第19話二日目 終わり
確認すると配信時間が十二時間超えていた。
なのに全く疲れと眠気を感じない
どういうことだ?
時間を見ると午後六時を回っていた。
「とりあえず今日はこれぐらいで終わりにするか」
と言って配信を閉じる。
すると、彼女が袋一杯に詰めたドロップ品を次元の狭間に入れていた。
その様子に惹かれているアテナ。
「おーい。二人とも帰るぞ~!」
と大声で二人を呼ぶ。
「うむ!」
「たしかこれでしたよね?」
アテナが懐から取り出したダンジョンコアを地面に投げつける。
二人はその場から消えてしまった。
一人寂しく残された俺は、解放者の宝珠に願う。
「お、やっと帰ってきやがったか」
店主がこっちに来て言う。
店の方を見ると、焼きそばを食べて幸せそうにしている彼女と不思議そうにしているアテナがいた。
「いつのまにか、時間すぎてて………あはは」
「まぁいい。とりあえずお前さんの分も用意してあるからちゃっちゃと食え」
店主が俺に焼きそばが入ったプラスチック製の使い捨て容器を渡してくる。
それをもって、店主と共に店の方へと向かった。
「あ! そうだちょっと用事思い出したので先行きます」
そういって店の方へと向かった。
彼女に先ほど次元の狭間に入れていたドロップ品を受け取る。
俺はそれをダンジョン前にある大きな建物に持っていった。
「あ、あのこれは………」
「ワイルドボアのドロップ品だが?」
男性スタッフが一瞬で凍り付いたかのように動かなくなる。
巨大な袋にこれだけの量が入ったのはめったにない。
てかワイルドボアてあの階にいるんだな。
「うちの者が済みません。今すぐ換金でよろしいでしょうか?」
女性スタッフが俺のもとに来て言う。
俺は首を縦に振ってそのことを了承する。
そのまま女性スタッフが袋を台車に乗せて奥へと運んでいった。
「今のワイルドボアのドロップ品だよな?」
「ああ、てかあいつどこかで見たことある気がするぞ」
ざわつくなかで待機するために並べてあるソファーに腰を掛ける。
ARで現在の通帳の残高と株式投資していた株の状況を見る。
通帳は、千円ほどしか入ってない。
ただ、株の方は、百万を超えていた。
「お待たせしました」
先ほどの女性スタッフが俺の前に現れる。
すると、ARの取引画面が目の前に表示された。
一千万の円が表示され目を疑う。
女性スタッフの方を見ると、コクっとうなづいた。
間違えないらしい。
高すぎだろ………。
「ありがとうございます」
そういって了承ボタンを押す。
すると、別で開いていた通帳の画面に一千万が振り込まれていた。
俺はソファーから立ち上がり、女性スタッフにお礼を言って立ち去る。
一回で一千万かぁぁ………。
今までにはありえないほどの金額だった。
二人に何か買ってあげようと心に誓う。
「遅かったではないか」
仁王立ちで俺の前をふさぐ彼女。
その姿が面白かったせいか、笑ってしまった。
「な、なぜ笑うのじゃ!」
頬を赤くして彼女は言う。
彼女は気づいてないみたいだ。
口の周りに青のりが大量についていることに。
右ポケットからハンカチを取り出し、彼女の柔らかい顔に触れる。
「っ………」
なぜ彼女が黙り込んでしまう。
口の周りをハンカチで拭き、彼女の顔から手を離し、ハンカチをポケットに入れる。
彼女の頭を撫でつつ店の方へと歩き始めるのだった。
「お、帰ってきたか」
店主が鉄板で焼きそばを豪快に焼いていた。
店の前には行列ができている。
半分は側で座っているアテナに話しかけているが。
「ああ。焼きそば余ってるか?」
「あ、さっきのやつは嬢ちゃんに喰われちまったから、ちと待ってくれ」
店主が俺の横にいる彼女を睨め付けている。
「すまぬ………あれが旦那様の分だと知らなかったのじゃ」
もじもじして彼女が謝ってきた。
「別にいいよ」
俺は鞄からプラスチック容器に入ったものを取り出す。
だが、それは容器内で変な物を生成していた。
な、何でこんなものが入ってんだよ!
即座にそれを鞄に再度しまい込む。
「今のは………なんじゃ?」
彼女が首をかしげる
多分二年前に姉さんに作ってもらった弁当だ。
菌やらが繁殖してこのようになったのだと思う。
一度死にかけたダンジョン配信者は、二年の時を経てダンジョン攻略者となる 結野ルイ @yunorui
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