04 カラダ弄んじゃうぞ?





(ガラッと教室のドアが開く)


「お待たせー。委員会長引いちゃった」


「……って、寝てる?」


「寝顔かわいー。口開いてる。

 写真撮っちゃえ」


(ピロロン、とシャッター音)


「ふぁあ~……アタシも、なんか眠いな。

 ……机くっつけて、添い寝しちゃお」


(ガタンガタンと、机を動かす音)


「ガチ寝じゃん。おーい」


「起きないと筋肉触っちゃうぞー」


「起きないと襲っちゃうぞぉ」


「チューしちゃうぞぉ」


(ちゅっ、というリップ音)


「マジ寝てる……」


「……起きないと、カラダもてあそんじゃうぞ~?」


(少し間をあけて)

(アドベンチャー風のBGMで、二役声を変えながら)


「『……隊長! とうとう肘頭ちゅうとうにたどりつきました!』」


「『よくやった!

 仲間たちの無念を背負い、我々は頭頂骨とうちょうこつへの登頂をめざす!』」


「『数々の筋腹きんぷくをこえ、いざ、ゆかん!』」


「『ムムッ、まず立ちはだかるのは上腕三頭筋じょうわんさんとうきん外側頭がいそくとう! 高い、この筋腹はモリッとしてるぞぉ!』」


「『ようやく三角筋さんかくきんに到達したが、これは、これはまたまた高い! なんという盛り上がりだぁ!』」


「『ヤヤッ、あそこに肩峰けんぽうが見えます!』」


「『一気に駆け上れ、ヤーッ!』」


「『肩峰に到達!! 肩甲棘けんこうきょく沿いに、僧帽筋そうぼうきんを通過します!!』」


「『な、なんという急斜面っ……うわ、うわ、グワヮあ~!!』」


「『隊長が滑落! 隊長が滑落!!』」


「『お、俺の屍をこえてゆけ~~~……』」


「『ぬぁ!? 今度は地面が揺れ、揺れて……!!』」


(耐えきれず震え笑いする「俺」)


「起きた?」


「ふふっ、カラダもてあそばれて我慢ならなかったんでしょ? いつから起きてたの?」


「チューの前から? ふふっ、じゃあ襲ってほしくて寝たふりしてたんだ? エッチだなぁ~♪」


「きゃっ、わ!」


(ガタン、と音とともに腰を引き寄せられる)


「……もぉ、いきなり腰つかまないでよぉ」


「お、重くない?

 ……膝の上に乗せられるの、なんか恥ずかしいんですけど。近いし」


「キスするまで離さないって、なにそれ。

 もぉー……誰か来たらどぉすんの?」


(ちゅっ、とリップ音)


「てか、寝てる時にキスしたじゃん。え、もっかい?

 ……つぎでさいごね。お腹空いたし、早く帰ろ」


(ちゅっ、ちゅう、とリップ音)


「ん……も、おしまい。すぐチョーシ乗るんだから」


「……めずらしいね、居眠りなんて。寝不足なの?」


「朝までゲームしてたぁ!? くっそー、頭いい奴はこれだから……!!」





 04 カラダ弄んじゃうぞ? fin.

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