第14話

 決闘を終えた翌朝、教室へ入ると勿朽の姿を見つけた。

「おはよう、勿朽さん」

 僕は自分の席に座り挨拶をする。

「…風見君、おはよう」

 ここ最近は何を話しかけても無視されていたので、返事をされたことに驚くと同時に嬉しくなる。

「ごめん、負けちゃったよ」

「別に、はなから期待していないよ」

「でも、いつか勝ってみせるよ」

 僕がそう言うと、勿朽はいつも通りの不機嫌な顔で

「好きにすれば」

 そう言って顔を背けてしまった。


 その後も勿朽の態度は素っ気なかったが露骨に避けられることはなくなった。

 それを見ていた亜妻からは

「良かったね、仲直り出来て」

 と言われた。心配してくれていたらしい。いい奴だな。


 そんな感じで僕は学園生活を送る。変わったことといえば、忍術の授業をより意欲的に受ける様になり、放課後の自主練が日課になったことだ。偶に同室の亜妻、傷代、鹿島も訓練に付き合ってくれる。だからと言って急に強くなったりはしない、道のりは遠い。


 5月3週目の土曜日、僕は錬次と訓練をしていた。

「くっ、風見屍這!」

「甘い」

 虚を突いて背後を取った僕の忍者刀は錬次の日本刀に防がれた。

「何回か見せてもらえばその技は看破できるよ。それに錐人、お前とどめを刺す時に首筋を狙う癖があるよな。来る場所が分かっていれば対処するのはそう難しい事じゃ無い」

 まだ未完成な技とはいえこんな簡単に防がれるとはショックだ。

「もう一回、次こそは」

 僕はそう言って手から竜巻を出す。しかしその瞬間、僕の意識が遠のいた。

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