第15話
目覚めるとそこは白い天井、微かに香る消毒液の匂い。保健室か、ということは…
「あっ、起きた」
声のした方向を見ると、そこにはおかっぱ頭の小柄な少女が座っていた。
「うん、大丈夫そうだね。やっぱり疲れが溜まっていただけみたい。ここ最近碌に寝て無いんじゃない?」
「久しぶりだね、楓。何で君がここに?」
彼女の名前は
「だってあたし、保健委員だもん。びっくりしたよ、穂月君が錐人君を背負って連れてきた時は」
彼女の隣には心配そうな錬次の顔があった。
「根を詰めすぎなんだよ。焦ってもいい事はないぜ」
確かに僕は焦っていた。玄冬先輩との力の差はあまりに大きい。
「穂月君に聞いたよ。生徒会長を倒したいんだよね。あたしも応援するよ」
「ありがとう、楓」
そう言って僕は立ち上がり、立て掛けてあった忍者刀を拾う。
「錐人君、ちょっといい?」
楓はそう言うとじっと僕の身体を見つめる。
「えっと、何?」
「ちょっと体幹が右に傾いているなと思って。さっき触診した時も右腕の筋肉が妙に張っていたし。その刀、錐人君に合っていないんじゃない?」
楓の言葉に僕はドキッとする。僕はそんなに筋肉がある方じゃないが、忍者刀は普通の日本刀よりも軽い。
「そんなに負担には思わないけど」
僕は忍者刀を弄び乍ら答える。
「いや、意識できないくらいの軽い綻びでも錐人の戦闘様式には致命的になり得るよ。そうだな、得物を変えるのも有りかもしれない」
錬次の言葉に僕は反論する。
「でも、これ以外の武器ってあんまり使ったこと無いし」
「俺も打刀しか基本的に使わないから適切な助言は難しいな。…となればあいつの意見を聞きたいな。錐人、明日は暇か?」
「予定は無いけど」
「じゃあ朝の9時に第二備品倉庫に来てくれよ。会わせたい奴がいるんだ」
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