第7話 ラップ
「いろいろな音楽がありますけど、私はラップというものにも少し興味があるんですよ」
と、また話が変わった。
異世界ファンタジーの話をしていても、これ以上は憤りが過ぎると愚痴以外の何者でもなくなってしまうという気持ちから話を変えてきたのかも知れない。ただ、それにしても同じ音楽の分野で今度はラップとは、ちょっと飛躍しすぎているのではないだろうか?
宇月さんは続けた、
「ラップって、私はあまりその頃音楽を聴いていなかったので知らなかったんですが、どうも昭和末期くらいからの流行りらしいですね。アメリカの方では、もう少し前からだったようなんですけどね」
「そうなんですね。僕もあまりラップには詳しくないからですね」
「ラップというのは、インストロメンタルな器楽曲にセリフを織り交ぜているように感じるんですけど、日本のラップというのは、どうしてもアメリカで流行ったものを少しでも超越しようとする思いがあるのか、あるいは、まったく他の音楽と違った新たなものだという意識が強すぎるのか、現存のジャンルの音楽に無理やり引っ掛けようとしているように感じるのは私だけでしょうかね?」
「どういう意味ですか?」
「ラップという音楽は、元々の器楽曲にセリフを載せるという感覚ですが、セリフという歌詞のインパクトが強すぎて。元の器楽曲が目立たないんですよ。だから、元々のベースを器楽曲に限定せずに、例えばベースをロックにしたり、クラシックにしたり、あるいは演歌にしたりと、ボーカルのイメージが強すぎるので、どんな音楽にも合ってしまうのではないかと思わせる部分が多分にあるのが、ラップという音楽だと思うんですよ」
という。
「うん」
「でも、もう一つ感じるのは、モノを捨てられない感覚がラップを呼んだのではないかとも思うんですよ。元々は基盤になる音があった。でも、そこにボーカルが入ってきたために新たな音楽が出来上がったけど、ボーカルが勝手に一人歩きをすることで、ボーカルのテクニックによって、どんな基盤の音楽にも合わせられるようになる。そういう意味でラップというのは、何にでも合わせられる音楽と考えるのが妥当ではないかと思うようになったんです」
「何となく分かる気がするけど、でも、それとモノを捨てられない意識とがどう重なるんですか?」
「世の中には、一杯興味を持って、いろいろなものを買う時には一気に買う人がいますよね。でも、それが最終的にはどうなってしまうか? 最近よく聞く言葉として、断捨離というのがありますよね。必要がないと思うもの、つまり不要なものを減らして、生活に調和をもたらそうとする思想ですよ。結局ほとんど何も残らないと言ってもいいんじゃないですか? 逆にはモノを捨てられないと思い込んでいる人もいますよね?」
という宇月さんに対し、
「そうですね、でも僕の場合は後者かな? これは今までの経験から言えることなんですが、あれは小学生の頃だったか、小学生というと、僕だけに限らず、面倒くさがって片づけることを嫌う子供が多いじゃないですか。そんな時、母親が片づけをしない僕に怒ってある日、ほとんどのものを捨てちゃったんです。もちろん、おもちゃのような大人から見れば大したことのないものばかりですよ。でも、子供の自分とすれば、何が必要だったのか何が不要だったのかなどというものを理解できる前だったので、いきなり捨てられて、かなり大きなショックを受けたんです。そのおかげで『モノは捨ててはいけない』という考えが頭を巡るようになったんですね。もし捨ててしまって、それが本当に必要なものだったらと考えると、怖くて捨てられないじゃないですか」
というと、
「そのお気持ちはよく分かります。特に子供の頃というのは、どうしても親に反発したくなる。時に自分がこれからしようと思っていることを先に言われたりすると、子供なりに屈辱感はすごいものですからね。だから、その屈辱感をなるべく味合わせないようにしないといけないと思って教師をしているんですよ」
と、宇月さんは言った。
「それはそうでしょうね。子供には子供なりのプライドがあるし、特に子供は親だって自分たちと同じ世代を生きてきたという思いがあるから、今の自分と同じ思いがあるものだって思い込んでいるんですよ。だから、子供とすれば親に対して、どうして分かってくれないのかという思いが強く頭にあるんですよね」
「それは親も同じかも? 自分の腹を痛めて産んだ子だと思うと、自分の気持ちは絶対に分かるという思い込みのようなものがあるのかも知れないわ」
「とにかく、僕はそんな親から、大切なものか大切でないものなのかの区別もつかない頃にほとんど捨てられた経験があるので、大人になった今でも、本当は判断ができるのかも知れないけど、いらないと思って捨ててしまって後で後悔するようなことはしたくないんです」
というと、宇月さんは落ち着いて話し始めた。
「もし、それを普通に分別のある大人がその立場で聞いていれば、きっとあなたの言葉を言い訳と取るでしょうね。子供の頃に訳も分からずに捨てられたというけど、それはあなたが片づけをできなかったことが引き起こしたこと。そして大人になってからも、判断ができるのに、判断ができないということは、逃げているという発想だとして、きっと一刀両断するでしょうね」
と言い切った。
もちろん、そんなことは川島にも分かっている。分かっていて敢えて話したのは、そんな言葉を聞きたいからではなかった。
だが、そこまで言い切った後で、また笑顔を見せた宇月さんが話し始めた。
「というのは、さっきも言ったように、普通に分別のある大人が、その立場で聞いていた時の話ね。あくまでもその立場ということね」
「どういうことですか?」
「人それぞれに立場というものがあるでしょう。私だって、今はプライベイトで聞いているどけ、教師という立場でその話を訊けば。さっきのような一刀両断の意見を口にして終わりだったかも知れない。でも、今私の立場は、普通の分別のある大人の立場ではなく、あくまでもあなたのお友達という立場で聞いているので、そのつもりでお話をすると、あなたは、きっとモノを捨てられた瞬間にトラウマに陥ったと思うのよ。今では、トラウマに陥る前の自分が、モノを捨てる判断ができずに、片付けもできなかったと言っているけど、ある意味モノを捨てる判断ができない人に片づけを強要することの方が私は無理があると思うのね。だから、あなたは親が自分のものを捨てたという行動に怒りを覚えるよりもトラウマになってしまった。あなたが親に対して怒りを覚えているとすれば、それはモノを捨てられたことに対してではなく、自分がトラウマに陥ってしまったことへの親が行った行動に対して怒りを覚えているのよ。そこを勘違いしているから、トラウマは消えることもなく、あなたにのしかかっていて、永遠にモノを捨てることができない人間になってしまったんだって感じているんだと思うわ」
彼女の表情は最初険しく見えたが。途中から同情のような表情が入ってきた。
決して同情しているわけではないように見えたが。その表情には豹変したという印象はなく、最初からにこやかに感じられた。
そう思って見ていると、彼女の顔に余裕が感じられ、この余裕が豹変したはずの彼女を、最初から笑顔だったと感じさせる要因だったように思えてきた。
――この表情が、前の女房にはなかったんだ――
と感じた。
「宇月さんのその余裕を感じさせる表情、僕は安心できる気がするな」
というと、今度は急に宇月さんの表情が翳ってきたのが気になった。
――あれ? 僕は今失礼なことを言ったのかな?
と感じた。
すると、宇月さんはゆっくりと話始めた。
「今のあなたの余裕があるという表現、実は私の前の旦那が言っていた言葉だったんです。それも別れる前くらいになって急に言い出した言葉で、よくあの人から『お前のあの余裕のある表情が憎らしいんだ』って言われました。憎らしいと言われたんですよ。面と向かって、どれほどの屈辱だったか分かりますか?」
と、宇月さんは訴えてきた。
驚いた川島は、
――自分が助けられたと思って言った言葉が相手を逆上させることになるなんて。本当はありがとうという言葉の代わりだったのに――
と感じた。
自分の考えている、
「余裕があるというのは、宇月さんにとって、もろ刃の剣のようなものなんでしょうかね?」
というと、
「そうかも知れない。私は余裕があるという言葉にトラウマがあるんですよ。普通であれば褒め言葉になるんでしょうけど、人におっては、褒め言葉が相手の傷口を広げることになるという意味で、恐ろしいものですよね。特にトラウマが絡んでくると、結構厄介ですよね」
と宇月は、冷静に解説していた。
たまに男区長になる宇月さんを見ていると、
――男だったら、親友になっていたかも知れないな――
と感じた。
男っぽいところを見たからと言って、彼女に対しての思いはさほど変わらない。いきなり付き合いただとか、その先の血痕などは全く考えていないが、女性としてもっと彼女のことを知りたいと思った。
今までは、女性というと、女房か、大学時代の数人の友達か、くらいしか意識をしたことがなかった。会社の事務員に対しての感情は、事務員としての言葉通りのそれ以上でもそれ以下でもない。後はというと、風俗嬢の女の子くらいだろうか……。
実は風俗嬢の女の子で、一人気になる女の子がいた。あれは離婚してからすぐくらいの頃だったので、自分が寂しいだけだったのではないかと思っていたが、後になっても、自分が意識した女性という回想をした時、数少ない女性の中で浮かんでくるのが彼女のイメージだった。
彼女も何か大きなトラウマを抱いているようだった。
「風俗で働くくらいだから、いろいろあるわよ」
と一度そう言っていたのを思い出した。
これは、川島が自分から彼女の素性を訊いたりしたわけではない。最初から客と女の子という関係なのだから、決められた時間内をいかに楽しく過ごせるかということが一番のはずだ。だから、そんな関係の相手に対して怒らせたり気分を悪くさせたりするのは、ルール違反であり、望んでいるサービスを受けられなかったとしても、それは自業自得であるということは百も承知だった。
彼女は以前、確か違う店だったが、贔屓にしていた女の子に似ていたのだ。その子とは結婚前くらいに贔屓にしていた女の子で、たぶん、大学を卒業し、就職してすぐくらいのことではなかっただろうか。
川島は浮気をしたり、結婚している時に不倫をしたりは一切なかった。スナック通いもキャバクラ通いもなかったが、ソープだけは利用していた。
モノは考えようで、浮気や不倫のくせはあるが、、ソープのような風俗には通っていない男がいいか、逆に浮気は不倫は絶対にしないが、ソープにだけは通っている男のどちらがいいかという、一種の究極の選択だ。
どちらもない方がそれはいいのかも知れないが、今後まったく何もないという保証はない。どちらかを続けていれば。どちらかはないということが証明されるのであれば、果たして、女性はどちらの男性を旦那にした方がいいだろう?
そんなことを考えながら別に風俗に通っていたわけではないが、昔通っていた時にお気に入りだった子は、、実に素直な子だった。いつもニコニコしていて、清楚さが際立っていた。しかし、たまに寂しそうな表情を見せるのが気になっていた。なかなかの安月給でそう何度も通い詰めるのも難しく、二月に一度くらいの割合で通っていただろうか。
その子も音楽が好きだと言っていた。
「私は、ジャズかな?」
と言っていた。
なぜかと聞くと、
「ジャズって綺麗な音楽というわけではないような気がするのよね。クラシックに比べてね。幻想的ではないんだけど、何か深い気がするのよ。普通の緑が深緑に変わった時、緑が深紅に感じられたり、紫紺に感じられたりするの。深さってそういうことなんじゃないかって思うんだけど、ジャズはそれを教えてくれるからかしら?」
という言葉が川島の心を掴んで離さなかった。
時々今でもその言葉を思い出すことがある。
――忘れっぽいと思っている自分がこんなにもハッキリと覚えていることがあるなんて――
と、自分でもビックリしている。
その時の女の子は、いつの間にかお店を辞めてしまっていたので、ショックを感じ、川島も風俗通いがしばらくやんだ時期があった。
そのうちに結婚して、新婚から仕事の面でも忙しくなったので、数年風俗から遠ざかっていた。
それが離婚を機にまた通うようになったのだが。そこでついてくれた女の子が、まるで時代を遡ったかのように、数年前に贔屓にしていた女の子がまた自分の目の前に現れたのではないかと思ったのだ。
もちろん、まったく違う女の子であることはハッキリしていた。その子を見ていると、
――やっぱり、自分の好みってこういう子なのかも知れないな――
と思った。
写真写りで選んだのだが、写真写りとは少しイメージが違っていた。だが、それはいい意味で違っていたのであって、その時、自分が終始ニコニコしていたのを、彼女も一緒になってニコニコしてくれていたのが印象的だった。
その子とはいろいろ話をしたが、その子と話をした時も確か。何か「深い」話だったような気がする。
この時のことは、結婚前の女の子の時と違ってなぜか会話の内容を覚えていない。ただ記憶にあるのは
「深い話だった」
ということだけである。
しかし、彼女とは、それから少しして会えなくなった。彼女もすぐに辞めてしまったのだ。
またしても、風俗から遠ざかってしまっていたところに出会ったのが、この宇月さんだというわけだが、宇月さんもどこか、風俗で出会った二人に似ているような気がした。
別に顔が似ているというわけではない。風俗にいた二人も顔が似ていたというわけではなく、共通点が多かったというイメージであろうか。
特に二人とも、
「深い関係の話」
をしてから急に会えなくなってしまったというのも、一種の共通点ではないだろうか。
――それにしても、まったく違ったところで、時間を飛び越えたような形で似た人に遭遇するというのも偶然というべきか――
と考えた。
確かに最初の二人は、風俗という環境は同じだったが、性格が似ていたとは思わない。そういう意味ではまったく違った場所で出会ったと言ってもいいくらいの二人だったので、三人が自分の中でそれぞれ延長線上にいるようで、三人が自分の中で平行線にいるのかどうか、想像してみたが分からなかった。
今のところ、宇月さんは自分に対して、「深い」をテーマにしたような話をすることはなかったので、それほど気にしているわけではないが、どこかで三人を無理やりにでも結び付けようとしている自分がいるのだとすれば、その真意はどこにあるというのだろう。下手に突き詰めてしまうと、宇月さんとの別れを自分で演出してしまいかねないではないか。
宇月さんに対して話をしたことで思い出すのは、モノを捨てられない話の時くらいであろうか。
――何か、僕に対して怒りをぶちまけていたような気がするな――
と思うと、風俗嬢の二人も自分に対して何か言いたいことがあったような気がする。
もちろん、客と風俗嬢という仲なので、客を怒らせるわけにはいかない。しかし、あの二人はその中でもいうべきことは言ってくれたような気がする。
――そうだ、共通点はそこにもあったんだ――
何を言ってくれたのだろうか?
そうだ、確か二人ともに、モノを捨てられないというような話をしたような気がする。最初の女の子は、
「私もモノを捨てられない性格なのよ」
と同意してくれていたと思う、
しかし、捨てられない理由が違った。彼女が捨てられないというのは、人からもらったものばかりなので、捨てるわけにはいかないという理由だっただろう。確かに彼女を見ていると差し入れの一つも持ってきたくなるタイプの女の子だ。どんどん皆が持ってくるので、彼女としては困っているという。
「私が、しっかり断れる性格だったらいいのに」
と言った時、
「いや、それが君のいいところだから」
と言ったような気がする。それをいうと、彼女はその言葉で急に寂しそうな顔になり、何かが冷めたような雰囲気だった。
二人目の彼女の場合は、彼女は何でも捨ててしまって断捨離をしていると言っていた。その彼女との話の内容は、これまた覚えていないのだが。やはりこの時も相手を冷めさせてしまったのか、実に寂しそうな顔をしていたような気がする。
――二人が似ていると本当に感じたのは、その寂しそうな顔を見た時ではなかっただろうか――
と感じた、
その時感じたのが、
「二人目の女の子は自分と性格が違っていたので、無意識に忘れようとしているのではないだろうか」
という思いだった。
断捨離というのが信じられなかった。
「もし、捨ててしまった後で、それが大切なものだったと気付いた時は、もう遅いんだよ」
というと、
「でも、それまでに気付かなかったんだから、その後も気づかないと思うのが私の考えなの。もしこの考えが違っているのだとすれば、私は、その後に気付いて、ショックを受けるということよね? でも、それというのはおかしなことなのよ。辻褄が合っていないとでもいえばいいのかしら? 私が気付くとするならば、断捨離をしていた時。すでに気付いていないといけないことよね。それならわざわざ断捨離なんてしようと最初から思わないと思うの。つまりは、何かを考えるということは突き詰めるということで、突き詰めはどんどん手前に考えていくものだとすれば、結局平行線を描いてしまって、交わることのない平行線であったり、自分の前後左右に鏡を置いた時に見える自分の姿を想像するのと同じなんはないかって思うの。それが私にとっての辻褄合わせじゃないかって思うのよね」
と彼女は言った。
川島はビックリして。
「どうして君はそこまで考えるだい? しかも今僕と話をしている間に、それだけのことを考えたというのかい?」
「ええ、そうよ。一つのことを真剣に考えると人はそれくらいのことは考えつくと思うの。でもそれを言わないのは、何を言われるか分からないという考えが頭をもたげるからで、言っても分からない人と論議をするだけ無駄だって思うんじゃないかしら? だから言っても分かる人ができれば、その人とずっと一緒に談義をしていたいと思うし、そうなることを心の隅で絶えず望んでいると思うの。私にとってはそれがあなたで、そして、あなたであってよかったと思っているのよ」
と言ってくれた。
それは非常に嬉しいことだった。お店以外で会って話をしたいと思うくらいだったが、それはルール違反だった。
彼女はそのルールを無視してもいいとでも思ってくれたのだろうか? 少なくともその時の川島と考えが重なる部分が大いにあり、彼女が何かしら求めていた相手はなかったのかと思う。
モノを簡単に捨てられると言った彼女の発想は、それだけ鋭い頭を持っているから成り立つことであって、自分とは正反対だと思った。
しかし、正反対であっても、別の観点から相手を見るという発想は、同じものを見ている以上、決して交わることはない。交わらない平行線が続いている以上、、決してぶつかり合って消滅することはないだろう。
そんな妄想を抱いていた。
だからと言って、一人目の女の子とはぶつかりあって壊れてしまうと言っているわけでない。もしぶつかるとしても、何かお互いに相手の職を和らげる力があるはずだ。だから、同じ方向を向いているのだし、しかも別の観点からではなく同じ観点から見ている。そのために、見る方向が同じであることから、却って相手の栓がどのようなものかを見ることはできない。まったく同じ軌跡を描いていると言えるからではないだろうか。
この三人の川島と関わった女性が皆どこかが似ているというのは、確かに川島が見た時に見つめた相手が似ているところにあるのだろうが、彼女たちもそんな川島の視線を感じなければ、決して話をすることも縁もないはずである。
それを思うと、
「人生の縁などというのは、どれほど偶然と思えるほどの薄い表面で覆われているのだろうか?」
と思えてくる。
三人目の女性である宇月さんと見ていると、その縁が色濃く感じられるから不思議だった。
それも、過去の二人との出会いがあったからであり、二人が同じソープ嬢だったというのも偶然なのかも知れないが、逆に、
「ソープ嬢だったら、お互いに知り合うことができたんだ」
と思えばいいことだった。
普通の出会いでは出会うことのできない相手と出会えるという感覚も川島にはあった。
「僕の出会いには、音楽や芸術、それに偶然とは思えない感覚が大いに結び付いているような気がする」
そう思うと、川島はこれまで感じてきた音楽のジャンルが、何かに自分を結び付けてくれるようで、楽しみであった。
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