第44話
ヒナタは、大きく深呼吸した後、演奏を待つバンドの方を向いた。
「じゃあ。アントニオ・カルロス・ジョビンのイパネマの娘を演奏できますか?」
コントラバスを抱えた、メガネをかけた長身のバーシストが軽くウインクし、
それを合図にドラムがカウントをとり、バンドは、クールでチャーミングな
”イパネマの娘”のイントロダクションを演奏し始めた。
ヒナタは、スゥと息を吸い込んでバンドの演奏に合わせて囁くように歌い始めた。
“彼女が歩くとき、彼女はサンバのようだ、イパネマの少女が歩く、彼女が通り過ぎると、私は微笑みかけるが、彼女の目に私はうつらない“
バンドの演奏に合わせて、ヒナタが歌う姿は、南スーダン全土に放送された。ヘッドホンを耳に当てた番組でディレクターは、ヒナタの歌に合わせてリズムをとっている。山村がディレクターの方を見ると、彼と目があった。彼はにっこり笑って親指を立てた。
「イブキ!」
番組でディレクターは、山村がかつて一緒に旅をした親友のイブキだった。行方不明と報道されていたイブキは生きていたのだ。
続く
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