第19話 呪われし歩み
「という事で先輩。私は長谷川も倒すべきだと思います」
「という事でって随分とアレだな」
「私は長谷川を認めません。.....先輩も認めてない。だったら倒すしか無いです」
ご飯を食べ終えた後だったが。
先輩に撫でられて思いました。やっぱり倒すしか無いかなって、と笑顔になる美兎。
俺はその姿を見ながら、ふむ、と思う。
そして見ていると美兎は、長谷川をどう始末するかですね、と元気が出た様に反応してくる。
「私.....長谷川だけは許せないです。金で全てを操るとかもうなす術無しですね」
「いや始末って怖いんだけど」
「私は怖いとは思いません。ただ厄介なモノを退けているだけです」
「まあその.....その考えも怖いけどな」
私はそうは思いません、と笑顔で反応する美兎。
かつての美兎が戻ってきた様だが。
正直怖いものがある。
長谷川が何をしてくるか分からない事。
それが結構大きい。
「先輩はやられっぱなしで良いんですか?私は良く無いって思います。だから復讐します」
「まあ確かにな.....やられっぱなしは良く無いよな」
「そうです。だから復讐しないとですね」
そして笑顔のまま、じゃあどうするか、ですね、と笑顔になる。
そうなるとまた学校のSNSアカウントか?
思いながらスマホを弄ってから学校のアカウントを見る。
そこではツイートに、牡馬が捕まった、というスレッドが立っていた。
最悪な事をしていた、という感じで。
「この調子で広めますか」
「そうですね。そうなると先ずは証拠集めですが.....」
そう思っていると屋上のドアが開いた。
それから男性の先生が2名やって来ながら俺を見る。
ここに居たか、と言いながら。
俺は、?、を浮かべてから先生を見る。
すると先生達は、話がある、と真剣な顔を向けてくる。
「.....え?何の話ですか?」
「お前の悪事について」
「.....は、はい!?」
悪事.....?
思いながら見に覚えのない事にハッとする。
それから、それは.....長谷川の申告とか?、と聞くが。
先生達は何も答えず俺の腕を握る。
「ちょ、ちょっと待って下さい。先輩が何の悪事をしたんですか?」
「その件は下で話す。.....とにかく来なさい」
それから先生達は俺を連れて行く。
生徒指導室に。
そして椅子に腰掛けさせてから、田中。お前が万引きしたという噂があってな。それで真相を聞く為に来てもらった、と俺に向いてくる。
「待って下さい。俺は何もしてないです」
「.....だが店の店主から連絡があってな。.....万引きしたと」
「そんな馬鹿な.....」
「コンビニで万引きをしたんだろう。白状しなさい」
全く身に覚えがない。
なのに何故そういう事になっているのか。
思いながら、証拠あるんですか?、と聞いてみる。
すると、監視カメラの映像があってな、と話してくる。
「でも先生。俺全く身に覚えが無いんですけど」
「行ったんじゃないのか。長谷川はそう言っているが」
「.....」
俺は長谷川の言葉を思い出す。
確かアイツは1億でも2億でも積むと言っていた。
そして逆ギレしてきたのだが。
つまり。
アイツが仕組んだ罠の可能性がある。
何かをしているんじゃないだろうかアイツが。
思いながら俺は、どうなんだろうか、という感じの顔をしている教師達に告げる。
「.....それって.....長谷川だけですか?言っているの」
「そうだな。長谷川だけだ。仮にもお前の事は信じていたんだが残念だ」
「.....でも俺は何もしてないんで.....長谷川に話が聞きたいです」
「しかし。監視カメラの映像もあるんだぞ。この案件は警察に言ってもおかしくないんだぞ。今は学校の中で済んでいるが」
え?警察に言ってないのか?
それっておかしいと思いませんか。
警察に言ってないんでしょ、と俺は教師達に話す。
すると教師達は顔を見合わせて、それは確かにそうだが、と言ってくる。
だっておかしい。
そんなに犯罪行為なら俺を警察に直ぐに連れて行ってもおかしくないのだが。
それすら無いとは。
身内の揉め事にしてないか?
「長谷川に話が聞きたいです」
「.....しかし」
教師の片割れは悩んでいたが。
もう一人の教師が、飯山先生、取り敢えず長谷川にもう一度聞き取りをしましょう、と話す。
俺はその言葉を聞きながら悩んでいる先生を見る。
すると悩んでいるその先生は、分かりました。佐藤先生が言うなら、と納得した様に俺に向いてくる。
「.....まだお前の容疑が晴れた訳じゃないが今回はこの辺りにしておこう。もう帰って良いぞ」
「私達が調べておきます。反省する様に」
言いながら2人の教師は俺を見る。
そして俺はその中で頭を下げてから、有難う御座います、と話す。
それからドアを開けると。
美兎が居た。
「.....絶対にアイツですよ.....長谷川です。何か仕組んだに違いないです」
「そうは言ってもな。証拠が今は無い。だから長谷川の話を聞かないとな」
「万引きなんて先輩がしますかね。幾ら何でも汚いです。手段が」
言いながら俺を見てくる美兎。
俺はその姿を見ながら、そうだな、と告げる。
そして俺は美兎に、教室に帰るか、と言いながら美兎の頭を撫でる。
美兎はその事に、はい、と返事をした。
しかし.....。
「.....」
行ってもないコンビニ。
信じられないが監視カメラの映像は合成でも使ったのだろうか。
思いながら俺は不気味に思いながら。
そのまま教室に戻った。
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