを見たネイがこらえきれずに、戻ろうとする。


 自分たちより遥か後方。


 助けに行っても間に合わない。


「いっちゃ駄目だ!」

「でも、あの子が!」


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