第2話 惨めな自分



言ってなかったので、自分の事を簡単に紹介します。

僕の名前は望月 豊 38歳 ⚪︎型 バツイチ


中卒から大工をして、21歳で個人事業主。


19歳で結婚、29歳で離婚。26歳くらいから離婚したような感じだった。


自分のターニングポイントは19歳のデキ婚から、その当時の奥さんはめっちゃええ女やった。完璧すぎた。

僕はクズで、働くのが嫌いだった、人はそんなすぐに変わらへん。

そうだと思う。

僕の嫁は何も文句を言わず、完璧やった、それがコンプレックスと気付いたのは26歳くらいの時。

貧乏でもついてきてくれて、毎朝綺麗に畳まれた服、いつでも帰ってきてから食事を作る、チンとかしない、全てを完璧にこなす。

変わったのは嫁が妊娠数ヶ月の時、100均で315円のおもちゃをねだられて、商品を棚にもどし、帰った父と娘。

それを見た僕はあんな風になりたく無い、家族には楽させたいと本気で思った、その結果僕は朝は大工見習いとして、夜中はファミマの冷凍トラックで配送の仕事をした。

給料は約50万位、毎日睡眠時間3時間程度、しんどいより、指輪も買えてない、貯金もない未来に恐怖と情けなさで約一年続けれた。

人は変われる、それは事実。

20歳の時、成人式で友達がアリストに乗っていた、僕は軽自動車、恥ずかしかったし惨めやった。

未来を知ってるならその時軽自動車でも何も思わなかったはず。

その時は惨めやからもっとやるぞと思った、性格がポジティブバカやった。

大工の親方は厳しかった、道具に頼らず手で覚えろ、今思えばそろばんより電卓、なんで電卓使うねんって思う。

しかも金槌の使い方が悪いと金槌を取り上げられ横で頭を殴られて、フローリングに血が垂れたこと何回もある、親方は腕がいい、でも弟子は逃げる、すぐ消える。

僕の時は5人兄弟子がいて、僕が1番最後に入った、続かないから僕より後はみんな夜逃げか、休憩に置き手紙をして逃げる、それだけ逃げていたら親方も逃げる奴をなんとなく分かるようになっていたかもしれない、逃げるとこを捕まってしまった2人。1人はドアを出るとこを服を掴まれ確保、もう1人は隣の家に有刺鉄線を乗り越えられず足を掴まれ落とされた、有刺鉄線を握って、上半身も擦れていたから虎に引っ掻かれたように血まみれで、指は金槌を握るのを躊躇する傷で痛がる弟子に親方は男なら自分のした事で痛がるなと精神論を言っていたが、次の日に置き手紙をして消えた。

親方だけではなく一番弟子の兄弟子も悪い。

親方を崇拝し、自分が一番でありたいが為に下手うちをちんころする、僕もよくはめられた。

色々考え、大工は基本さえ覚えたらどうにでもなると思い、21歳の終わりに独立した、親方には辞めてくれて助かったと言われ、無言で帰ったのを覚えてる。

独立後何もコネがない僕は仕事がなく、二週間程度意味のない事を繰り返し無駄な時間を過ごした、1人の職人さんから電話がきた、親方のところから独立したまことさん、僕は好きやった、理由は頭を撫でられたから。正直親方の所にいてる時はいじめられていた、人生でも屈辱的やった、嫁さんにも言われへんし、男やのにいじめられてるとかかっこ悪いから。僕は身長は165ないくらいで、顔は女の子に間違えられたりする、おぼこい顔で少年みたいやった。だからこそ絡まれるし、喧嘩なんか当たり前に売られる。でも喧嘩は強かった、負けた事ない、数でやられたら絶対返しに行ってたから。まことさんが頭を撫でてきたのは、親方に仕事終わりに正座させられ、19時から21時くらいまで怒られ、物を投げつけられてた帰りだった。まことさんは何処からか見ていたと思う。その時頑張れよゆたか辛いな、って頭を撫でてきた。まことさん24歳、僕21歳。自分の昔を思い出したかもしれない。

まことさんも壮絶なイジメを親方達にされていたから。理解者が居てると思ったのと何故か嬉しかった、親以外に頭を撫でられたのはまことさんだけで、今だにまことさん以外に撫でられたことはない。でも僕は今だに後悔し、ずっと忘れる事ができない選択をしてしまった。まことさんから仕事を紹介してもらい、恩を仇でかえした。その約3年後まことさんは自殺した。理由は奥さんの浮気、初めて弱気な言葉であの時冗談だと思い、直ぐに行かなかった事を今だに後悔している。12月24日まことさんが電話で嫁が浮気してて相手と幸せになればいいねんと言ってたが本気にとらえていなかった。12月31日車の中で自殺し、1月3日工務店社長が探し回り会社近くの川辺で発見された。電話のあと僕が直ぐに行って何か変わったのか、僕は変わらなかったと思いたい。社長から聞いた話ですが、奥さんの散財が酷く、社長から150万程度借金もしていた。社長の携帯にお世話になりました、最後の最後に迷惑かけます、お金は置いてます。社長はメールを見て大慌てで探し回り、社長が最初に見つけた。僕は通夜も、葬儀にも行けなくて、嫌いな偽善者だと思った。いい車、お金、そんな事より惨めだった。

その後僕は3.11で復興支援に行き、帰りに自分の腕を試す為に東京で挑戦した。









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