第3話主婦の泥濘

「はー、疲れた。」

ダイニングテーブルに両肘を突き目を閉じる。

 5分程度して再び眼を開けた。

「眠る所だったわ。危ない危ない。」

一人呟きながらヨッコラショと、引いた椅子の背凭れを支えにして腰を伸ばした。

 4:55主人の光市(こういち)を送り出し、7:45一人娘の奈桜(なお)を高校へ追い遣る。

「私の目玉焼き残しといてよママ?」

それを受け流して「お弁当ちゃんと持ったのナオ?」

娘の弁当は午前6時までに作り終えていた。

フロアにダイソンクリーナーを掛ける。

モーター音が少々大きいのが気に掛かるが、他社と比べて吸塵力が断トツだったから使っている。ダイニングフロアから廊下へ出たところで、「水口(みなくち)さーん宅配便ですう!」インターホンよりも声が大きいので何処の宅配便よりも重宝していた。

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