第9話 義姉妹の考え
俺には義姉妹が居る。
田中丹生と田中凛子は姉妹に近い。
だが何方かと言えば凛子がお姉ちゃんだ。
何故なら双子だが凛子の方が先に産まれた。
だから凛子の方がお姉ちゃんなのだが.....詳しい事は知らない。
何故なら簡単。
2人は父親に虐待を受けたから。
だからこそ話そうとはしない。
父親を酷く憎んでいる様だがその中でも丹生に理解者が出来た。
理解者というのは男の子。
つまりお付き合いを始めたのである。
俺みたいにならなければ良いが、と思いながら見ている日々だが。
そんな事を考えながら俺は公園にやって来た。
あくまで気晴らし程度に。
思いながらベンチに腰掛ける。
それから周りで遊んでいる子供を見る。
「.....裏切り.....か」
呟きながら俺は苦笑いを浮かべる。
それから俯いた。
困ったもんだな、と思いながら。
すると、お兄ちゃん、と声があった。
「.....丹生?」
「様子がおかしかったから心配で勝手に付いて来た」
「.....そんな事するなよ.....でも有難うな」
「ねえ。お兄ちゃん。復讐はどんなの考えているの?」
「.....俺か?.....俺じゃなくてアイツが考えているぞ。美兎が」
そうなんだね、と答えながらベンチに腰掛ける丹生。
それから顔を上げてくる。
その顔は真剣な顔で俺をジッと見てくる。
ねえ。お兄ちゃん。ゆかなさんに復讐しないで、と言ってくる。
「.....丹生?」
「お兄ちゃんが犯罪者になっちゃう。.....こんな下らない事で犯罪者になったら嫌だよ」
「それは分かる。痛い程にな。だけど俺は.....」
「お兄ちゃん。こんな事をする前に.....絶対にするべき事もある。.....こんな下らない事はもう止めよう。擁護する意味じゃない。.....ただそのクソ女の為に貴方が犯罪者になるのは嫌」
「.....丹生」
丹生は涙を浮かべながら俺の手を握る。
それから俺を真っ直ぐに見てくる。
そして、凛子もきっとそう思っている、と告げてきた。
俺はその言葉に、しかし、と反応する。
「.....俺は.....もう戻れないよ」
「戻れるよ。.....きっと。だからもう止めて。法で裁かれるべきだよ」
「.....丹生.....」
「私は.....許せないけど。優しいお兄ちゃんが好き」
「.....出会った頃とは大違いなもんだな」
「それはあの時の私ははっ倒したい気分だけど。.....だけど今は違うって思ってるから」
お兄ちゃんの理解者だから。
だからこそ復讐は止めてほしい、と言ってくる丹生。
俺はその姿を見ながら顎に手を添える。
それから、美兎がやるって言ってる。.....だからもう引き返せない、と話した。
「.....お兄ちゃん.....」
すると目の前から声がした。
そう。引き返せないよ、と、であるが。
その声の主は凛子だった。
俺を見てから丹生を見ている。
「.....丹生。犯罪になっても良いから復讐すべきだから」
「.....お姉ちゃん。こんなの間違ってるよ」
「許せないもん。.....私の大好きなお兄をこんな目に」
「.....お前は兄妹として俺が好きなんだな」
「違う。.....私はお兄ちゃんが異性の男性として好き」
数秒間と俺は動きが止まる。
そして数秒後に、はぁ!?、と絶句した。
今何て言った、と思いながら。
その大声に周りも反応する。
子供が怯えていた。
慌てながら俺は小さなトーンの声になる。
「お、お前?!どういう事だ!?」
「兄妹だから恋愛したらダメとでも言うの?私はそうは思わない。私は3年前からお兄が好きだよ。救ってくれた時から」
「.....いや。救ったのは.....お前らが熱にうなされた時.....」
「インフルエンザで死にかけた。.....それで恋しない方がおかしいから」
言いながら俺を見てそのまま赤くなっている丹生を見る。
丹生は、お姉ちゃん.....、と複雑な顔をした。
俺はその姿を見ながら、だからお前はゆかなに復讐したいのか、と言う。
するとその言葉に頷いた凛子。
「.....私は絶対に許せない。.....お兄が好きだから。その事に対して」
「.....だから復讐するの?お姉ちゃんも.....間違ってる。絶対に」
「私は許す気はない」
「.....」
考えは尊重する。
だがお前まで巻き込まれる必要は無い、と話す。
その言葉に丹生は涙目になった。
俺はその姿を見ながら俯く。
「.....私もするよ。.....お兄が犯罪に手を染めるなら私も染まる」
「ダメだ。お前はこの場所に来るな。陽の当たる場所を歩け。絶対にこっちに来るなよ」
「何で?何なら私はお兄と今からでもセックスも出来るけど。それぐらいの覚悟だけど」
まさかの言葉だった。
ぶっ飛んでんな!?と思いながら唖然とする。
真っ赤に染まる丹生。
まあ子供が居るからしないけど。.....私は兄妹とは思ってない。この関係を、と俺に言葉を発してくる。
俺は赤くなる。
「.....それぐらいの覚悟。.....何ならフェラチオでもクンニでも何でもしてあげるししてもらっても構わない」
「お、お前!?」
「お、お、お姉ちゃん!?」
「.....それぐらいの覚悟は示さないと動かない。お兄は」
そして俺を真っ直ぐに見る。
それから、私はそれぐらいお兄が好き。だから絶対に復讐する、とニコッとした。
俺はその姿を見ながら考え込む。
さてどうしたものか、と思いながら.....。
だが。
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