第16話 再度バズって大変………。
「と、とりあえず先に進もうぜ」
彼女手を引いていう。
「うむ!」
草原を歩き、徐々に神殿に近づいていく。
途中、モンスターが襲ってきたが、二人で撃退する。
レベルがどんどん上がっていく中モンスターが不自然なものを落とした。
「紅羽。こいつなんだかわかるか?」
彼女の方へとそれを見せる。
それは、女神像だった。
普通モンスターが大切に持っているはずがない。
それを彼女が見た途端、俺の手から奪い取ると神殿の方へとぶん投げた。
「な、何すんだよ!」
「すまぬな。ただあれはまずいのじゃ」
神殿の方へと投げたはずの女神像がこっちの戻ってきた。
彼女の目の前に着地するとその姿を変えた
「のう、アテナ。童の旦那様を殺そうとしたこと何と弁明するつもりじゃ?」
彼女のように美しく白銀の髪を風で揺らし。
天女のような羽衣を身に纏い。
その者の顔は、まさに彼女と同じだった。
「父上………」
「なぜお主がここにおるのかは知らぬ。だが、童の夫に被害をもたらすのなら」
彼女は、目の前にいる彼女と同じような人物の首元に自分の右手を近づける。
全く同じの彼女は、その場で膝から崩れ落ちる。
頭が全く追い付いていない。
《紅羽ちゃんだよな?》
《紅羽ちゃんと全く同じ見た目な少女?》
《でも今アテナて呼んだよね?》
《そのアテナてこは、紅羽たんのことを父上と》
《なぁこれて》
《ああ、紅羽ちゃんが。主神ゼウスであると?》
《アテナが父上ていうのはゼウスしかいない》
「全くわからん」
ついコメント欄をみていたら声が出てしまった。
こんな状況じゃ仕方ない。
すると、全く同じの彼女が泣き出す。
「私は、私は………母に認めてもらいたくて………やっただけなのに………」
大声を出して泣いてしまう。
その様子を見ていた彼女は、泣く彼女を優しく抱きしめた。
「そうか、なら許そう。あ、そうじゃ、父上はやめてくれ恥ずかしいのじゃ」
一瞬彼女が、筋肉ムキムキ男性に見えた気がした。
何だったんだ………。
コメント欄を見るが、そんな反応をする人などいなかった。
「分かりました………」
泣いていた彼女が俺の方をじっと見つめてくる。
すると、その場から飛び上がるかのように俺に抱き着いてきた。
「おい、ちょ………おまえ………」
「お前じゃありません、アテナです! よろしくお願いしますね。父上」
「はぁああああああ?」
笑顔でいうアテナと名乗る彼女に驚きを隠せなかった。
俺が父上? 全く話が追い付いてこない。
彼女の方へと助けを求めるたじっと見つめる。
すると、苦笑いされてしまった。
「アテナ。お前は一体なんだ?」
「なんだと言われましても、知恵、芸術、工芸、戦略を司る神ですけど?」
無邪気な笑顔でそういわれてしまう。
もう、ギリシャ神話に出てくるアテナと同じなのだろう。
しかし、どうして彼女と同じ顔をしているんだ?
「それ以上くっつくでない!」
彼女によって離される。
だが、代わりに彼女が俺に抱き着いてきた。
柔らかな感触と花のようないい香りが広がる。
「何するんですか! 母上には関係ないでしょ!」
「関係あるに決まっているのじゃ! 童の旦那様なのだから取るでない!」
全く同じ顔をした彼女たちに両方から抱き着かれる。
なんだこの特殊な状況は、
普通双子なら同じ顔になることが多い。
しかし、彼女たちは母と娘である。
《うらやましい》
《リア充爆発しろ!》
《リア充爆発しろ!》
《見た目が全く同じだと判別ほとんどできねーよなぁ》
《だよなぁ。特徴て言ったら服装ぐらいか?》
「だよなぁ。とりあえず紅羽との差別化させたい」
俺がコメント欄を見て反応する。
すると、アテナがARで表示されているコメント欄をみて目をキラキラせている。
「な、なんですかそれは!」
アテナが俺の手を掴みながら言う。
彼女と反応がほとんど同じだ。
さすが、家族なのだろう。
「ふふふ。アテナみてるのじゃ!」
彼女がカメラの前の間で決めポーズを構える。
その光景が、配信画面に映り込んだ途端アテナが驚く。
それどころか、彼女と一緒に写りだした。
「まるで、双子のアイドルだなぁ」
《もうこれで思い残すことない………》
《俺はこのために生きてきたんだ》
《いま私死んでもいい!》
《死ぬんじゃねえええええ!》
《死なないでくれ!》
《母子を見守ろうの会をここに作りたいと思う!》
《参加!》
《参加!》
コメント欄が俺が復帰した時よりにぎわい始める。
すると、ARの画面にツターの通知が爆速に流れ出す。
通知が止まらなくなり、視聴者がどんどん増えていく。
同時接続数が十万を超えている。
またバズりだしたみたいだ。
「おーい。二人とも置いてくぞー!」
ずっと決めポーズしている二人に大声で言う。
だが、聞こえていないのか、二人でじっと見つめあっている姿が配信画面で見えた。
別カメラで俺が行く先の方へと撮影を開始する。
「これでいいか」
と言って辺りを警戒し始める。
神殿の麓で崖の上に立つ神殿を見て胸が熱くなる。
神殿の方へいこと道に従って歩みを始める。
「でか………」
神殿の前にしてあまりにものでかさに言葉が出る。
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