第18話 お宝?
第百二層、そこは周りが古代の遺跡に覆われた場所だった。
なぜダンジョンの中にこのような遺跡が多数あるのかすらわからない。
ただ、これらすべてが現実世界にありそうな遺跡だ。
「これは………」
モアイ像に向かってしゃがみ込む。
モアイ像の真下に何かが出ているのを見つけた。
それを手で掘り返す。
「あ、お宝ですね」
アテナが俺の隣にしゃがんでいった。
いかにも豪華な装飾がされたネックレスだった。
鞄にしまい込む、その場から立ち上がる。
「さて、この中に魔方陣を探すのじゃが………」
珍しく彼女の口が閉じる。
アテナが彼女のほうへと行く。
「『サーチ』………何も反応ないじゃと………」
魔法を唱えた彼女が驚いている。
俺もやってみよう。
「『サーチ』」
その言葉を言った途端辺りになにか波の様な物が広がっていく。
なにかそれに反応する。
なんだ?
気になってその反応の方へと足を進める
だが、彼女に手を取られ歩みを止める。
「どこ行くのじゃ?」
「あ、あっちに反応あったから行こうかと」
反応があった方を指差していう。
彼女は俺の手を離すと俺が指さした場所へと一人で向かっていった。
なにか手で掘ると、そのまま掘りだしたものをこっちに持ってきた。
「これじゃな」
オレンジのような赤い色の宝石が入った指輪を彼女が持ってきた。
アテナがそれを彼女の右手の人差し指にはめ込んでいた。
「ま、待つのじゃ!」
「え~いいじゃないですかぁ!」
彼女が左手でアテナの指輪をはめ込んでいる手を止める。
だが、アテナは遠慮していないのか彼女の抵抗が無意味になる。
完全にはまってしまった指輪を必死にとろうとする彼女。
しかし、あの指輪が呪われていたのか彼女の力でも抜けなかった。
「何てことしてくれたのじゃ!」
アテナに向かって言い放つ彼女
だが、肝心のアテナはそこにはいなかった。
「逃げおったな………」
「だなぁ………でも………似合うと思う………ぞ………それ」
恥ずかしくなり言葉が出なくなってしまった。
似合うといったせいか、彼女は右手の人差し指から手を離す。
「よかったですね。母上」
「うるさいわ! アテナ、お主のせいなのじゃよ!」
「正直になってくだいよ~」
「うるさいのじゃ!」
俺はじゃれあっている二人を見て笑っていた。
相変わらず仲がいい。
そういえば、どうして彼女にはわからなかったのに俺にはわかったのだろう。
そのことを疑問に思いながら先に進みだす。
「ほんといせきしかないな」
クフ王のピラミッドやマチュピチュ、古墳。
古今東西の遺跡が観るだけで確認できる。
だが、かなり広大なために次の階層に行く魔方陣を見つけるのに困難を強いられていた。
「どこなのじゃああああ」
「叫びたいのはわかりますけど………」
ドドドという音が遠くの方から聞こえてくる。
遠くの方から砂吹雪を舞い上げながらこっちへ大量のイノシシが走ってきた。
ワイルドボアだ。
肉は高級な豚肉。皮はいい革製品、骨は薬に
その部分でもドロップしてもいいのがこっちに向かってきていた。
「あ? なんじゃ?」
「母上のせいですよあれ」
アテナがこっちへ向かってくるイノシシの群れを指差す。
すると、彼女は口に光をためそれをイノシシの方へと放つ。
ドーンと言いう爆発音が辺りに響き渡る。
あちこちで爆発音でビビったのか鳥の声が聞こえてきた。
「おいおい、あれはやりすぎだ」
ポンと彼女の頭を叩く。
少し力を込めたせいか、彼女は叩いたとこを両手でふさぐ。
「うう………」
泣きそうにする彼女の頭を撫でる。
そのおかげか、笑顔になっていた。
爆発跡がよく見えるようになり目を凝らす。
そこには、かなりのドロップ品が落ちていた。
「おーめっちゃ落ちてるな」
「ふふーん」
自慢げに彼女は鼻を鳴らす。
さらに俺は彼女の頭を撫でた。
配信画面を見ると、配信が勝手に終わっていた。
一時間ほど前に終わっていることが表示されていた。
焦って配信を再開する
《こんばんは!》
《配信お疲れ様です》
《こんばんは》
《こんばんは》
《こんばんは》
《こんばんは》
たくさんのコメントが流れ出す。
「あ~どもこんばんは! さっそくなんだが配信いつの間にか切れてたわ」
俺がそういうと。
《あれ? 十二時間やってたよな》
《だよね?》
《たしか十二時間で配信切れたはず》
「ま、まじかぁ………」
確認すると配信時間が十二時間超えていた。
なのに全く疲れと眠気を感じない
どういうことだ?
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