油灯の罠

「よく来てくれたね、みんな。じゃあ行こうか」

私は集まってくれた4人に笑いかけ、そのままみんなを連れて夜の学校に入り込んだ。

「先輩、本当に大丈夫なんですか?こんな夜中に学校に侵入するなんて」

「侵入じゃないよ。ちゃんと怪談研究会の合宿として届出も出してるし。みんなが来る前に用務員さんにも挨拶したから大丈夫」


「そうかもですけど、やっぱり不気味じゃないですか?明日の朝にしません?」

「不気味だからいいんじゃん。せっかく許可が取れたんだから、今回だけでも付き合ってよ」

怪談は好きだが怖がりの後輩が長く息を吐いて弱々しく頷いた。

「それに私ね、ちょっと早めに来てより雰囲気が出るように少し準備したからさ、是非みんなに見てほしいんだ」


そう言って、話してる間に辿り着いた怪談研究会の部室の扉を開く。今回の合宿のために余計なものは全部片付けて、遮光カーテンも買ってきた。真ん中には円い机と人数分の座布団も用意してある。そして仕上げのために、私はライターに火をつけて部屋に入る。


「お、ロウソクでも使うの?いいねぇ」

「ロウソクは使わない。先生に先回りで禁止されちゃった。だからね、なんと油灯を作ってきたの」

机に置いた5つの油灯に順に火をつけていく。

「ちゃんと水バケツもあるし大丈夫だよ。あそこに隠してるけど。さあみんな座って。あ、ちょっと電気消してもらえる?」


電気が消えると油灯のみに照らされたみんなの顔が仄暗く浮かぶ。思ったより雰囲気が出ていて、興奮してきた。

「ちょっと、暗すぎない?それに…」

「大丈夫だって!早速始めるよ。不肖、まずは私から始めさせていただきます。これは数年前この学校で実際にあった出来事なんだけど…」

「いや、あの、部長。ちょっと待って」

「え、なにさ」


「油灯は雰囲気出るし、すごくいいと思う。手造りまでしてくれて本当にありがとう。でも、もしかしてだけど材料にごま油とか使ってない?本当に申し訳ないんだけど、いい匂いがして階段には集中できない…」

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