第5話
4月3週目の金曜日午後、僕達一年玄武組は戸隠学園の演習林、その北端に集められた。
「これより実戦演習『地獄鬼ごっこ』を始める」
竜胆先生の声が響く。
演習の内容を纏めると以下の通りだ
・時間は3時間
・場所は演習林内(直径約3キロ)
・逃げ子は一年生全4クラス(84名)
・鬼は三年生の有志21名
・開始10分前に逃げ子は演習林内のどこかに各自移動する
・逃げ子は鬼の持つ手錠をかけられたら脱落(開始地点に各自戻る)
ふむ、鬼ごっことかくれんぼが合わさった感じかな。
錐人は説明を聞きながら考える。
要するに鬼に見つからなければいいのだ。遮蔽物の多い演習林なので隠れる場所は無数にある。
鬼に見つかっても手錠をかけられ無かったらいいので、戦うという選択肢もある。しかし相手は三年生だ、正攻法ではまず敵うまい。
複数人で行動すれば勝てる可能性は上がるが見つかるリスクも増える。
「最後に、時間内に全員捕まったクラスは皆退学になるので奮闘する様に」
竜胆先生の締めの言葉に生徒達が騒つく。
僕も動揺を隠しきれない。退学?嘘だろ。そんなあっさりと言うことか?
「風見」
傷代に声をかけられる。振り向くと傷代、鹿島、亜妻。僕のルームメイトが揃っていた。
「俺達は一緒に行動することにした。風見もどうだ?」
傷代の言葉に僕は答える。
「断らせてもらうよ。足手纏いにはなりたくないし、僕は独りの方が隠れやすい」
「分かった。健闘を祈る」
続々と生徒たちが森に入っていく。
僕達の闘いが始まろうとしていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます