第3話 防犯教室

「そういえば、私、以前に生まれ変わりの話をしたでしょう?」

 と、急に話題を変えてきた。

「ああ、そういえばそんな話をしていたね」

 というと、

「ひどい、忘れちゃったの? まあいいわ、でも私、小説を書けるようになったのって、そう思うようになってからだったような気がするの」

「どういうことだい?」

「死んだつもりになれば、何だってできるってよく言われるじゃないですか。自殺しようとしている人に、よくそう言って声を掛けますよね。私は、ずっとそれが正論だと思っていたんだけど、途中で、そんなの茶番じゃないかって思うようになってきたんです。そのきっかけだったのが、門倉さんに助けていただいたあの時の事件だったんです」

「あの時は、本当に申し訳ないことをしたね。僕がもっと気を付けていれば君にこんな怖い思いをさせずにすんだのに」

 というと。

「そんなことはどうでもいいんです。いえ、どうでもいいなんていうと失礼ね。だって、あの事件があったから、門倉さんと仲良くなれたんですもの」

 と言って、少し顔が赤らいでいた。

 その顔を見て、門倉も自分の顔が自然と赤く変わっていくのを感じたが、すぐに留美子の方から、

「いや、それでね。その時、正直怖かったのね。実際に門倉さんがすぐに飛び掛かって助けてくれなかったことにも苛立ちがあったし、このまま私は死ぬんじゃないかと思うと、一思いに殺してほしいとも思ったくらいなの。それだけ私は頭の中が混乱していたんだけど、その時、途中で死を覚悟したのね。そうすると、死んだらどうなるのかって思ってしまって、そう思うと、浮かんできたのが、生まれ変わりという発想だったの。生まれ変わると、何に生まれ変わるか分からないでしょう? だったら、死んでから生まれ変わるんじゃなくって。生き返ればいいのにとも思ったの。でも、そうすると、今のまま続くわけでしょう? その時、私はあまり自分の人生に喜びが感じられなかったので、生まれ変わりたいと思ったいたのよ。だから、生まれ変わりをさらに意識したんじゃないかって思ったのね」

 門倉はその話を聞いて、

――この子は、一瞬でいろいろなことを考えられる子なんだな――

 と思い、だからこそ、小説を書ける才能があるのだろうと思った。

「本当に、留美子ちゃんはいろいろな発想ができるんだね?」

 というと、

「そうじゃないわ、一つに纏められないのが、困るのよ。私から見れば、確固とした考え方を持った人を見ると羨ましく思う。そういう人が、いつも輪の中心にいるんだろうなって思うの」

 という留美子に対して、

「じゃあ留美子ちゃんは、いつも輪の中心にいたいと思っているの?」

「そんなことはないわ。逆に輪の中心になると、今度は身動きが取れなくなって、自由にできないでしょう? そんな状態からまわりを見るのって苦しいと思うの。人を羨ましく思う自分を見ているのが苦しいの」

 というではないか。

 そんな留美子を見て、

――なんていじらしいんだ――

 と感じた。

 いじらしさが女の子らしさだとするならば、女の子として留美子を好きになっている自分を感じた。だから、さっきから頬が紅潮しているのだし、恥ずかしいとは思いながらも嫌な感じがしなかった。

 一つには、最初に出会った時の、あのあどけなさの中に引きこもろうとする態度と、自分に対して、いや大人に対して子供としての怯えが感じられたにも関わらず、自分に馴染んでくれたおかげなのか、すっかり明るくなり、少なくとも自分には積極的に接してくれることが嬉しかった。

「留美子ちゃんは、学校ではどうなんだい?」

 と聞くと、

「えへへ」

 と言ってごまかし笑いを浮かべるが、正直、その実情は分からなかった。

 門倉刑事は、彼女のこんな表情に惹かれるのだということをいまさらながらに感じた。あどけない表情で、あざとさなるものが分かっているのか、それを思うと、出会ったあの時のことを思い出していた。

――あの子はどうして、あんなところでウロウロしていたのだろう?

 まわりに誰か友達がいたわけでもなかった。かといって、下を向いて考え込んでいる雰囲気でもなかった。それなのに、門倉は彼女が近づいていることに気付かなかった。本来ああいう場面が発生すれば、どうしても犯人に集中してしまうということで、なるべくまわりにも注意をひかなければまらないというのは、定石だった。

 そんなことは当然分かっているはずなのに、意識してい鳴ったはずもないだろうに、どうして彼女のことに気付かなかったのかというと、それだけ彼女の気配が消えていたということであろうか。

 もっとも、あっと思った瞬間には、彼女は羽谷苛めに遭っていた。しかも、あの男からは後ろにいるはずなのに、正面から見ている門倉が気付かなかったことを、あの男には気づいたということになる。

――まるで後ろに目があるかのようではないか――

 まさかそんなことがあるはずもなく、門倉もビックリしている。

 そう思うと、門倉は時々、留美子というこの女の子が急に怖く感じられることがあった。何が怖いのか、その正体が分かっているわけではないが、

――自分たちが思っているよりも、気配を消すのがうまいということだろうか?

 と感じた。

 しかし、それも彼女が自分から意識して気配を消そうとしているわけではないように思う。

「生まれ変わったら」

 と彼女がよく言っているが、その前世が何だったのか、知りたいと思うほどだった。

 もし、石ころのような存在で、誰にも意識されない妖怪のような存在だったら、今に因縁を引っ張っていることになる。刑事としてはそんなバカげたことを感じるのはおかしなことなのだろうが。彼女が。

「生まれ変わり」

 という言葉を口にするたびに、そのことを思い知らされる気がするのだ。

 彼女は最近、おかしなことを言い出した。

「生まれ変われるとしたら、一度死なないといけないのかしら?」

 というものだった。

「あの時あのまま死んでいれば、生まれ変われたかも知れないって思うんだけど、そんなことを思うと助けてくれた門倉さんに申し訳ないという思いと、ひょっとしたら、私が死んで悲しむ人がいるんじゃないかと思うと、そんなことは思っちゃいけないと感じるんだけど、どうしようもないのよね」

 留美子は、どうやら、自分が死んでも悲しんでくれる人は誰もいないと思い込んでいるようだ。

 普通なら、

「そんなことはないよ。君が死んだら悲しむ人はいっぱいいる」

 と言って慰めるのが本当なのだろうが、門倉にはそれができなかった。

 それはあくまでも口から出まかせのような気がして、そんなありきたりの説教のようなことを言っても、決して留美子の心に響くわけはなかった。

 門倉は大人として言わなければいけない言葉なのかどうかを考えていた。普通であれば言えるのだろうが、相手が彼女であれば、どうにも口を開く勇気がない。それは自分が彼女のことを気に入っていて、少なからず好まざる相手ではないということを自分で分かっているからではないだろうか。

「自分が好きな相手には、少々厳しくても、自分に正直でありたい」

 と、豪語していた門倉刑事は、

「こんなことを言っているから、ずっと独身なんでしょうね」

 と気心知れた人に話しては、苦笑していた。

 言われた方も、どうしようもなく同じように苦笑している。そうするしかないほど、門倉刑事というのは単純にできているのだった。

 それは彼の操作方法にも言えていた。

 彼は何事件解決には欠かすことのできない刑事であったが、海千山千の刑事たちの中でも実に素直だった。それだけに、思ったことに対しては厳しく、相手が上司であっても、食ってかかるところがあるくらいだ。そんな門倉刑事だが、なぜか警察内部では人気がある。

 それはきっと、警察内部組織のガチさに、ウンザリしている人が多いからであろう。そういう意味では門倉刑事は、警察内部でも完全に異色な存在だった。

 最近の門倉刑事は、それほど忙しいというわけでもなかった。

 この間、ちょっとややこしい事件があったが、いつも事件が発生した時に捜査協力をお願いしている鎌倉探偵に解決してもらい、それからは、さほど大きな事件も発生していない。

 実際に、殺人事件すら刑事課で取り扱うものは数日なく、ただ、最近殺人がない代わりに、自殺などが急増していた。

 ここ最近、経済が不安定であったり、伝染病が流行ったりと、経済への打撃がハンパではなく、その煽りを食って、禁乳不安が襲ってきたことで、リストラが流行り出しているようだ。

 実際の数字もひどいもので、失業率はここ十年間でも最低レベルにまで落ち込んでいて、静かにではあるが。巷はリストラが吹き荒れているようだった。

「陰惨な殺人事件はないが、自殺が多いというのもやり切れないよな」

「ああ、そうだよな。殺されたというのであればまだしも、自殺したなんていうことになると、どうしようもない。保健も下りないひともいるだろうし、鉄道を使って自殺なんかした日には、残った磯久が賠償金を払わなければいけなくなるんだよな」

 と言って嘆いていると、

「何をくだらないことを言ってるんだ。自殺だろうが、殺人だろうが、人ひとりが死ぬことになるんだぞ。不謹慎な言い方はやめるんだな」

 と、課長にいわれた。

「はい、申し訳ありません」

 この会話に門倉は参加していなかったが、不謹慎だとは思っていた。

 若い血気に早やっているいる新人刑事としては、自分の活躍の場面がなかなかないことを残念に思っていることだろう。しかし、犯罪がないに越したことはないのだ。彼らだって、そんなことは分かっているのだろうが、やはり覚悟を固めて刑事になったのだから、自分が活躍できることを夢見ているのは、本当であれば頼もしいことなのだが、事件がないというのは皮肉なもので、下手をすればせっかくの新人の成長のチャンスがなくなっているのかも知れない。

 そんな時、門倉は課長に呼ばれた。

「門倉君、ちょっといいかな?」

「はい、何でしょう。課長」

 二人は、奥の応接室に入った。

「実はね。今度、近くの高校で防犯講習会があるんだけど、君に手伝ってもらいたいんだ」

 というような話だった・

「えっ。私がですか?」

「さあ、そうだ。最近はちょうど重大事件も発生していないし、このあたりで警察が市民と触れ合う場面を演出しておく必要があるんだ」

「そういうのは、広報課だったり、交通課がやるんはないんですか?」

「そうなんだが、広報課の方から応援依頼があってね。署長もそれなら、誰か出せばいいじゃないかっていうんだ」

「それでどうして私なんですか?」

「老練の刑事には若い人たちは少し難しいだろうし、かといって新人の連中には任せられない。そこで刑事としてもそれなりに経験のある君に白羽の矢が立ったというわけだよ。お願いできないだろうか?」

 と、頭を下げられれば、無碍に断ることもできない。

 渋い顔をしていると、署長が入ってきて、

「いいじゃないか、門倉君。君が市民の人から信任が厚いというのも、私は知っているよ。だからそんな君に頼んでいるんだ。刑事は犯人を逮捕するだけが仕事ではない。犯罪を未然に防ぐのも大切な仕事なんだ。被害者を出さずに、そして、若い人たちにも防犯意識を持ってもらうことで、これからの市民生活に我々警察が寄り添っていけるようになると、犯罪だって減るだろうし。万が一起こってしまった犯罪も、市民が協力してくれれば謙虚にも繋がるというものだ。君だって、捜査をしている時、市民が警察というだけで嫌な顔をして、捜査二非協力的な場面を嫌というほど見ているんじゃないか? そんな思いはもうしたくないはずだ。だから、頼んでいるんだよ」

 と、いう署長の説得には、それなりの説得力があった。

「分かりました。こんな私でよければ」

 というと、

「そうか、やってくれるか。君がやってくれると言ってくれたのは実に心強い。これからは君が先駆者となって、市民との懸け橋を築いていってくれたら。私たちは安心なんだけどな」

 と、署長は手を差し出して、握手を求めてきた。

 署長に勧められたからと言って、

「じゃあ、やりましょう」

 というのは、本来の門倉刑事としてはあまりありえないことだった。

 署長としても、門倉刑事が本当にやってくれるかという意味では、五分五分くらいを考え、必要以上に期待はしていなかったはずだ。それでもやろうと思ったのは、最初の候補になっている学校が、留美子の学校だったということである。

「留美子ちゃん、今度君の学校でうちの署による、防犯教室があるんだけどね」

「ええ」

「実は僕が講師としていくことにあったんだけど、どうだろうか?」

 と聞くと、

「えっ、門倉さんが来てくれるの? それは嬉しいわ。私、門倉さんという刑事さんと知り合いだということを、学校では誰にも話をしていないのよ。これを機会に話そうかしら?」

 と言っているのを聞いて、

「それはいいかも知れないね」

 と言った。

 留美子が意外な顔をするかと思ったが、別に気にしている様子はない。普通なら門倉は自分を友達に紹介するなどというと、恥ずかしがって、変に意識してしまうと思ったのだろう。実際に一年前くらいの門倉であればそうだったのかも知れないが。今回は署の代表としていくのだ。一種のスポークスマンの役目も背負っているということで、学生にある意味顔を売っておくというのも悪いことではないと思ったのだ。

 それに、留美子という女の子が、今まであまり学校のことを話そうとはしなかった。それだけに友達に自分のことを話していないのも分かっていたし、今度もそうだろうと思ったのだ。

 つまり、自分のことを話すだけの友達がいないということであり、それは門倉にとってはあまり嬉しいことではなかった。自分が少々恥ずかしい思いをするかも知れないが、留美子に友達が増えるのであれば、それはそれで喜ばしいことだと思ったのだ。

「僕だけではなく、広報の人や交通課の人もいるので、結構いろいろな話ができると思うんだけど、それでもいいかな?」

「もちろんよ。私楽しみ」

 と言って、本当にワクワクしているようだった。

 留美子という女の子は性格的に分かりやすい子で、気に入ったことには熱心に、気に入らないことに対しては、あくまでもクールにであった。クールさも表情に出て、彼女の場合は、

「無表情な表情」

 と言ってもいいだろう。

 日程は、次の月の最初の月曜日に決まり、半月ほどあったので、門倉も十分な練習期間が持てた。何をするかというと、まずは実技である。

 主に女性の防犯が大きいので、主役は女性警官であり、門倉は襲う側という、ちょっと嫌な役回りだったが、前もって留美子にはその話をしてみたが、

「いいわよ。だってそれが門倉さんのお仕事ですものね。でも、その後にちゃんと格好のいいところもあるんでしょう?」

「ああ、その後に僕の講義の時間があって。そこで犯罪の種類や防止方法や、検挙の例なんかを話すことになるんだ」

「最初にちょっと格好悪いことをしておいても、最後にはキッチリと決めてくれるんであれば、その方が恰好いいんじゃないかしら?」

 と言ってくれたのも心強かった。

 実際の講義で何を話そうか、いろいろ迷ったが、やはり一つはこの間の厄介な事件を、鎌倉探偵の気転を利かせた推理で解決した、あの事件にしようと思った。

 あの事件は、後ろに反社会的勢力がついていて、事件を解決できたことで、この組織を一網打尽にすることができたという意味で大きな成果のあった事件でもある。きっと高校生にも反響のある興味深い事件だと思ってくれるのではないかと門倉刑事は考えていたのだ。

 今度の事件で、門倉刑事がどんな役回りだったのかというと、重要なところの役ではあったが、お世辞にも格好のいいという出番ではなかった。そのあたりはうまく色を付けるかのようにして話をするのがいいと考えた。

 この事件における捜査のやり方は、実際にはギリギリの部分もあった。モラルという意味でも法律ギリギリのところもあったので、その部分もうまくボカシていかなければいけなかった。そういう意味では、この事件を持ち出して講義をするというのは、本当ならあまり得策ではないだろう。

 そういう意味で、どういう話をしようか悩んだものだった。いろいろ考えたが、やはり最終的には、この間の事件しかないと思い、得策ではないと思われたが、敢えてこの話をすることにした。 

 そのためには、最初に気分転換に興味深い話をしようと思い、鎌倉探偵の話をすることにした。鎌倉探偵が元は小説家で、そこから探偵になったいきさつ(これも、少し微妙なので、うまくぼかしを入れる必要があるが)であったり、今まで一緒になって解決してきた話などを織り交ぜるように考えた。だが、一番彼らの心を惹きそうなのは、たまに鎌倉探偵との間で繰り広げられる、

「探偵談義」

 などがいいかも知れないだろう。

 鎌倉探偵は、理論で詰めてくるので、最初は冷静であった。しかし、いつの間にか自分の理論の話に持っていくのがうまく、その路線に入り込めば、後はマシンガンのように集中的に攻撃してくる。それもピンポイントな話になるので、門倉刑事は時々タジタジになってしまう自分を感じる。

「やっぱり、こういう論議の話をしなければ、鎌倉探偵との仲を説明しようというのも難しいだろうな」

 と思った。

 それに今回鎌倉探偵の話をするのは、今までしていなかった留美子に、自分たちの仲に入り込みやすくしようというのも目的の一つだった。

 これまで鎌倉探偵の話をしようと何度か思ったが、彼女の方が、自分との二人の時間を大切にしたいという思いから、門倉の話の中に他人が出てくるというのを極端に嫌っていた。

――本当は鎌倉探偵のことも紹介したいのに――

 という気持ちがあり、

「どうすれば違和感なく紹介できるだろう?」

 といつも考えていたことと、今回の署長からの立っての願いに薄日つくというのは、ある意味怪我の功名だった。

「たまには、署長の顔を立ててあげるのも、いいことなのかも知れないな」

 と思ったが、まさにその通りだったのだ。

――警察学校を卒業してから、学校というところに足を踏み入れたことがあっただろうか?

 と思い出してみたが、確か事件でかつてあったような気がした。

 あの頃はまだ駆け出しの刑事の頃だったので、本当に焦ってばかりいて、まわりがハッキリと見えていなかった。

 だから、事件現場が学校だという意識はあったが、意識として思っていただけで、どんな学校だったのかという記憶にはまったくと言っていいほど残っていない。

 今こうやって思い出したのも、事実として残っているものを思い出しただけで、決して記憶から思い出されたわけではない。そんな記憶ともいえない学校がそんなところだったかなど、思い出せるわけもなかったのだ。

――初めてのようなものだな――

 あの頃に比べれば、自分も大人になったようなものだと感じた。

 今の自分が高校生くらいだとすれば、あの頃はまだ小学生にもなっていないくらいだったのではないだろうか。中学生も高校生もまったく意識にない、遠い存在だったということだけが意識として残っているだけだ。

 あの頃に比べれば、どれだけ大人になったと言えるだろうか?

 先輩の刑事は若手の刑事など、ただの道具としてしか見ていない。いくらでもこき使って、少しでもトロければ、非業のあらしである。何を言われても逆らうことのできない部課とすれば、今では、パワハラと言われても仕方のない状態でも耐えるしかなかった。

 もっとも、そのおかげで今は立派な刑事になれているのだし、あの頃に顎で使っていた先輩刑事も、今では自分たちのことを一人前のように見てくれている。やはり何事もある程度まで伝統というものが大切なことだとも教えてくれたような気もする。

 ただ、今ではその伝統という言葉が、パワハラの代名詞のようになってきているということもあり、気を付けなければいけなくなっている。コンプライアンスと言われる言葉が流行り出してからというもの、上下関係もどの世界でも問題視されているが、特に警察などの組織は余計に顕著だろう。何しろ国家公務員であり、社会に対しての影響も大きく、昔の悪しき黒歴史までついてくることになれば、問題は単純なものではないだろう。

 特にドラマで扱われやすいジャンルということもあり、庶民の警察官への目は、良くも悪くも、いろいろ問題なのだ。昔からいわれる、体育会系などという言葉は、今ではコンプライアンスの敵なのかも知れない。

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