BellaBot

口羽龍

BellaBot

 それは2023年の1月3日の事だった。僕はいつも通り伊勢神宮に初詣に行った。この頃に行くのは毎年の事だが、2021年はコロナ禍で行かなかった。伊勢神宮には毎年のように多くの人が集まる。今年も多くの人がやって来たが、コロナ禍前に比べて少し減ったような気がする。


 外宮と内宮にお参りした後にする事がある。内宮近くのおかげ横丁で伊勢うどんを食べる事だ。私は内宮でお参りを済ませ、おかげ横丁に向かった。


 おかげ横丁はいつも以上にはるかに賑わっている。だが、この頃はこれが普通だと思っている。むしろ、コロナ前の方が多かったかな?


 私は内宮に比較的近くにある『岩戸屋』という店に行った。去年と一緒だ。一応これが、自分にとっての年明けうどんだ。


 私は席に座り、伊勢うどんを注文した。周りの席には、参拝を終えた人が多く、伊勢神宮の袋を持った人が多い。


「はぁ、午後からどうしよう」


 私はその後の計画をあんまり立てていなかった。これからおかげ横丁でもう少し食べていき、宇治山田駅で色々と鉄道の写真を撮ろうと思っていた。だが、そんなに詳しくは決めていなかった。


「ご注文の品を、お取りしましたニャ!」


 突然、店で声が聞こえた。猫っぽい言葉遣いだが、何だろう。私は首をかしげた。


「あれ? 何の声だろう」


 と、目の前をロボットが通り過ぎていく。ディスプレイが猫になっている。まさか、あの声の主だろうか?


「な、何だ、あのロボット」


 私は気になって、そのロボットが再びやって来るのを待った。果たして、あの声はあのロボットの声だろうか?


 しばらくすると、再びロボットがやって来た。ロボットは品物をトレーに載せている。こんなロボットもあるんだ。


「ご注文、ありがとうニャ!」


 私は驚いた。やっぱりあの声なんだ。それにしてもかわいいな。


「なるほど、この声だったのか。それにしても、かわいいなぁ」


 ふと、私はそのロボットが気になった。どんな名前のロボットだろう。ホームページで調べてみよう。


「あれ何だろう。ホームページで調べてみよう」


 名古屋に自宅に戻った後、私は気になって、ホームページで調べた。どうやらそれはBellaBotというらしい。


「ふーん、BellaBotというんだ」


 気になって、その活躍を動画で見る事にした。どうやらファミリーレストランで使われているらしい。今度、ファミリーレストランを覗いて、導入されているか見ようかな?


「この猫っぽい所、かわいいなー。どんな所にあるんだろう」


 私は初めてそれを見た時の事が忘れられない。次第に自分で受け取られたいと感じるようになった。




 後日、私はファミリーレストランに行く事にした。ファミリーレストランに行くのは、何年ぶりだろう。珍しい商品が出た時には食べに行ったのに。最近はそんな事がなくなった。


 私が注文したのはハンバーグ定食だ。確認したとおり、BellaBotが動いている。それにしても指定された席まで運べるってのは、すごいテクノロジーだな。


「おっ、来た来た!」


 と、目の前をBellaBotが通り過ぎていく。軽快な音楽を流しているのは、ロボットが通るからだろう。中には、その姿を笑顔で見ている人がいる。かわいいと思っているんだろうか?


 と、別のBellaBotがやって来た。そのBellaBotは、ハンバーグ定食をトレーに載せている。私の席に来るんだろうか? 届くのが楽しみになってきた。


 それから程なくして、BellaBotがやって来て、私の席の前に止まった。そして回転してトレーを見せた。


「ご注文の品を、お取りしましたニャ!」


 注文の品を持ってきてくれた。嬉しいし、かわいいな。私はトレーからハンバーグ定食を取った。


「ご注文、ありがとうニャ!」

「やっぱりかわいいなー」


 BellaBotは厨房に戻っていった。これはファミリーレストランに行きたくなるな。私はしばらく見とれてしまった。こんなかわいいサービスが広まるといいな。

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BellaBot 口羽龍 @ryo_kuchiba

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