3月15日
中学校の卒業式の日。
式終了後、写真を撮ろうとする人でごった返す廊下で必死にあなたの姿を探した。
群衆よりも頭一つ抜ける彼は人波に溺れながらでもすぐに見つかった。
そして彼のほうを見たとき、ちょうど彼と目が合った。
「「写真撮ろ!」」
人が多すぎるからこっち、と人波をかき分けて歩く彼は私の制服の袖を握っていた。
ハモッたこともスルーしてしまうくらいそれが日常だった。
二人だけの教室に響く乾いたシャッター音は永遠に感じた。
今告白しないと、と焦る気持ちと今の関係が心地よいと感じる気持ちがせめぎあって痛い。彼のほうは部活の推薦で県外の私立高校に行くことが決まっている。
───きっと忙しくなる。邪魔になりたくない。
そう言い訳して“頑張ってね”だけ言い合った3月15日。
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