第19話

高級そうなスールをピッしっと着たアナウンサーの隣で

以下のようなテロップが提示された。


2015年11月30日から12月13日までフランスパリで開催された国連気候変動枠組条約、第21回締約国会議、COP21でパリ協定を含むCOP21決議を採択された。歴史上はじめて、気候変動枠組条約に加盟する196カ国全ての国が削減目標・行動をもって参加することをルール化した公平な合意である。

全ての国が、長期の温室効果ガス低排出開発戦略を策定・提出するよう努めるべきとしている。

世界共通の長期目標として、「世界的な平均気温上昇を産業革命以前 に比べて2Cより十分低く保つとともに、1.5Cに抑える努力を追求すること」 が掲げられている。


長期目標の達成に向け、2023年以降、5年ごとに世界全体の進捗を確認する(グローバルストックテイク)。

また、「今世紀後半には、温室効果ガスの人為的な排出と吸収源による除去の均衡を達成するよう、排出ピークをできるだけ早期に迎え、最新の科学に従って急激に削減すること」が世界全体の目標として掲げられている。

 (J C C A全国地球温暖化防止活動推進センターホームページより抜粋)


山村は、夕食のオムライスの皮を焼いていた。よく溶いた卵をフライパンに流し込み、その上にケチャップライスを乗せて、フライパンを傾けてライスに卵を巻き付けようとした時、テレビの画面が代わり、アフリカで日本人が行方不明というニュースに変わった。

なんとなく画面を見ると、行方不明の日本人聞き覚えがあった。もう何年も会ってない、山村の親友イブキだった。イブキとは20年以上も前にヨーロッパ旅行をした。しかしそれ以来会っていない。


そのニュースを見るなり山村は、押入れの奥から巨大リュックを引きずり出した。蓋を開けると中には一冊の赤いパスポートが入っていた。発行されたのは1992年。もちろんとっくに期限は切れのパスポートだ。その夜、山村はインターネットを開いて、スーダンまでの行き方を調べていた。


関西空港からエチオピア航空でエチオピアのアディスアベバのボレ空港まで16時間20分。飛行機を乗り継いで2時間30ぐらいでスーダンの首都ハルツームに到着する。ビザが必要、ビザを取るのに最短日間。申請の時の航空券が必要となるらしい。

エチオピアのアディスアベバまでの航空機費用は、片道20万円以上する。往復では50万円近いだろう。エチオピアからスーダンのハルツームまでの航空機代も必要だ。山村はため息をついてパソコンを閉じた。


スーダンはエジプトの隣にある国だ。国土は日本の7倍もある。そして国土の大部分が砂漠地帯だ。

続く














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