第二章 歩き出す世界に
希望の燈
第13話 広がっていく世界
傷だらけになってからの。
警察に事情を聞かれて何とか家に帰り着いた。
それから丹生と凛子に抱きしめられる。
そして俺は近所のまた公園に居る。
「.....ほう」
そんな感じで息を吐きながら俺は目の前を見る。
目の前では相変わらず子供がはしゃいでいる。
可愛い感じである。
俺はその姿を見ながら頬の傷に手を添える。
そこには縫った傷がある。
「.....ゆかな。これで反省してくれれば良いが」
その様な事を呟きながら俺は空を見上げる。
それから目の前を見据えていると。
お兄、と声がした。
顔を上げるとそこに凛子が。
俺は、どうした?凛子、と聞くと凛子は横に腰掛けた。
「.....今回の件は御免なさい。心配だったの。.....勝手に盗聴器とか仕掛けてごめん」
「正直あまり宜しく無いけど。だけど今回は俺を思ってやってくれたんだ。.....今回は見逃そうと思う」
「.....そうは言っても御免なさい。でもゆかなさんも捕まったから今回限りにする」
「ああ。そうしてくれると嬉しいよ」
それから俺達は目の前を見る。
すると、お兄、と声がした。
俺は凛子に、どうした、と聞く。
そんな言葉に、私はお兄が好き、と向いてくる。
その言葉に赤くなる俺。
「突然どうした」
「だから私は.....美兎さんとお兄が幸せになる姿が思い浮かばない。だけど.....私は陰からの存在になろうって思う」
「陰からの存在?」
「.....何かあったら私はお兄を奪うって事」
それも美兎さんからね、とニコニコする凛子。
俺はその姿を見ながら苦笑いを浮かべる。
そして、成程な、と告げる。
凛子は俺に柔和になる。
「.....だから決して諦めた訳じゃない」
「.....そうか」
「.....私は狙うよ。まだまだお兄を」
「そこら辺はお前の好きな様にしてくれ」
そんな感じで会話をしながら俺は目の前を見る。
すると背後からいきなり、先輩、と声がした。
俺は、!?、と思いながら背後を見る。
凛子も驚いた様に背後を見る。
そこに美兎が立っている。
「聞きましたよ。先輩.....凛子さんって先輩が好きなんですか?」
「何だお前!?盗み聞きしていたのか!?」
「悪い事だとは思いました.....だけど盗み聞きせずにはいられませんでした」
「.....」
「....美兎さん.....」
じゃあこうしませんか、と美兎は凛子に提案する。
それは、どっちかが誘惑して勝つ、という方式。
私は先輩が好きですが凛子さんも先輩が好き。.....なら勝負しましょう、と。
俺はその姿を真っ直ぐに見る。
「私は絶対に先輩を諦める気はないですが.....今回の件で凛子さんも先輩を相当に好きってのが分かりました。だからこそこういう事をしないとダメだって思いました」
「.....でもお前はそれで良いのか.....美兎。せっかくお前にしかスポットライトが当たってなかったのに」
「このままお付き合いするのは良いですが先輩の心を優先したいですしね」
そもそも先輩は私が好きですか?、と聞いてくる。
俺はそれを言われてから考え込む。
まだ美兎の事は何も考えれない。
そう考えながら。
すると、という事なので私は凛子さんと勝負します、と満面の笑顔になる。
「.....お前.....」
「私は.....全てが満足する世界を望みます」
「.....美兎さん.....」
でも美兎さん。私はモブで良いですよ。だって.....お兄の隣には貴方が居ますから、と苦笑いで言う。
すると何を思ったかムッとした美兎は凛子の頬にキスをした。
は!?何をしているんだ!?
思いながら俺は赤くなりながら美兎を見る。
凛子は訳がわからないという感じで真っ赤になっている。
「こんだけ好きって事ですよ。凛子さんの事も」
「.....!?」
「愛情表現。チークキスとでも呼びましょうか。今のは」
ウインクする美兎。
チークキス。
まあ欧米辺りでハグキスとされているが。
だけどそんな度を超えている。
これはハグキスとは言えないだろ。
「.....美兎さん.....」
「今のでやる気出ました?」
「.....分りました。そこまで言うなら私もやります」
「そうそう。その意気。あっはっは」
美兎はニコニコする。
俺の意見は完全無視かよ。
思いながらも、まあ良いか、と思いながら俺は盛大にため息を吐く。
それから美兎が俺に向いてくる。
「という事で美女2名に迫られる刺激的な生活。この先で覚悟して下さいね」
「いや。お前。刺激的な生活って」
「凛子さんはとてつもない美少女ですしね」
「いや。それ言うならお前もだけどな」
「私はそこそこです」
言いながら美兎は苦笑する。
それから、でも、と切り出してくる。
そして俺達の顔を見てくる。
こうなってくれて有難い感じです、とも。
「先輩を改めておとせますしね」
「私.....負けないです」
「やれやれ」
という事で。
何故か知らないが美兎VS凛子。
そんな形になってしまった。
恋のバトルが.....恋の戦いが、である。
でも何か凄い恐怖を感じるのだが。
俺だけなのか?
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