第7話 魔素を取り込むと?
通路を歩いていると、目の前に巨大な扉が突然現れる。
突如現れた扉に俺は頭をぶつける。
「いってぇ~」
「迎えに来てくれたようじゃ」
彼女が突然現れた扉を触りながら言う。
その意味が解らず、混乱する。
「ウがあああああああああ」
扉の奥から何かの叫び声が聞こえてきた。
すると、その声に反響してか、扉が勝手に開く。
プリンのような水のようなものに触れた途端、掃除機にでも吸い込まれたかのような吸引力を味わう。
「あははは! これは楽しいのじゃ!」
はしゃいでる彼女。
俺は、この間に手持ちの剣を鞘から取り出し、右手に握りしめる。
光りが見え始め、一瞬眩い光を放つ。
「ウがげ嗚呼あ嗚呼あ嗚呼」
先ほど見かけたヤマタノオロチがそこにはいた。
《やっぱダンジョンボスだったか》
《なぁ。勝てんのか?》
《わかんねぇ。今までは五十層あたりを探ってたからなぁ》
《目覚めた先にダンジョンボスに挑戦とか。怖すぎだろ》
「やはり、魔素によって狂っておるか」
彼女は、以前のように右腕をドラゴンの腕に変える。
俺も、ヤマタノオロチを目の前にして、剣を持つ手が震える中、目が合ってしまう。
「ひぃ!」
あまりの恐怖に悲鳴を上げてしまう。
そんな俺を見ていたのか、隣に立っていた彼女が剣を持っている手に触れる。
人肌の暖かみを感じた途端、急に恐怖心が薄れ、安心感が増えていく。
「あ、あいつなんだろ?」
彼女に聞く。
だが、彼女は首を横に振った。
「もうあの子ではない。魔素によって童の事すら忘れて………っ!」
言いかけた彼女が俺を押し倒す。
押し倒された瞬間、入ってきた扉の方を目掛けて一つの首が炎のブレスを放った。
「く………紅羽!」
《紅羽あああああああ》
《今の一撃はまずいな》
《俺なら死んでるわ》
《同じく》
突然目の前に配信画面が現れ、コメント欄がざわついているのがわかる。
今はそれどころではなく、配信画面を目の前から退け、彼女がいるはずの場所へと向かう。
「紅羽?」
彼女がいるはずの場所には、白い鱗、白銀の羽、銀色の角、紅の瞳を持つドラゴンが立っていた。
すると、配信画面とは別に他の画面が表示される。
そこには、ドラゴンの情報が載っていた。
彼女が埋め込んだ機械のおかげなのだろう。
HP■◆◆00000/嗚呼嗚呼000000000 MP◆◆◆00000000/◆◆◆0000000
名 紅羽 真名◆◆◆???・!!!
年齢不明
種族 エンシェントドラゴン
スキル 完全回復 人化 古代魔法、ブレス、破壊魔法、創造魔法
称号 世界の創造主 七代ダンジョン統括 人間に恋した龍 エンシェントドラゴン
すべての始まり ママ 人々を魅了した者
「名は、紅羽て………」
俺の目の前でじっとこっちを見つめてくるドラゴンと目が合う。
すると、ヤマタノオロチに向かって白いブレスを放つ。
命中したのか、悲鳴が聞こえてくる。
「紅羽。おまえ………」
ドラゴンの目から彼女のいつものキラキラが無くなっていた。
まるで何も感じていないロボットのよう目が黒い。
このままではまずいと思い、ドラゴンに近づく。
だが、もう一発ブレスを打ち込み、その衝撃で吹き飛ばさる。
「くそう………紅羽! しっかりしろ! くれはああああ」
大声で彼女の名前を呼ぶ。
その声が聞こえたのか、ブレスの準備していたのをやめ、こっちに振り替える。
すると、突然ドラゴンが光り輝く。
思わず、左腕で目元を隠す。
「すまぬな、旦那様」
白い角を頭にはやし、白銀に輝く髪をなびかせながら彼女は言う。
俺は、元に戻った彼女の姿を見てすぐにカメラを隠す。
「あのさ、それどうにかしてくれ」
俺は目元を剣を下ろした右手で隠しながら言う。
彼女は、いつの間にか全裸になっていたのだ………。
「触ってみるかえ?」
彼女が俺に近づき、俺に自分の胸を近づける。
必死にカメラを隠しながら、必死に見ないようにする。
「この辺にしておこうかのう。そろそろあやつも起きるころじゃ」
と彼女が言うと、ブレスを打ち込んだ場所が砂が周りに舞っていた。
すると、俺にめがけて風の刃の様な物が飛んでくる。
剣で受け止めようとすると、彼女が俺の背中を押した。
風の刃が剣と激突し、衝撃が全身に伝わる。
これどうにかしないとやられる!
そう思って、両腕に意識を集中させる。
すると、白い靄の様な物が両腕に見え始める。
「これで………どうだあああ!」
全力で風の刃を跳ね返し、ヤマタノオロチに向かって剣を振りかぶる。
剣がヤマタノオロチの胴体を貫く。
悲鳴が聞こえずに、何も言わずにそのまま息絶えるヤマタノオロチを見て、右腕をガッツポーズにする。
「ありがとう」
と俺の耳もとに小さな声で聞こえてきた。
あれは、ヤマタノオロチの声だったのだろう。
死体は、いつの間にか消えており、そこには、一本の刀が地面に突き刺さっていた
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