結果発表②

アデーラ「メイド用の................?」


聞き慣れない言葉に対し、思わずポカーンとするアデーラさん。


審査員1「よくよく考えて欲しい。ハナの作ったメイド服を着ていたモデルは、どういう動きをしていたか」

アデーラ「そんなの、滑らかに動いてたに.......あ!?」


何かに気づいたのか、目を見開くアデーラさん。


そう、私はメイド服を作るのと同時に、下着としてブラジャーを作っていたのだ!!


審査員1「そうだ。彼女はメイド達の動きやすさを考え、あえて下着も作った。故に、彼女達の顔は生き生きとしていたのだよ」

アデーラ「...........コルセットは体を締め付ける拘束具、とでも言いたいんですか?」

審査員1「少なくとも、彼女はそう思っているみたいだがね」


審査員の人がそう言うと、アデーラさんは、私をキッと睨んだ。


恐らく、自分のスタイルが否定されたと思ったのだろう。


その目は、とでも鋭いものになっていた。


審査員2「私達はね、ファッションショーをするつもりで、審査をしていたつもりはないんだよ。私達は、あくまでメイド達の服を審査をしていた。ただ、それだけだよ」

アデーラ「.................」


アデーラさんに向け、審査員の人は懇々とそう言うと、私の方を向き..........こう尋ねた。


審査員3「さて、厳しい意見はここまでにして..........ハナ、君に一つだけ尋ねたいことがある」

花「は、はい!!」

審査員2「君は、シェーレグリーンを使うという選択肢があったにも関わらず、何故、それを使わなかったのかい?」


やっぱり、そういう質問が来るよね〜


花「えっと......シェーレグリーンを使ったカーテンや、服を着た人の体調が悪くなっている.....っていう新聞記事を読んだので、メイドさん達の体調を考慮して、あえて使いませんでした」


嘘は言ってないからね。


審査員1「ふぅむ.....そうか」


審査員の人達は、しばらく考えた後


審査員1「やはり、君は【宮廷裁縫師】に相応しい人物だったようだね」


と言った。


花「あ、あの.....それってどういう」

審査員3「【裁縫師】は、常に情報に敏感にならなければならない。これは、【裁縫師】としての基本だ。君は、その基本が守れてる。それが確認できただけでも、私達は充分過ぎる程に満足したよ」


そう言うと、審査員の人達は微笑むのだった。


審査員1「もちろん、皆さんのメイド服も良かった。ただ.....さっきも言った通り、このコンペはメイド達の服のコンペ。今後は、誰をために作るかを重要視しながら、服を作って欲しい」


その言葉と共に、コンペの結果発表会は終わるのだった。

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