第12話 社会的抹消
ゆかな.....。
思いながら俺は美兎と一緒に見る。
するとゆかなはニコニコしながら一歩ずつ歩み出して来た。
何をしているのかな?、と言いながら。
「ゆかな。.....俺はお前と話がしたかったんだが。でもまさかタイミングなんてな」
「.....そうだね。.....私も予想外かな。.....でも横暴な手段に出ているみたいだから私も釘を刺しておかないとねって思って」
「.....」
「.....どっちが横暴ですか。.....私のありもしない噂をこの学校に広めて」
美兎が話す。
私は確かにありもしない噂を広めたけど。
だけどその前にもっと酷い事をしたのは君達だよね、と言ってくる。
私の居場所を壊そうとしている。
だからその分私は.....君達に釘を刺すつもりで会いに来た、と話す。
俺達は冷や汗を吹き出して一歩背後に下がる。
「.....私達から手を引いてってあれ程言ったのにね。.....君達は鬼かな?」
「.....お前の方が鬼だな。.....まあどっちでも良いけど。.....でも俺達は俺達なりの正義を信じる」
「そっか。そうしていると居場所は無くなるよ?」
「居場所が無くなるって脅しても無駄だ」
「.....そうかな?私は脅しとは思ってないよ。私は真面目。至って正常」
そして一歩進んでくるゆかな。
俺達は背後に一歩ずつ下がる.....時。
後ろに何か感触があった。
高身長の男子生徒2人。
不良の様だが。
ニヤニヤしながらゆかなを見てから、コイツか?、と尋ねる。
「.....そうだね。そいつだから。ボコボコにしてやって」
お前!、と絶叫しながら言っていると。
物凄い速さで光の様に殴られた。
そして俺の頬から血が飛ぶ。
あまりの腕力に俺は身体がすっ飛んだ。
それから地面に叩きつけられる。
「せ、先輩!」
「学校内で.....何をしているんだ.....アンタら。マジに退学ものだぞ!ゆかな!お前もだが!」
「私は計画があるから。君を抹消する。それに私は信頼を得ている。人間なんてそんなものだよ」
「そして俺達も互いに話したけど.....取り敢えずゆかなさんを抱けるなら良いかなって思って。そしたらゆかなさんを虐めている奴が居るって聞いてな。代わりにボコりに来た」
「そーそー。まあそれに正直、将来とか考えれねぇし。俺ら頭悪いしよ」
私が、計画が、という部分。
つまりゆかなはコイツらを切り捨てている可能性がある。
傷害罪。
その言葉が過ぎる。
だけどまあその前に俺は殺されるかもしれない。
思いながら俺は動かない身体を必死に動かしながらゆかなを見る。
「まだ息があるんだ」
「.....あいにく俺の身体は頑丈でね。.....幾ら金を身体を払ったんだ。コイツらに」
「.....払ってないけど?私はあくまで誘惑しただけ」
「はは。マジにお前の様なクソッタレは死んでくれ」
そんな感じで会話をしていると拳がまた飛ぶ。
それからぶん殴られた。
痛いというかめちゃくちゃ痛い。
学校内でこんな事になるとは、と思うが。
美兎は、先輩!呼んできます!誰か!、と言うが。
「逃げろ。.....その前に。来るまでに俺は保たないと思う。ここ監視カメラの死角だしな。先生達が来る前に多分.....マジに死ぬと思う」
「先輩.....」
「良いから早く逃げろ!」
「.....!」
美兎は泣き始める。
俺はその姿に盛大に溜息を吐く。
するとスマホから音声が聞こえた。
何か.....声も聞こえてくる。
『あー。聞こえますか』
何故か知らないがそれは凛子の声。
自動音声の様な感じで聞こえる。
俺は、何事!?、と思いながらポケットに手を伸ばす。
何か知らないがポケットから声がする。
まさか、と思うが。
「凛子!?何をしている!?」
『お兄。黙って。.....スマホを勝手に起動させたのは御免なさい。そして遅くなってゴメン。証拠を集めたかったから。お兄に勝手に盗聴器も仕掛けた事も.....謝る」
「.....!?」
盗聴器!?
思っているとゆかなが不愉快そうに俺を見据える。
それから音声を聞いていると凛子は、既に手を打った、と言う。
手を打った、とは何だろうか、と思っていると校内放送が流れる。
女子の声がする。
『はい。という事で今から全部放送します』
「.....は?」
『今から流すのはスマホの録音機能とスマホへ音声を送信出来る盗聴器を使ったものです。まあちょっと音声が荒い部分がありますがご了承下さいねぇ』
「.....!?」
ゆかなが怯む。
不良達もタジタジして怯んだ。
何が起こっている、と思って俺は腫れた目で見上げる。
すると、私は写真部の部長の友平桜(ともひらさくら)って言います!.....ゆかなさん。凶悪ぶりですけどそれも今日で終わりですよ、と言ってきた。
「.....桜.....まさか!?」
「な、何が.....」
「.....?」
裏切り、と言う感じで青ざめるゆかな。
そしてまるまる盗聴したものが流された。
その時に先生達がやって来たのだが天井を見上げて絶句している。
いやちょっと待って盗聴器って何だ、と思いながら俺はポケットを探ると。
そこに何か丸い物体が入ってくっ付いていた。
どうやら凛子が洗濯した際にこの服にくっ付けたものらしいが。
こんなもんどっから手に入れた。
「.....」
ゆかなの顔が唖然とした姿から歪む。
醜く、であるが。
俺達は顔を見合わせる。
そしてゆかなは慌てて指令を出した。
今直ぐにソイツを殺して、と。
「クソッタレ!」
「ぶち殺す!」
そんな感じで2名の男子生徒が襲って来るが。
その前に柔道部の顧問が早かった。
思いっきり刺股を使って取り押さえる。
それから絶叫する男子生徒に、黙れ!、と威圧する。
逃げようとしたゆかなも捕まった。
「.....」
「.....先輩.....」
美兎が抱きしめてきた。
それから涙を流して号泣し始める。
俺はその姿を見ながら腫れ上がった顔で頭を撫でる。
美兎が死ななくて良かった。
本当に。
「大丈夫か?」
「.....はい。藤原先生」
氷を持った養護教諭の藤原先生が心配そうに聞いてくる。
俺は痛みを感じながら.....そのまま病院に向かう事になった。
頬を3針縫う事になり。
そしてゆかなに関しては警察に捕まり学校委員会の話し合いの結果で指示役として重い罰の退学処分となった。
不良2名も事が重大として捕まり。
退学処分になる。
取り敢えずは周りはそんな感じになった。
因みに桜さんだが。
5人のうちの1人であり。
ゆかなの友人とされた。
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