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あさきちゃんは、館山さんの妹でジャズボーカリスト。

イチローさんとオルトの推しでもある。

今まで彼氏の話を聞いたことがない。


「いないだろうたぶん」と館山さんもはっきりしない。

「もてそうだけど理想が高いとか?」

「理想なんてないだろう。ただあんまり彼氏とか考えてないかもな。」

「今は音楽一筋ってことですか。」

「そうかもしれん。」

あさきちゃんは、可愛いし愛想がよくて誰かれなく好きになってしまう。

そんな子だ。

彼氏になったら幸せだろう。

「なんだイチローさんあたりが狙ってるのか」


「イチローさんにとってあさきちゃんはアイドルと同じですよ。たぶん。」

「まあそんな感じだな。じゃあオルト君か?」

「オルトとは合いそうな気もしますけど、やっぱりイチローさんと同じですよ。兄としてはどうなんです?」

誰にも渡したくないに違いない。

「考えたことないなあ。」

そんなはずはない。かわいいかわいい妹なはずだ。


まあそこはつっこまないでおいた。

「今度課長の家に呼ばれたんですよ。」

「課長ってあのアイドル好き同士で再婚した人か?」

「そうです。その奥さんがイチローさんとかオルトも呼んでドルヲタパーティをするっていうんです。」

「ははは。ドルヲタパーティか。そんなんあるんか?」

「まあそれは奥さんが勝手につけた名前なんですけど。課長とは違って人好きのするタイプなんですよ奥さんは。」

「ほう。楽しんで来いよ。」

「でも、課長の家ですよ。なんか仕事の延長みたいじゃないですか。」


「それもそうだな。」

「課長もアイドルの話になれば会社にいるときと違って話しやすいんですけど、それでもなんか素直には楽しめそうにないんですよ。」

最初その話が来た時、え!?って思って断ろうかとも思ったけど、

課長も奥さんの手前呼ばないわけにはいかないって感じのオーラを出していたので、了解してしまった。

イチローさんにもオルトにもお願いした。彼らは楽しそうにOKしたけど。

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