5月12日

あれからダラダラとやり取りが続いた。

毎日部活漬けだということ、通学が疲れるということ、新しくできた友達のこと、  etc...


 とりとめのない日々の報告の中で、まだどちらも卒業以来部活に顔を出す以外で中学校に行っていない、ということが判明した。


〈今日放課後時間ある?俺オフやし二人で中学校行かん?〉


 そんなの即答するに決まってる。

そして共通の最寄り駅で集合することが決まった。


 彼が乗った電車がつくまでの10分、ずっとドキドキしっぱなしだった。

制服はちゃんと着れてるか、髪の毛は乱れていないか何度も確かめてしまう。


 「よっ。久しぶり~」


聞き覚えのある声に顔を上げると、まだ新しい制服に身を包む彼が。

見慣れないブレザー姿に心臓がスキップした気がした。


「また身長伸びた?前より見上げないと顔見れない。」

「え、そっちが縮んだんやろ。……いやいや冗談やって!伸びたよ笑」


 久しぶりのこの感じ。落ち着く。

彼よりも20センチも身長が低い私は、向かい合っていても横を歩いていてもかなり見上げないと顔が見れない。

───それくらいの近さで話している、ということだが。


 自転車を押しながら歩く彼の横に並んで歩く。

駅から中学校までは歩いて10分ほどなのですぐに着いた。

久しぶりに会う先生と会話が弾み、ざっと二時間ほど滞在した。


 二時間前よりも暗くなった道をまた二人で歩く。

次の目的地は共通の大親友のあいつだ。


 「俺らって結構勘違いされるよな笑」

 「今日も先生ら“付き合ってる”って思い込んでたもんね笑」

 「これでさ、付き合ってますとか言ったらどんな反応するんかな~」


ほらまたそんなこと言う。えーどうやろな笑、なんて茶化して誤魔化す。

ここで可愛く“付き合ってみる?”なんて言えたら良いのだが生憎そんなキャラじゃない。いつも茶化して終わらせてしまう。


 よく耳に馴染むその声を聴きながら歩くと目的地に着いた。


 ふと腕時計を見た。長針は6から10まで進んでいた。


 

 


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