5月初旬

 卒業後、“告白できなかったのはそれくらいの気持ちしかなかったってこと”だなんていっちょ前に理由をこじつけて彼を忘れた───つもりでいた。


 いっちょ前に理由をこじつけた割には一切の連絡が来ないから少し寂しくなった。いろんな友人の新生活の様子を聞いてるのに彼だけ聞けてないままだった。


 〈元気してる?高校生活楽しんでます?〉


しばらく返信はこないだろうと思ってスマホを伏せようとした矢先、画面が光った。

驚いて見ると彼からだった。前はあんなに待っても半日後にしか返信来ないことの方が多かった。なんでこういう時だけ、と好きにならないために悪態をつくがそれでも嬉しいものは嬉しい。


 〈めっちゃ元気!部活三昧でしんどいけどいっぱいできるし楽しい~〉

 〈そっちの話も聞きたい。気になる。〉


そんなの送ってこられたら勘違いするじゃん。なにしてくれてんのほんと。

いや、あいつは人懐っこいから。そういう奴だから。


天邪鬼な私の心の中は怒ったり喜んだり疑ったり喜んだり、多忙を極めていた。

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